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19 魔法付与

この話を読んでくださる全ての方に、感謝いたします。

ありがとうございます。

 「前世の世界には、魔法は無くて、物を動かすのは【電気】と言うか【電流】と言うか…そう言ったもので、道具を動かします。【電気】を通す道が【回路】、【電気】が決まった方向に流れると、【電流】です。決まった【回路】を通っている【電流】は、危険じゃ無いんですが、道から外れてしまうと、物に移って火が出たり、人が触るとビリビリ痺れて、ひどい時には亡くなったりします。そう言った現象を【漏電】と言います。それを使ったら、どうかと思いました」


 【電気】そのものが何かわかりにくい2人の為に、【電気】と【雷】はほぼ同じ物だと聞いて、納得した。


 「雷の魔法は、魔族くらいしか使わない大きな魔法だと聞いている。フルアが使うのは、不味くないか?」

 ウールスが心配する。


 「魔法騎士なら、小さい雷魔法は使えるね。一瞬痺れて、足止め位だけどね」


 「じいちゃん、王宮の魔法騎士に詳しいね」


 「あぁ、その事?最近、姿を変えて王宮で働いてるんだよ。ちょっと思うところがあってね。内緒だよ。ま、僕の事は、良いじゃないか。老後の楽しみだと思ってくれたら良いよ。」

 そう言って笑った。


 「家族なんだから、心配するよ。くれぐれも、バレない様に気をつけてくれよ」

 ウールスは、そう言って眉を下げた。


 「ルーンさん、師匠、小さい雷の魔法でも大きな打撃を与えられます。水です。水は、電気を通すんです。漏電した時に、濡れた手で触らない、と言うのは前世の常識と、なってます。だから、まず水を掛けてから、そこに小さな雷の魔法を掛けたら、かなりの打撃になると思います。それで、魔物が狩れるかどうかは、わからないですが…」

 フルアが続けた。


 「じゃあ、そんな付与ナイフを作ってみて、試そうよ。僕達にも、初めての事でわからないもんね」


 「その前に、付与の練習をした方が良くないか?」


 「じゃあ、そこにあるチビ魔石で練習だね。はい、フルア、手に乗せて。付与は、中に入れるんじゃなくて、周りにくっつける感じだよ。やってみて」


 簡単に話すルーンだが、フルアは少し緊張した。

 周りにくっつけると言っても、どのくらいの厚さのイメージなのかもわからない。

 しかし、練習というのだから、そこは気にせずに、付与してみるしかないのだろう。


 フルアは、魔石を両掌で挟み、水をイメージした。

 鍋いっぱいの水を、ぎゅっとこの魔石にくっつけるイメージでぎゅうぎゅう押してみた。


 魔石に魔力を入れた時には、サラサラと流れていった魔力が、付与では少し熱を持ち、暖かくなってきた。

 手を離してみると、青い氷のような魔石が一つあった。


 「うまく出来たかなぁ?鑑定するね」

 ルーンが、掌の魔石を見つめた。


 「付与したのが、魔石だったからなのか、中にも水の魔力が入ってるし、付与もされてるね。面白いね。ウールス、うちで一番大きな鍋持ってきてよ」


 ルーンが、鍋の上で魔石に魔力を通した。

 小さな魔石から、水が出てきて鍋いっぱいになり、止まった。


 「これ、旅に便利だよね。このサイズで、後一回は出るね。水、大事だからねー。売れるね。って、その事は、後で考えるとして、違う物で練習しよう。ウールス、小さい石拾ってきてよ。さ、今度はこれ。水の魔法付与して」


 ルーンは、次々と課題を出していく。付与する品も、小型ナイフや石、ガラスのカケラなど、色々な物に付与した。

 フルアは、言われたまま必死で取り組んだ。

 初めは、1つの品に1つの付与だったのが、1つの品に2つの付与するところまでしていった。


 「さ、次はこのナイフね。さっきの練習の通りにしたら、うまく行くよ。魔物を狩る時にどの位の強さの雷と水を浴びせるのか、その事を考えながら付与するんだ。自分でこの位って思う強さの魔法を、想像して」


 フルアは、ナイフを両掌で挟み、目を閉じて、タヌーンを思い浮かべた。見た事のある魔物はタヌーンしか知らない。でも、全く知らない未知の生き物を想像するより、わかりやすい。


 水は、フルアが両手で持てる鍋の量。雷は、前世のテレビで見たことのあるスタンガンのビリッとした感じを想像した。これなら、人は死なないだろう。痛いだろうけど。さっきまでの練習で、より緻密な想像をした方が、良い付与ができたと思う。


 付与は、頭と心がとても疲れる作業だった。

 

 出来上がったナイフは、切っ先と刀先は青く刀身は薄い黄色の鮮やかなナイフになった。

 鑑定をしたルーンも満足そうだ。


 「これなら、誰も驚くような付与には見えないね。使い方が解るのは、フルアだけだと思うよ」


 その言葉を聞いて、ウールスも安心した。


 ささやかな幸せを望んでいる者達に、大きすぎる魔力は不要だが、魔力を無くす事は出来ない。

 目立たないように、工夫しながら生きて行くしかないのだ。



 ウールスは、ふと作業台の付与した品の数を、改めて確認した。

 

 ウールスは、言われるままに品を出し、フルアは、乞われるままに付与をしていった。


 作業台には、付与された品が山のようにあった。


 

 「じいちゃん、これどうする?生産ギルドで売っても大丈夫な品なの?全部、鑑定してくれてたよね?」

 ウールスは、半眼でルーンを見つめながら、そう言ったが、目はそのまま置いて帰るなよ!と、言わんばかりの様子だった。


 「あーー、石以外は僕が売り捌くよ。売り上げは、また持ってくる。じゃあね」

 そう捨て台詞を残し、去っていった。



 作業台には、ウールスが拾ってきた小石が沢山(色々な付与付き)が残っていた。


 

 


 

最後まで読んでくださってありがとうございます。

感謝いたします。

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