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聖女のやる事じゃない件について  作者: 無月公主


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29話【800歳の弊害か…】

夕方が近づき、アビスとアメリア、そしてティアンナは王城内に新しく完成した部屋の前に立ちました。


アビスは自信満々にアメリアに自室を紹介しました。 彼の声には喜びが溢れ、期待に胸を膨らませていました。 「どうだ?アメリア、リアの好みに合うものを揃えてみた。」 と、彼は自慢げに言いました。


その部屋はまさに豪華絢爛、赤と金の色彩が溢れていました。 壁には華やかな絵画が飾られ、豪華な家具が配置され、見る者を圧倒するほどの贅沢さでした。 アビスは誇らしげに自分のセンスを披露しましたが、ティアンナはドン引きしていました。


「これが、趣味なのですか?ただの時代遅れの成金じゃないですか。」と彼女は驚きと呆れを隠せませんでした。


一方のアメリアは、無表情のままでした。 しかし、彼女の心の奥底には何かが渦巻いているようだ。


『アビスさん!?どうしてこんな感じになってるの!?もっとピンク色とか使って可愛らしい部屋にできなかったの!?いや、むしろ白色でシンプルにしてくれても良かった気がする…。』


アビスはその場に立ち尽くし、雷がピシャンと落ちるかのような衝撃を受けました。 その瞬間、彼は自分が時代遅れな存在であることに気付いたのです。


「ここに来て800年の弊害が…」彼は呟きました。


ティアンナは「メーベル」と言えば、ひとりのメイドが姿を現しました。 「数日程度なら、私のメーベルで自分の世話くらいできますわ。」と彼女は言い、部屋に入っていきました。


『えぇ!?お昼に一緒に給仕した人じゃん!メーベルなの!?どうなってるの?』


アビスは少ししょぼくれながらも、「メーベルは心の欲望や本質を表すものだ。ティアンナの場合は孤独や危険にさらされる時間が増えたために、一段階目のメーベルは寂しさを隠す扇子で、二段階目はおそらく… 亡霊をメイドに変えるタイプだろうな。」 とふわっとした説明を述べました。


ティアンナは激しく反論しました。 「聞こえてますわよ!!亡霊を従えるには条件がいりますの!! 私に身を捧げると誓いを立て、死した者しか従える事ができませんのよ。」 彼女の声は不穏さに満ち、厳かな気品が滲み出ていました。


アビスはティアンナの言葉に対し、小バカにしたような口調で「一緒ではないか。」と言い返しました。 その言葉には彼の自信と傲慢さがにじみ出ていました。


ティアンナは誇り高い表情で言いました。 「言っておきますけど、私のメーベルはとても優秀ですのよ。お兄様がケイロス帝国の王、グローリア・アビス・ケイロスだという事もわかりましてよ。」 その言葉には彼女の自信と誇りがにじみ出ており、アビスの名前を口にすることで自身の地位を際立たせようとしている様子がうかがえました。


アビスは少し嫌そうな表情を浮かべながら、「だから亡霊使いは面倒なんだ。潜んでいても分からんからな。 情報を抜き取り放題だ。」 と冷ややかな口調で言いました。 その言葉には、彼の不満や警戒心が滲み出ており、亡霊使いの力が持つ不確実性に対する彼の不安が感じられました。


『そうなんだ。あちこちに亡霊使いがいるの?』


アビスは微笑を浮かべながら、「いや、亡霊使いはそんなに多くはいない。よっぽど酷い経験と豊富な知識がなければ、その力を使うことはできないはずだ。 つまり、このチビが過酷な状況に身を置かれていたということだ。」 とアメリアに説明しました。


ティアンナはアビスに疑念の目を向けながら、「先程から誰と話しているの?まさか… お兄様、アメリアお義姉様に、心を読み取る魔法でもかけているの?」 と尋ねました。 彼女の眉間には、不信の影がうっすらと浮かんでいます。


『うわ!すごいバレちゃってるよ!アビス!』


アビスは軽い口調で微笑みながら、ティアンナを称賛しました。 「流石だな、立派な王族だ。」


『えぇ!?いいの?』


アビスは微笑みながら、深い感銘を抱きました。 「あぁ、王族として、年齢以上に勉学に励んでいると見受ける。」


ティアンナは威厳を保ちつつも、わずかに顔をしかめました。 「当然ですわ」と言わんばかりに鼻を鳴らしました。 その時、アビスがさらりと「ベッドは1つしかないからな、お前はソファーで寝ろよ」とティアンナに告げると、ティアンナの表情に一抹の不満が浮かびました。


『ちょっとアビス!ティアンナちゃんは悪い子じゃなかったんだし、一緒のベッドに川の字になって眠れば良いじゃない!』


アビスは目を見開き、驚きの声を上げました。 「なっ!?リア、お前は床に落ちた食事を食わされたのを覚えていないのか? あんな事されて一緒に寝るなんて正気か?」 と、声を荒げてアメリアに問いかけました。 彼の声には、怒りと困惑が交じり合っていました。


『でも、事情があったじゃない。私が同じ立場なら、私もきっと同じ事しちゃうよ。誰も信用できないよ。』


ティアンナは何かを感じ取り、微笑みながら話しました。 「アメリアお義姉様、きっと私のことを色々と気にかけてくださっているのでしょう?本当にお優しい方ですわね。 私のことなどお気になさらず、ソファーで結構ですわ。」 彼女の声には、柔らかな調子と微笑みが漂っていました。


『アビスーー!!可哀想だよー!!!』


アビスは溜息をつきながら、「わかった。ベッドで寝ろ。 チビすけ。」 そう言って、彼はしゃがみ込み、頭を抱えました。


『やったー!!アビス大好き!!!』


アビスは言葉に詰まり、顔を真っ赤にしてしまいました。 その姿を見たティアンナは驚きと戸惑いを隠せませんでした。 「これが800歳ですの?」と、彼女は呟きました。 その声には、不思議と冷たい風が流れました。


――――――――――

―――――


その夜、重厚な赤い生地の天蓋が架かったベッドで、三人は寝ることになった。 アビスは少し不満そうな表情を浮かべ、ティアンナは慣れない温もりに照れながらも、アメリアは無表情で天蓋をじっと見つめていた。


ティアンナは小さなため息をつきながら、「ムードも何もないベッドね」と呟いた。


『確かに。ムードと言えば、レースのついたカーテンよね。』


アビスは眉をひそめ、「好き勝手言い過ぎだな。これらの家具を作るのに、古い知識を引っ張り出して朝から昼過ぎまでかかったんだ」と厳しい口調で言った。


ティアンナは微笑みながら頷き、「そうですわね。現代の人間では絶対に到達不可能な古代魔法ですわ。 という事は、神の国の出身といったところでしょうかしら」と推察した。


『うわ!凄い!アビスが神の国の人だって当てたよ!?本当に子供なのかな?』


アビスは深いため息をつきながら言葉を続けた。 「神の国出身なのは覚えているが、クラリアスのように、俺は不老不死ではないからな。よくわからんのだ。 だが、初代メロウトの事は覚えている。 神の国の女神が召喚した聖女様と結婚する際に式に呼ばれたからな。 その聖女はクリーム色の髪をしていた。 子孫は聖女の持つ、特殊な能力を代々引き継いでいるはずだ。この国の王族が年齢にそぐわぬ行動を起こしてもなんら不思議ではない。」


『そうなんだ。』


アビスは部屋の灯りを一瞬にして消すと、「もういいだろ。寝るよ。」 と口にした。 その言葉はまるで室内に静けさを呼び込むようで、その瞬間、部屋は暗闇に包まれた。


暗闇が部屋を満たすと、ティアンナの体が小刻みに震えた。 その暗闇の中で、彼女の心臓の鼓動が不規則に高鳴り、不安が胸を押し潰すような感覚が彼女を襲った。


アメリアは静かにティアンナの小さな手を握りしめ、その手のぬくもりを感じながら、自らの聖なる力をそっと流し込んだ。 その優しい力がティアンナの心を包み込み、不安と恐怖をやわらげるように感じられた。 ティアンナはその安らぎに包まれ、少しずつ震えがおさまっていくのを感じた。


三人は、やがて夜の静寂に包まれる中、眠りについた。 そのベッドの上で、異なる思いや不安を抱えながらも、彼らの心は少しずつ静まり、安らぎに包まれていくようだった。

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