描きたされる絵 ⑦
私は、また美術室に来ていた。
どうしてもあの絵が気になったのだ。
何故、ユキが言った言葉通りに向日葵の絵が書き足されたのか。
それを確かめに来ていた。
やっぱり。
絵には、象が描きたされていた。
ユキの言っていたようなインパクトのあるものでは無かったが、秋の部分に象が林檎を食べている場面があった。
こんな偶然はあるのだろうか?
いや、あり得ない。
それにまつきという人物に聞き覚えがある。
私は絵の方をよく観察するとそこに、小さな穴が空いていることに気がついた。
この穴は何?
キャンバスをよく見るために持ち上げた。
しかし、手が滑り床に落としてしまった。
ガタッと、静かな美術室に響き渡った。
すると、突然ガラッと扉が開いた。
私は咄嗟に隠れた。
「誰だ?」
男性が入ってきた。
私はその男性の顔を見て、恐怖した。
美術の先生の松木だ。
松木は周囲を見渡し誰も居ない事を確認した。
そして、サラサラと揺れるカーテンを見て、
「ああ、風か。」
と呟き、落ちていたキャンバスを拾った。
キャンバスを持ち上げ、小さな穴の中から何かを取り出し、松木は満足そうに美術室を出て行った。
それを見て私は確信した。
あれは、小型カメラだ。
松木は、あの絵にカメラを仕込みずっとユキの様子を見ていたのだ。
だから、ユキの言う通りに絵が描き足されていたのだ。
松木はまた同じ事を繰り返そうとしている。
ユキは絶対に守る
そう決め、私は美術室を後にした。




