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12 フルアの決意

この話を読んで下さる全ての方に、感謝いたします。

ありがとうございます。

 次の日、朝食の後でフルアは、ウールスにお願いをした。


 「この輪ゴムを、メディカさんに使ってもらいたいんです。お店に連れて行って貰えますか?」


 「メディカさんに使ってもらうのは、俺も反対じゃないが…その前に、生産ギルドで発明登録をしてからだ。新しい商品を作ったら、生産ギルドに登録が必要なんだ。それは、作った者を守るためと、良い商品をよりたくさんの人に使ってもらう為だ。それに、粗悪品で購入者が困らない為というのもある。発明登録をするには、材料や作り方の提出をする代わりに、その商品を作るものは、10年間は使用料を払う。その使用料は、登録をした者に支払われる。もう一つ、専売というのもある。それは、依頼を受けたら全て自分が作り、販売をする、というものだ。それは、ギルドに、決まった料金を払う代わりに自分だけが、受注生産できる。もし、誰かが勝手に作っていたら、それを訴えて賠償金をもらえるように、ギルドに働きかけ、またギルドはそれを行使する力もある。それをせずに、作って販売すると、ギルド登録を抹消されるな」


 「でも輪ゴムは…前世の世界の物で、私が考えたものじゃ無いのに…それに、メディカさんにお金を貰いたいって思って作ったわけじゃ無いんです」


 「フルアが、良かれと思っても、メディカさんの立場で考えてごらん。メディカさんが作る物は商品だ。中身だけじゃなく、入れ物だってお金が発生する。それに、この世界にまだ無い輪ゴムで留められた商品を置いて、客に何て答える?登録をされてない新商品は、違法だ。困るのは、メディカさんだ。フルアは、そんな事望んで無いんじゃないか?」


 『師匠の言う通りだ。自分の浅はかな考えで、メディカさんに迷惑を掛けるところだった…』


 フルアは、項垂れた。なんて自分は、考え無しだったんだろう…下を向き、何も言えなかった。


 ウールスは、床に座り、フルアの顔を見上げた。


 「フルアが、心からの親切心なのは、わかっている。ギルドに登録したのも、フルアという人間の証明の為だった。だが、商品を出すという事は、大人とのやり取りの世界に踏み込む事でもある。こうやって、一つづつ学んでいけばいいんだ。誰だって、初めからなんでもできるわけじゃ無い。俺だって、失敗はいくつもある。未だにあるんだ。誰だってあるんだよ。だけど、何度も同じ失敗を繰り返すか、繰り返さないかで、信用されるか、されないかが、変わるんじゃ無いかって思う。それから、フルアの前世の物は、フルアしか知らないんだ。例え、真似をして作った物でも、ここで作ったのが、フルアが1番なら、登録したらいいんだ。物だって、料理だって、同じだ。皆が、便利になるなら、それでいいじゃないか?料理だって、俺は楽しみにしてる。全部、美味いしな」


 ウールスは、そう言って、笑った。


 「……料理を作るのは、2人で食べてるだけだから、前世の料理知識を出す事に、戸惑いは無かったんです。輪ゴムで、お金が発生する事が、ズルいことをしている気がして、怖くなったんです」


 「皆が喜ぶ物なら、どんどん作り出したら、良いんだ。料理だって、いっぱい作ろう。美味しい物いっぱい食べて、俺みたいに大きくなれよ」


 そう言いながら、頭を撫でた。


 「師匠みたいにって……私、女の子なのに大きくなりすぎになっちゃいます…」


 フルアは、泣き笑いの顔で笑った。


 「フルアは、笑った顔の方が可愛いんだ。その方が良い」


 そう言って、また頭を撫でた。


 フルアは、ウールスに撫でられる度に、自分が大切にされてると、確認できている気がして、嬉しかった。

 今回の事だって、知らない人には、ここまで親身に教えられる事は無いだろう。

 

 師匠と弟子。

 この身内感が、とても安心できた。


 「さぁ、今日は天気も良いし、冒険者ギルドに出す薬草を取りに行かなきゃな」


 気分を変えるように、ウールスが言う。

 

 「そうですね。薬草採取の仕方も教えて貰いたいです。よろしくお願いします」


 そう言って、フルアは頭を下げた。



 

 

 フルアは、今まで突然に思い出す様に湧いてくる前世の知識が、悪の様に感じていた事を考えていた。

 馬車で、襲われた時に見た、前世の自分であるお姉さんの夢を見るまで、ずっと。

 けれども、今までの前世に対するに気持ちを、そう簡単には変える事は出来ないんだと、今回の事で身にしみて感じた。


 けれども、フルアは、決意していた。


 前世の良い物は、積極的に出していく。良くない、と思った物は出さない。

 前世の知識は、悪じゃ無かった。便利な物なんだ。


 わからなければ、師匠に尋ねれば教えてくれる。

 失敗しても、2度としない様に気を付ける。


 前世のお姉さんは、私。前世の知識も私の知識なんだ。


 もう、迷わない。

 私の前世の知識が、この世界に役に立つなら、使えば良いんだ。


 フルアは、心からそう思えた。


最後まで読んでくださってありがとうございます。


感謝します。

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