35 うちにピシィが来た
この話を読んでくださる全ての皆様に感謝いたします。
ありがとうございます。
ルーンが時々やってくるものの、ウールスとフルアの1日は穏やかだ。
家事は分担している。ウールスが家の掃除、フルアが魔法で洗濯と食事作りをする事が多い。そこにピシィという森の猫の姿をした、精霊の元眷属がやってきた。
ピシィは、本物の猫では無いはずなのに、棚の上に登ったり、カーテンを引っ掻いたりと、いたずらが大好きな様だ。そして、今はフルアからたっぷりと魔力をもらい、クッションの上で、お腹を上にして両手足を広げ眠っている。
フルアは、勿論可愛がっている。
ウールスは口には出さないが、どうやら物凄く喜んでいる様なのだ。
先程も、庭で何かしていると思ったら、ピシィの為のベッドを作っていたようだ。何処に置こうかとうろうろしている。一応、大きくなっても寝られる様にと、長さは120センチ程の大きさで作っていた。
「生き物を飼うのは初めてだからな。何がいるかな?」
ウールスがウキウキしている。
「えーと、ピシィが起きたら、聞いてみますね。師匠、生き物が好きなんですね」
「そうでもなかったはずなんだが、いざ家に生き物がいると思うと、目が離せないし、可愛いな」
「そうですね。私も、嬉しいです。ピシィって、可愛いですね」
眠っているピシィは、2人を和ませている。
「そういえば、本来の森の猫って、どういう生き物なんですか?」
「野生の森の猫は、誇り高い。1匹で狩りをする森の狩人だ。番うと、どんな時も離れず、2匹で行動するらしい。2匹でいる森の猫の片方を殺めれば、復讐されると言われるくらいだ。知能も高いぞ。餌を見つけたら、突進するのではなく、それぞれの生き物に合わせた狩りをするな」
「今まで、出会った事はあるんですか?」
「野生は、ないな。俺の薬草採取場所は、ノアの森とその周辺だからな。あの森は、通常の生き物は暮らせない」
「そうでした。野生は、って事は野生じゃない森の猫がいるんですね?」
「そうだな。初めは野生だったんだろうが、狩りのパートナーとして、飼われている森の猫がいる。そう多くはないがな。猫にとっては、飼われているとは思っていないかもしれないな。一緒にいてやってる位の気持ちかもしれん。そういう猫は、飼い主とずっと共にいるからな。ピシィは怪しがられなくて済むな」
「そうなんですね〜。あの主は、そういう事も考えてピシィを森の猫にしてくれたのかしら?」
《そんな訳無いよ。あれは、何にも考えてない。あの時に思い出したのが、森の猫だっただけだよ》
「ピシィ起きたの?師匠がピシィの為にベッドを作ってくれたのよ」
《ウールスは、気が利くなぁ。ボクの為にベッドを作ってくれたの?じゃあ、フルアのベッドの横に置いてよ》
「師匠、ピシィがベッドは、私のベッドの隣が良いって言ってます」
「それに、主は何にも考えてないだろうって言ってます。あの時に思い出したのが森の猫なだけだって」
「ピシィは手厳しいな。まぁ、いいじゃないか。今は、可愛いし。大きくなったら、賢く強い猫だ。フルアを守るには、最適な生き物だ」
そう言って、ウールスが、笑った。
ウールスは、大きくなったピシィを連れているなら、フルアが1人で街に出ても、攫おうとする者はいないと思った。賢く、いつもは大人しいが、一旦敵と見做したら、執念深く狩りをする猫。獲物の息の根を止めるまで、あきらめない。それが森の猫だ。主は、フルアを守ると言っていた。街で守るには、これほど丁度良い生き物はいないと思えた。
主が、何も考えていないわけが無いだろう。ーーーーーピシィの言う通り、偶然かもしれないが。
ベッドを置いてもらい、ご機嫌のピシィに他に必要なものがあるか尋ねたが、ずっとフルアのそばにいて、魔力をもらっていたら、満足と言われた。
ウールスとフルアは、ピシィに撫でても良いか、伺いを立てた。
猫に見えるが、猫ではない。勝手に撫でるのが憚られた。
フルアは、いつでも撫でても良いと許可されたが、ウールスは何故か一日3回までと言われてしまった。
ウールスは、がっくりしているかと思いきや、拒否されなくて良かったと、逆に喜んでいた。
それを見て、ピシィはニヤニヤしていた。
そんなピシィを見たフルアは「そのニヤニヤした顔、まるでチェシャ猫みたい」と言うと、ウールスがすかさず「それは、どんな猫だ?」と聞く。
「前世の…ずっとニヤニヤした気持ち悪い猫です」と答えた。
ピシィは、フルア達の話はわかるので、びっくりするほど落ち込んでいた。
フルアは、少しピシィが可哀想だったかと、思っていたが、師匠であるウールスの事も大切にしてもらいたかったので、敢えてピシィを慰める事はしなかった。命令ではなく、自然な気持ちで、師匠を大切にしてもらいたいと思っていた。
ウールスは、落ち込んでいるピシィも可愛いなと、内心喜んでいた。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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