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20 小石の使い方

この話を読んでくださる全ての方に、感謝します。


ありがとうございます。

 「これ、どうする…」


 作業台の上の沢山の小石(付与付き)。

 

 付与された石は、どれも綺麗な楕円形に形が変わっている。

 うっすらと色がついているので、色付き小石というところだ。

 高価な貴石ではないので、このままで販売するのは難しいだろう。

 自分では、使い道が思い付きそうにない。


 ウールスは、溜息を吐きそうになったが、フルアを見てどうにか堪えた。


 「色々な付与をしたんです。ルーンさん、どれもちゃんと付与されてるっておっしゃってましたよね…」


 「どんな付与をしたんだ?」

 

 「火、水、風を3つずつくらい付与しました。後は、誰もした事がなさそうな付与って言われたので、健康っていうのと、幸運っっていうのも付与してます。あ、後は、安産の付与もしてます」


 「なんだろ。意味は分かるが、聞いた事が無い付与だな」


 「前世には神社って言う所で、お守りを買うんです。お守りは、神様が宿ってるという事になっていて、それを持っていたら、護ってくれて、安心できる形代みたいな感じです。本当に助けてくれるのかは、わかりませんが…」


 この世界には、創世の神がいる。それは、信仰の対象では無く、感謝する対象なのだ。その為、神を祀る社も無い。年に一度、創世の神に感謝する祭りが行われる程度だ。個人を助け、護ってくれる神という意識が無いため、フルアの話は分かるような、わからないようなウールスだった。

 

 「お姉さんが、お守りを沢山買ってました。前世のお守りは可愛い物が多かったんです。可愛いは、正義なんです」


 ウールスは、全く意味がわからない。なんだろう、可愛いは正義って……そういう時の返事は、決まっている。


 「そうか。可愛いは正義なんだな」


 肯定とおうむ返し。これに限る。



 付与によって、石の色も違うが念の為に、鑑定の魔道具で確認をして、それぞれを器に移した。

 

 「風の付与の石は、使い方を考えて作りました」

 そう言って、1つに魔力を通すと、石から涼しい風が吹いた。

 今日は午後から気温も高く、動くと汗ばんでいたのだが、途端に部屋中が涼しくなった。


 「前世で、扇風機っていう風を作る物があったんです。もっと凄いのは、エアコンと言う一つの機械で、暖かい風や冷たい風が出て、部屋が快適になるんです。この付与が上手くいったら、暑い日はこれを作って使えば、快適ですよね」


 フルアが嬉しそうに言った。


 誰も考えた事がない付与だが、この程度の付与は誰でもできるだろう。

 丁度良い加減の付与は、工夫が必要だろうが。


 風魔法は、どちらかと言えば、攻撃魔法寄りの魔法と思われていた。

 冒険者が、矢を放つ時に風魔法を乗せて、威力を増したり、魔法騎士になると、風の刃で敵を屠るというのが、有名な魔法だ。 


 なぜ、今までこの様な魔法の使い方を考える者がいなかったのか…


 部屋が、快適だ。

 暑すぎると、何もしたく無くなるが、これなら、家での作業なら捗るだろう。

 ウールスは、暑さが苦手だったので、とても嬉しく思っていた。


 涼しい風が通った事で、2人共快適に過ごす事が出来た。


 「火の石は、ちょっと考えがあるんです。今晩の夕飯に使おうかと思ってます」


 なんだろう…薪の代わりにオーブンにでも入れるのか?

 さっぱりわからないが、フルアの料理は目新しく美味しいので、全く心配が無い。

 ウールスは夕飯が楽しみになっていた。


 



************





 火の石は、2つ程水で綺麗に洗い、小皿に置いておいた。


 鍋に出汁が出る肉は少し薄めに切っていく。

 旬の野菜は、なんでも大丈夫。葉物野菜や、薄めに切った根菜類も入れていく。

 

 ウールスは、水も入れずに、鍋に具材をバランスよく並べているだけのフルアが何を作るのかが全くわからない。

 一緒に作ると言っても、ウールスは肉を切っただけだ。

 尋ねてみても、「後のお楽しみです」としか、言われなかった。


 調味料や酒などを水に混ぜ、そのまま鍋にいれていった。


 「煮ないのか?」

 そう尋ねてみても、「ここでは、火を通しません」と、謎の返事をするばかり。


 仕方がないので、ウールスは発酵要らずのパンをオーブンで焼き(オーブンに火の付与の石は使わなかった)、ダイニングに持って行った。


 テーブルには、火の通っていない鍋があるばかりで、夕飯はどうなるのかウールスは心配になった。


 「師匠、今から作りますから、座ってみててください」


 そう言うと、スプーンに火の石を乗せたフルアは、石に魔力を通すと、すぐに目の前にある、生肉と野菜の水鍋の中に入れた。


 すると、一瞬でボコボコと凄い音を出しながら、水スープが沸騰し、肉と野菜に火が通った。


 ウールスは、こんな料理の仕方があるのだと驚いたし、食べると高温で一気に仕上げたせいなのか、肉も野菜も、旨味がよく出ていて、美味しいと思った。


 「火の石で、こんな美味しい料理ができるとは思わなかった。普通に煮込むのとは、また違う美味しさだな。旨い」


 ウールスが喜んで、沢山食べているから、フルアはとても嬉しくなった。


 「喜んでもらえて良かったです。沢山食べてください」


 フルアも、ニコニコしながら、食べた。



 ウールスは、風の石も火の石も、生産ギルドに出さず自分達で使うだけでも、いいな思っていた。

 

 終わり良ければ全て良し。


 それぞれが満足した1日だった。


 

最後まで読んでくださってありがとうございます。


感謝します。

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