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17 フルアの落ち込み

読んでいただいている皆様方に、感謝いたします。

ありがとうございます。

 最近、街の食堂の流行りは、チリチリーリの実のオイル漬けを使った料理が大流行らしい。

 そのオイルを使った料理を食べると、疲れた身体が回復するし、食べ続けると、もっと食べたくなると、もっぱらの噂だ。

 これから、暑くなってくる季節というのも、人気に拍車をかけている。


 と、なると___冒険者ギルドに依頼が入ったりしているようだが……チリチリーリにやられてしまうと、2日は動けなくなってしまう為、中々に高価な食材となっているようだ。


 件の流行の火付け役となったウールスだが、チリチリーリの木に苦手意識があるようで、積極的に採りに行く事は、しない。自分達の食べる分は、採りに行った分を紐で吊し、乾燥させて賄っている。

 

 どうやら、フルアはトーガラシを使った料理をあまり知らないらしく、色々食べてみたかったウールスは、街の料理人に新しい料理を考えて貰う為に、乾燥させた物を、生産ギルドに出したのだった。


 チリチリーリの実も、自分ではなく、誰かが採りに行ってくれるとありがたいなと、他人任せな事を目論んでいた。



 今回、1人で冒険者ギルドに行っていたウールスは、割れた魔石を売った受付の男に声を掛けられた。


 「ウールスさん、以前に割れた魔石を買って頂けたので、お金を渡せましたよ。ありがとうございました。どうでしたか?あの魔石は役に立ちましたか?」


 「すまん、まだ使ってないな。あの魔石の委託者は、魔石を取るのは上達したのか?」


 「魔物から、普通の動物の狩りに鞍替えしたようですよ。その方が、実入も良いようですしね…」


 「そうか…それぞれ、得意分野があるからな」


 「ウールスさん、チリチリーリの実は採りに行かないんですか?今なら、高額買取しますよ〜」


 「あーーーチリチリーリな…あれに、やられた事のあるヤツは近寄りたくないよな。俺もやられて酷い目に遭った事があるんだ…気が向いたらな」


  

 チリチリーリの実の採取は、上手く断れた。

 今日の昼は、食堂でチリチリーリの料理を食べに行くのが、1番の目的だ。

 フルアには、「あれは、たまに食べる位で十分です」と、断られてしまったから、仕方がない。


 人気の食堂の目玉は、チリチリーリと刻んだニンニクのオイル漬けを、オムレツにたっぷり掛けた物だった。


 「旨いな」


 一言漏らせば、周りの男達が、このオイル漬けがあれば、どの料理も美味くなると、口々に話をし出した。

 その話を聞きながら、オムレツを食べ終えたウールスは、誰かが採りに行ってくれたら、自分で採りに行かなくても、ずっと食べられるのに…と、また心の中で思っていた。



 「家に帰ったら、オイル漬けは作るか…フルアが、これを気に入ってくれたら良いな」


 


 ******




 今日は、師匠が1人でギルドに行って、お昼に食堂に行って、チリチリーリの料理を食べるらしい。

 フルアは、ウールスがチリチリーリの辛さを、とても気に入ってるのに気付いていた。 

 けれども、家では滅多に作っていない。なぜなら、フルアがあまり食べたがらないせいだ。



 フルアは、本当はあの辛さが苦手なのでは無く、あれを食べる度にあの日の出来事を思い出してしまうのが、辛いのだ。


 「師匠は、私の事を気遣って滅多にチリチリーリの実を入れようって言わないよね」


 それが申し訳なくも思うのだが……


 あれから、三週間も経っているのだが、あの魔法を使わずに、魔物を狩る手立ては考えられていない。


 師匠に言わせると、フルアの身体がまだ小さい為に、魔物を狩れるほどのナイフや剣を持つのは、体力的に厳しいとの事だ。急がなくても、魔物は居なくならない、とも言ってくれている。


 何度も、考えた事だが、あの時自分の魔法で、魔物を倒したいという気持ちだけじゃなく、ウールスに褒められたい、凄いと喜んでもらいたいと、思ってしまっていた事が、最大の間違いだった。


 自分でも、わかっていた。



 なんて私の心は、醜い心なのだろうか。

 こんな私が、ここに居て師匠と住んでいて良いのだろうか。

 と、つい考えてしまう。


 いっその事、一人でノアの森に住む?

 いや、無理だ。


 師匠と一緒に、料理を作ったり、薬草を採りに行ったり、楽しい事を知ってしまった今は、ひとりぼっちには、耐えられない。

 師匠は、私に正直に接してくれているのがわかる。

 うわべだけ優しい言葉を掛けてくれても、違う場所で悪く言う人達をたくさん見てきたから、嘘をついてないのが、わかる。

 師匠が、厳しい事を言っても、それは私の為なんだって、わかる。


 だから、余計にあの時の言葉が怖かった。


 この場所にいられなくなってしまうのが、怖かった。





 あの時、師匠はあの魔法がダメだって言わなかった。

 人前が拙いから、家で服を洗うだけなら大丈夫だって言ってくれた。


 私の魔法の使い方が悪いだけだって、言われた。

 私が否定されたんじゃなかった。

 こんなに長く落ち込んでばかりじゃ、師匠に呆れられてしまう。


 『人は、失敗して成長していく』


 これ、誰に言われたっけ?師匠?お姉さん?



 フルアは、自問自答しながら、魔法の使い方を心に刻んだ。


 いつまでも、チリチリーリの実を見て、ウジウジしていては、ダメだと思い、今晩の夕飯はチリチリーリの実を使った、辛いスープを作ろうと野菜を刻み始めた。



 ウールスが帰ってきた様だ。


 「師匠、今晩の夕飯にチリチリーリの実を使ったスープを作りますね」


 ウールスは、フルアが久しぶりに元気になっているのを見て、とても嬉しくなった。


 「それは、楽しみだ。嬉しいよ、フルア。俺も一緒に作るから、待っててくれ」


 ウールスは、フルアの笑顔こそが、自分の体力が回復する素だと思った。

 

 

 

最後まで読んでくださいまして、ありがとうございます。

感謝しています。

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