私の過去 ③
ハゲ担任に説教され、私は仕方なく美術室の前に居る。
しかし、鍵が閉まっていて中に入れない。
普段なら直ぐに帰っていたが、あのハゲ担任は今日帰ったら俺の教科の課題も上乗せするとか言いやがった。
本当に腹立たしいハゲやわ。
私は苛々しながら、美術の先生を待った。
「ごめん!待たせたね!」
爽やかな笑顔を振りまきながら先生はやって来た。
なんやねん、デートに遅れて来た彼氏か!
と心の中でツッコミ、私は無表情で答えた。
「いえ、それより早く絵を書きたいんで中に入れて下さい。」
「そうか、そうか!
やっと酒井も絵を描きたくなったかぁ!」
何アホな勘違いしてるねん。
早描きたいんじゃなくて早よ帰りたいねん。
「はぁ。」
とりあえず間抜けな返事をしながら美術室に入った。
てっきり女子生徒に囲まれながらやってくると思ったのに意外ではあったなぁ、とか思いながら絵を描く準備をする。
ちゃちゃっと描いて終わらせよ。
何描こっかな。
せや、弟描こ。
「酒井は何描こうとしてるん?」
「人物画です。」
「へぇ、誰?」
なんでお前にそんな事言わなあかんねんと思ったが、弟です。と答えておいた。
「何で弟なん?
例えば彼氏とか描かへんの?」
いや、五月蝿いな!!
そんな心乱れる事聞くなよ!!
生まれてこの方彼氏なんか出来た事ないわ!!
喪女(モテない女性の事)舐めんなよ!!
この爽やかイケメンめ!!
「そういうのは居ないです。」
「意外やね!
いつから居らんの?」
めっちゃグイグイ聞いてくるやん!
え、何、私今ナンパされてるのん?
最終どこ住み?とか聞かれる?
出会い厨される!?
「生まれてこの方居ないです。」
「嘘やん!
めっちゃモテてるのに!」
はぁ。
ほんま何なんこの先生。
遊びに来たんちゃうねん。
集中して絵を描かせてくれ、、、。
「そうですかね。
私絵に集中したいんで、黙ってもらっていいですか?」
「ああ、すまん!」
先生は爽やかな困り顔を見せて謝って来た。
いや、なんなん?
後ろから出るオーラ。
少女漫画の風○君みたいな感じのオーラ。
私はこの怒りを原動力にし、必死に絵を描きあげた。
「先生、出来ました。」
「おう!」
先生は絵を見た瞬間に黙る。
先生やったらこの芸術的センスを感じるやろなぁ。
ぼんやりしてると、
「これは、、、厳しいかな。」
なんやと!?
渾身の作品であるマイブラザーがアカンやと!
私のブラコンがこの絵に十分伝わってるやろ!
可愛い弟、女の子みたいでふにゃふにゃ笑う天使!!
アカン、涎出て来たわ。
「おーい?大丈夫か?」
先生の声でハッとする。
完全にトリップしてた。
危なかった、弟が可愛すぎるのがアカンのやで!!
「大丈夫です。
それより、何がダメなんですか?」
「弟が好きな事は伝わってくる。
けど、この絵ハート多すぎて弟が埋まってるやん。」
私の弟愛が強過ぎて弟が埋まってるやと!?
無念、、、。
こんな姉でごめん、今日切腹します。
「そうですよね。
ダメですよね、こんな姉。」
「いやいや!
そこまでは言うてないけどね!」
めっちゃ落ち込む私に焦りながら先生がフォローする。
「いや、良いんです。
正直に言うてください。
私の弟への愛が重すぎるって。」
「ほんまに困るなぁ。
とにかく、この絵はアカンけど次頑張ったらええやん!」
せやな、過去は振り返らない女やからな。
「分かりました。
じゃあ次はもっと弟の天使さを引き出せるように頑張ります。」
「もう弟はええわ!」
うわっ、こいつ私にツッコミよったで!
「もう描く気なくしたんで帰ります。」
「ごめんって!
直ぐ帰ろうとせんといて!
お願いやから!」
うるさいな!
弟愛を邪魔するな!
「いや、帰ります。」
「はぁ。
まぁええわ、今日は遅いし帰り。
でもまた明日もおいでよ。」
「もう提出それでいいです。」
「君の担任に言うで。」
「すいませんでした。
是非来させて頂きます。」
くっそぉぉお!!
あのハゲ出されたら行かなあかんやん!
私は心の中でハゲと爽やかを罵りながら美術室を出た。




