番外編 文化祭 2日目 ②
僕は、今深刻な状況に立たされている。
本気と書いてマジでやばい。
ユキが僕のクラスに来る事は分かっていた。
でもまさか今日女装されるとは思わんかった。
だって、僕男なんやで??
何故に今スカートを履いて可愛いピン留までつけられて人気のない教室におるの?
押しが弱い僕も悪いんやけど、ユキには絶対に見られたくない。
アイツとは幼馴染やけど、ユキなんか煩いしアホやし鈍感やしでこんな姿見られたら男として終わりな気がする。
しかも自分で言うのは気がひけるけど、結構似合ってしまってるのが悲しい。
「酒井アキトさん、出てきてくださーい。」
誰や!?
僕の名前を呼ぶやつは?
ユキの手下か?
「今、ユキの手下とか思ったやろ〜?
違うで〜!
君の仲間やで〜!だから出ておいで〜!」
なんで心の声がバレてるねん!!
とりあえず、チラッと様子だけ見るか。
教室の窓から覗くと、ツインテールをした可愛い女の子がいた。
ん?
あれユキの友達やん。
「早よ出てこな知らんで〜!
君の秘密ユキにバラすで?」
なんでユキの友達が僕の秘密知ってるねん!!
そんなん嘘やろ、出て行かへんわ!
「ちっ、しゃーないなぁ。
酒井アキト君はユキのことがだーいす」
ちょっと待てーーー!!!
「それ以上は言わんといて!!
なんで、ユキの友達の君が知ってるんよ!!」
「あ、出てきた。
案外チョロいな。」
「チョロいとか言うな!
ユキの前とキャラ全然違うやん!」
確かこの子はユキの友達のアカリちゃんやっけ?
ほんわかした天然系の女の子やと思ってたのに、なんやこのブラックさ!!
「男相手に天然キャラしてもしゃーないやろ?」
なんたる女豹や!
女って裏表激しすぎやろ!!
「そうかもやけど、、、。
ほんで僕に何の用?」
「ちょっと話したいことがあってん。」
何のことやろ?
まさかこの子もユキが好きとか!?
「違うで。
ユキはペットとして好きやけど。」
さっきから何で僕の考えてる事が分かるねん!
しかもユキがペットって、、、
分かるけど。
「じゃあなんなん?」
「最近、ユキの周りをうろつく蝿がおるねん。
ユキはアホやから気づいてないけど。」
蝿?
何の話をしてるんや?
「蝿やったら殺虫スプレーでシュッてすれば一撃なんじゃない?」
「アホやなぁ。
蝿って言うのは比喩でユキの周りを嗅ぎまわってる男がおるって意味や。」
なにそれ!?
そんなん初耳や!
そんな奴、僕が倒したるのに!
秒でやられるけど。
「アホって言うな!
そんなん初めて聞いたんやけど!
誰よ、そいつ?」
「美術の先生の松木や。
彼奴はヤバイで。」
「それってほんまなん?」
「ほんまやで。
ユキと一緒におる時、視界の隅に松木がおるし、ちょこちょこユキの物盗んだりしてる。」
それって、ストーカーやん!
「盗んだりって!
それユキ気づいてへんの?」
「うん。
盗む物もユキが捨てた菓子ゴミとかやからあの子気づいてない。
ユキにはこんな事言われへん。
だから、アンタを頼ったんや。」
菓子ゴミに手を出すなんて、本格的に危ない奴やな。ユキはほんまに鈍感やから、気づいてないんやろう。
「そうやったんや。
ありがとう、教えてくれて。」
「酒井には言わなあかんと思っててん。
私とあの子だけではユキは守られへんから。」
「あの子って誰?」
「酒井の一番良く知る人やで。
その子にユキを守ってる自覚はあるかは分からへん。
でもユキが1人の時は絶対にあの子がついてる。
けど、いざとなった時にあの子1人じゃ助けることは難しいかもしれへん。」
僕の一番良く知る人?
それって、、、。
「もしかして、、、。」
「私も授業とか休み時間とかは一緒に居れるからユキを守れると思う。
けど、男手があればより心強い。」
「僕、絶対にユキを守る。」
「その服装で言うても説得力ないけどな。」
あ、そういや女装のままやった。
ほんまに決まられへんなぁ、、、。
「そうやけど!
そんな事言うて、君も女の子やろ?」
「そうやけど。
これでも、空手の有段者やから。」
まじか。
人は見かけによらへんってほんまやねんな。
この女怖過ぎやろ。
「つ、強いんやね。」
「まぁね。
それより、早くユキの元に向かうで。」
「うん、分かった。」
僕はアカリちゃんと一緒に自分のクラスに戻った。
クラスに戻るとユキは僕のクラスメイトから女装写真を見して貰っていて泣きたくなった。
「アキちゃんよぉ!
ほんまにアキちゃんになっちまったんだなぁ!」
ニヤニヤと笑うユキをみて正直しばきたくはなったが、それでも自分の好きな人を守りたい気持ちに変わりは無かった。
「煩い!早よ帰って!!」
「それは無理な願いやな!
アカリちゃんとここでクッキーを食べる約束してたから!
ウチの奢りで!」
チラッとアカリちゃんを見るとニヤリと笑っていた。
こいつ、図ったな!!
「そうやんねぇ。
ユキリンは約束を守るええ子やもんなぁ。」
そう言ってアカリちゃんはユキの頭を撫でていた。
その時の勝ち誇った顔、、、。
敵に回されへんタイプのやつや。
僕は渋々2人の接客をし、その後も来るお客さんをさばきながら文化祭2日目が終わった。




