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39 暑い時に

この話を読んでくださる全ての方に感謝いたします。

ありがとうございます。

 湿気はあまり無いのだが、気温が高く、毎日が暑いので、フルアの食欲が落ちている。

 夜になれば、涼しい風も吹くが、日中は辛いようだ。


 このまま食欲が落ちたままだと、フルアはこの暑さを乗り切れないだろう。

 

 「何か、食べたい物とか、食べられそうな物はあるか?」


 「スープは、飲めていますし、まだ、ベリークイーンの蜜漬けもありますから、大丈夫ですよ」


 「今が一番暑いからなぁ。この時期はしっかり食って体力を付けないと、暑さにやられるぞ」


 「なんだか、パンとかは喉を通りにくいんですよ。あ、麺ならツルッと食べられるかもしれないです。…冷製パスタ……確か、乾燥麺ありましたよね?それで、トマト、キューリ、タマネギ、ニンニクで、ソースを作って、麺もソースも冷たくして食べるのはどうですか?」


 「冷たい麺は、食べた事はないな。それはフルアは食べた事があるのか?前世の料理か?」


 「そうです。今の私は食べた事は無いんですが、前世では冷製パスタって名前の食べ物があったんです」


 「フルアの前世の食べ物は、どれも旨いからな。作るか」


 今日は、2人で昼食を作ることにした。


 ソース作りと麺を茹でるのは同時進行だ。


 たっぷりのお湯を沸かす間に、ソース作りだ。


 ニンニクは焦げない様に炒め、タマネギとトマト、キューリを入れる。野菜に火が通ったら、火から外し冷ます。

 麺は、後で水で締めるので、柔らか目に茹でた。

 どちらも、魔法で氷を出して、冷やした。


 盛り付けて、早速食べる事にした。


 「冷たい麺は初めて食べたが、暑い時に食べると、食べやすいな。火が通ったキューリを食べたのは初めてだ。パリッとした感じは無くなるが、トマトと合ってなかなか旨いな」


 「お肉が入っていないのに、旨味を感じます。食べやすいです」

 フルアも、そう言ってパクパク食べた。

 

 その姿を見たウールスは、安心したようだ。


 「前世では、暑い時があったのか?」


 「ありましたよ。暑くて、ムワッとしてました」


 「暑いだけじゃなくて、ムワッとしてるのか。それは、辛いな。そんな時は、どんな物を食べてたんだ?」


 「冷たい物を食べたりもしてましたけど、暑い時には、熱い物や辛い物を食べて、汗をかく、みたいな…でも、前世の世界って、暑い時は部屋が冷たく冷やされてたんです。この暑さで、熱い物を食べるのは、ちょっと辛いかもしれないです」


 「そうだな。夜になったら涼しくなるから、昼はあっさり、夜は熱い物ってのはどうだ?だが…俺は肉も食いたいな。これだけだと、ちょっと物足りん。焼いてくる!」

 そう言い残し、キッチンに向かった。


 フルアは、メディカさんから頂いたパインツリーのお茶を飲みながら、ホッと一息ついていた。しっかり食べると、暑さに向かう元気が湧いてきた様に思えた。

 

 《魔力も美味しくなったよ。フルアが元気だと魔力も美味しくなるね》


 ピシィにそう言われ、驚いた。


 「元気がある時とない時じゃ、魔力って味が違うの?」


 《そんな気がするだけ。元気なフルアから、魔力を貰うと美味しいなって思える》


 ピギの肉を焼いてきたウールスが戻ってきた。


 「どうしたんだ?」


 「ピシィが、元気な私から貰う魔力は美味しいっていうんです。魔力の味って、変わるのかな?って思ったんです」


 「そうなのか。同じ物を食べても、自分の体調で味が変わる気がする時もあるしな。ピシィは、そう感じたんだろう。フルアも、しっかり食べて旨い魔力をピシィに分けてやれよ」


 「そうですね。今、こうやってしっかり食べたら、元気が出た気がします」


 「そうか、それは良かった」


 「そうだ、ピシィに聞きたい事があったの」


 《どんな事を聞きたいの?》


 「私の魔力を与えたから、声が聞こえるって、主は言ってたよね?それなら、師匠の魔力を食べたら、師匠にも声が聞こえるの?」


 その言葉を聞いて、ピシィの毛が逆立った。


 《他の人の魔力は、あんまり食べたくない。僕はフルアから名前をもらったから、守るのはフルアだけだよ。フルアは、僕がウールスとしゃべった方が良いの?》


 ウールスは、食べるのも忘れ、見守っている。

 ピシィの事が可愛くて仕方がないウールスは、自分もお喋りがしたいと、思っているのが顔に出ている。


 「間に入って説明するのが、面倒だなって思う時があるし、他の人に聞かれないから、ピシィも私と師匠だけに話したい事が、誰にも知られずに伝えられるよ(そんな時が来るかは、わからないけど)」

 

 そう言ってみた。


 ピシィは、じっと考えているようだ。


 《ーーたまになら、食べてもいい》


 「ありがとう、ピシィ。これで3人で楽しくお話が出来るね」

 

 「ピシィは、何て?」

 ウールスの顔は、真剣だ。

 それを見たピシィは、ウールスの近くに寄ってペロリと脹脛の辺りを舐めた。


 《ウールスの魔力を食べるのは、たまにだからね!!僕は、フルアの猫なんだから!!》


 そう言って、フルアの足元に戻ってきた。


 「声が!聞こえた…可愛い。なんて可愛い声なんだ」


 ウールスは、声が聞こえて感動していた。

 自分の魔力は、たまにしか食べないという事は、気にならない様だ。


 「ピシィ、お願いを聞いてくれてありがとう。私と2人で喋るより、師匠と3人でしゃべった方が楽しいよ。これから楽しみだね」



 ピシィは、照れ隠しなのか、顔を隠して眠った振りをしていた。


 

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

感謝いたします。

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