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聖女のやる事じゃない件について  作者: 無月公主


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28話【やり過ぎるくらいが丁度良い】

部屋の扉が勢いよく開かれ、アビスが焦った表情を浮かべて中に飛び込んできました。 彼の声は心配と焦りが交じり合い、部屋の中に響き渡ります。


「アメリア!大丈夫か!?」 アビスの声が響き渡り、その瞬間、アメリアは彼の姿に安堵の表情を浮かべました。 彼女は無表情でアビスを見つめます。


『多分、アビスが昨日かけてくれた魔法のおかげで何とかなったかも。』


アメリアの心の声は穏やかでありながら、彼女の心はまだ鼓動を速めていました。 アビスの駆け付けによって、彼女は安心感を得ました。


アビスは少し呼吸を整え、彼女の元へ歩み寄ります。 彼の目にはまだ心配が残っており、彼女の様子を確認するように見つめます。


「アメリア…傷が…」アビスの言葉が途切れ、彼はアメリアの安否を確認するために彼女に近づきます。 彼の手が彼女の肩に触れ、彼の温もりが彼女を包み込みました。



ティアンナは部屋の一角に立ち、高慢な態度で語りかけました。


「ワタクシがいるのをお忘れなのかしら。」


その言葉に、アメリアは静かに顔を上げました。 彼女の目には、傲慢な王女の姿が映りましたが、それを見ても彼女の心は動じませんでした。


『この女の子に色々嫌がらせをされたけど、でも変なの!襲われてるっていうのに護衛の一人も現れないし、メイドさんもどっかいっちゃうし!』



アビスは静かにアメリアの耳元でささやきました。 「見ていた。少し静かに。」


その瞬間、彼女の心は安堵と安心に包まれました。 彼がそばにいることで、彼女は力強さを感じました。


アビスはアメリアをそっと置いて、ティアンナの方に歩み寄りました。 威厳に満ちた王女の姿を前に、アビスは謙虚な態度で立ち止まりました。


「ティアンナ王女、アビスと申します。私はメロウト王国の第二王子であり、これからはあなたの兄となります。」


アビスの声は穏やかで、礼儀正しいものでした。 彼はティアンナに自分の立場と意図を丁寧に説明しながら、兄としての存在を示そうとしていました。


ティアンナはアビスのたたずまいに圧倒され、心の奥底からほんのりと脅えを感じました。 彼女は慎重に、そして丁寧に自己紹介をすることに決めました。


「アビス様、私はティアンナ・メロウトと申します。 メロウト王国の王女でございます。


彼女の声は少し震えていましたが、品位ある振る舞いで言葉を続けました。 「私は、アビス様が我が家の一員として受け入れられることを心から歓迎いたします。」


彼女の表情には、驚きと同時に緊張も見て取れました。 アビスの存在が彼女の生活にもたらす影響を考えると、それは当然の反応でしょう。


アビスは微笑みを浮かべながら、厳しい口調でティアンナに語りかけました。


「私は子供であるという理由で手加減は致しません。アメリアには監視魔法、盗聴魔法、位置把握魔法など、様々な魔法をかけております。 ですから、ティアンナが何をしたか、私はすべて把握しています。」


その言葉に、アビスの微笑みは一層深まり、眼光は厳しさを増しました。 彼の姿勢からは、彼がアメリアに過保護であり、彼女の安全を最優先に考えていることが伝わってきます。


ティアンナは、微かな震えを抑えながら尋ねました。


「私に罰を与えるつもりですか?」


彼女の声には不安が滲み出ており、アビスの言葉の重みに圧倒されている様子でした。


アビスは重々しく、「いや、それでは根本的な解決に繋がらない。いつから… 命を狙われている?」 とティアンナに問いました。 その問いかけに対して、ティアンナは目を見開き、驚きを隠せませんでした。


ティアンナは少し辛そうな表情で、言葉を慎重に選びながら語りました。 「お父様が側室をとられて、その方に子供ができてからですわ。」その言葉には、深い悲しみと哀しみが込められていました。


アビスは怒りを込めた声でつぶやきました。 「はっ、ティグルスめ。ルティーを見放して次を作ろうと対策したか。」 その声には、怒りと憤りが滲み出ていました。


アビスは深いため息をつきながら、ティアンナに説明しました。 「どういう事かと言えば、ティグルス王がルティー王子を見捨て、その代わりに次の王を作ろうとしたのだ。」彼は顔をしかめながら語り、その声には苛立ちが滲み出ていました。 「私がここに来た時、ルティー王子は酷い有様だった。王になる器ではないとまで思っていたが、最近彼は変わってきている。 今なら時期王になれるだろう。」


ティアンナは驚きの表情を浮かべながら、「そんな… あのお兄様が?」 と呟いた。


アビスはティアンナの頭をやさしく撫でながら微笑んだ。 「こんな小さなガキが、メーベルを二段階解放させているなんてな。兄妹揃って優秀ではないか」と称賛した。


ティアンナの両目から大粒の涙がポタポタと流れ落ちた。 その涙には、悲しみや孤独、そしてひとりぼっちの想いが込められているように思えた。


アビスはティアンナの頬をつねりながら、「だからといって今日、アメリアにやったことは許されませんよ、王女様。」と厳しく言いました。 その声には心配や思いやりも感じられました。



ティアンナは怒りを込めて、「悪かったわね!なんなのよ!!」 と声を荒げました。 その言葉には、悔しさや苛立ちが滲み出ています。 アビスは静かに「アメリアに謝れ」と言いました。 ティアンナは渋々とした表情でアメリアの前に歩み寄り、丁寧な謝罪の言葉を口にしました。


「アメリア、私の行動を許して。あなたに不快な思いをさせたことを深くお詫びします。 これからはあなたを尊重し、配慮します。」


その姿は、初めての謝罪でありながらも、一生懸命さと素直さを感じさせました。


『許してあげる!何か事情があるんでしょう?って言っても何も反応してあげられないけどね。私の体。』


アビスは温かな微笑みを浮かべながら、ティアンナの頭をクシャクシャと撫でました。 「ちゃんと謝れるじゃないか、偉いですよ。我が妹よ。」 その言葉には兄の優しさと愛情が籠っていました。 彼の抱擁は優しいものであり、ティアンナはその安心感に包まれました。


ティアンナは不機嫌そうにアメリアを睨みつけました。 「ちょっと、何か言いなさいよ。」と口ごもりますが、その直後、アビスが介入しました。 彼はティアンナの体をやんわりと抑え、言いました。 「ティアンナ、アメリアは私の魔法でガチガチに縛っていますので、自我がないのです。反応できない事をお許しください。」


アビスの説明に、ティアンナは戸惑いと不満を隠せませんでしたが、アビスの腹の底では、彼女を協力者にしようとしているかのような微かな気配が感じられました。 その姿勢は、まるで彼の計画の一環であり、ティアンナに自分の側に付いてほしいという意志が透けて見えるようでした。


ティアンナはアビスの言葉に驚きを隠せませんでした。 「なっ、婚約者になんて事を!?・・・あぁ、それで、あんな事まで…。」 彼女の声は驚愕と困惑に満ちており、言葉をつまらせるような様子でした。 その表情からは、アビスの説明によって、アメリアが命令されたことを無表情で淡々とこなしていたことに納得がいった様子でした。


アビスはティアンナが理解してくれたようで、満足げに微笑みながらアメリアのそばに寄り添いました。 しかし、その微笑みの奥には、彼の警告が込められていました。 彼は静かな口調で言いました。 「これはいつでも起こり得ることだ。お前の自我を奪い、お前をただの人形に変えてしまうこともできる。 そのことを忘れるなよ。」 その言葉に、部屋の空気が一瞬で冷たくなり、アビスの真剣な視線が部屋に静寂をもたらしました。


ティアンナはアビスの言葉に恐怖に包まれました。 その深みに身を置くことで、彼女は初めて自らの無力さを感じ、王族としての特権が実際には何も意味を持たないことを思い知りました。 アビスの瞳に宿る威圧感と暗示に、彼女の心は囚われ、不安に支配されました。 彼女は言葉を失い、ただその場に立ち尽くすしかありませんでした。


『アビス、やり過ぎだよ。流石に可哀想・・・。』


アビスは重々しい表情で言いました。 「さて、根本的な解決をしなければならない。不本意ではあるが、ティアンナのメイドと護衛が見つかるまで、俺たちと一緒に過ごしてもらう他ない。 丁度、王城内に俺たちの部屋が完成したところだからな。」


その言葉に、部屋の中に静まりかえる雰囲気が流れました。 ティアンナはアビスの提案に戸惑いながらも、彼の決定に従うしかありませんでした。


ティアンナの声は震え、不安と緊張がにじみ出ていました。 「それで、本当にいいの?」と彼女はひそやかな声で尋ねました。


アビスはやや優しい口調で答えました。 「丁度アメリアのサポート役が欲しいと思っていたし、俺を王子として迎えいれてくれた王や王子に借りがあるからな。まぁ、ほんの数日だ。」


アビスは優しく微笑みながら、ティアンナの頭を撫でました。 その手は暖かく、安心感を与えるものでした。 彼の眼差しは優しく、そして少し哀しみを帯びていました。

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