描きたされる絵 ⑥
「松木先生、ちょっと。」
俺は呼ばれた方に顔を向けた。
声をかけてきたのは、ユキの部活の顧問の原田だった。
「なんですか?」
「荒井の事なんですがね。
もう部活に参加させてやってもいいですかね?」
荒井とはユキの事か。
原田に頼み、美術の補講にユキが時間を割けるようにしてもらっていた。
「ええ、もう結構ですよ。」
「そうですか、良かったです。
あいつが居ないと部員が寂しがりますからねぇ。」
ユキは部内でもムードメーカーなんだな。
小動物のように目が大きくて、小柄なユキ。
いつも元気に笑うユキを思い浮かべると、俺の胸の中はポカポカする。
あの子は絶対に手に入れる。
「松木先生?
大丈夫ですか?」
「ああ、失礼。
少々考え事をしておりまして。」
「そうでしたか。
では、私も部活の方に顔を出しますので、これで失礼しますね。」
「お疲れ様です。」
俺はまたデスクに向かった。
デスクには先程ユキが持ってきた絵が置いてある。
この絵は友達を描いたと言っていた。
この絵の女性は、俺の知っている奴に間違いない。
黒くて長い髪。
切れ長の目。
そして、特徴的な白い首筋の3点の黒子。
彼女はクールで端整な顔立ちをした生徒だった。
近寄りがたい雰囲気とは打って変わって、中身は気さくで頼り甲斐のある姉御肌な子であった。
周りには人が自然と集まるような子だった。
俺は彼女を愛していた。
ただの生徒ではなく、
しかし、彼女は、、、。
もしかして、彼女は俺の邪魔をしようと言うのか?
ユキに付き纏い、俺の可愛いユキを道連れに?
俺のユキに手を出したら絶対に許さない。
そう思い、職員室を後にした。




