第五話 店長
「店長、少しお話しよろしいですか?」
「相田さん、どうしました?」
「あの、ちょっとここだと・・・」
「あぁ、なるほど。小山さーん!朝礼前に相田さんとちょっと面談してくるから残りの準備お願いできる?」
「あ、はい!わかりました!」
「ありがとう。じゃあ休憩室に行きましょうか」
相田さんは子育てでブランクがあるにも関わらず接客、技術共に優れた優秀な人材で入社当時から期待されていた。
期待通り顧客満足度調査でも100点を何度も取ったり、スタッフからの信頼も厚いので、もう会社になくてはならない存在になっている。
そんな優秀な人からの改まったお話・・・まさか、辞めないよね?
「それで、どうしたんですか?」
「えぇ、ちょっと・・・」
なんか、すごい言いづらそう・・・やっぱり。
「えーと、もしかして退職したいとかだったり?」
「いやいやいや違います!えーと、木宮さんのことなんですけど・・・」
「え、木宮くん?」
「はい・・・」
とりあえず相田さんは辞めないでいてくれるようで安心した。
「木宮くんに何か問題が?」
「えぇ、どうしてか私の身に覚えのないことを色々なスタッフに言い回っているようなんです」
「えーと、それは例えばどんなことを?」
「私に虚言癖があると・・・元いたスタッフの方はそうでないことを分かってくれているのですが、この前初めてお会いする方にそんなことを言われて、でも木宮さんは一緒に働いている時、とても好印象だったので・・・どうしたものかと悩んでいたんです」
信じられない、木宮くんが・・・今までそういった話や噂は耳にしたことがないし報告も受けていない。
一体なにがどうなってそんな話になったのか。
「小山さんがさっき教えてくれたんですけど、どうやら自分の評価を上げるために評価の高い人間の評判を下げる目的で嫌がらせをしているみたいなことを言っていたんです。まさかそんなことが本当にあるんでしょうか?あまりにも幼稚で・・・」
「なるほど・・・僕は初耳だったのでちょっとわからないんだけども、本人に確認しないといけないな。あ、その誤解をしているスタッフにも話を聞かないと、どこの店舗の人ですか?」
これが本当なら木宮くんの処遇も考えなければ。
何故かここ最近退職や問題行動といった案件が立て続けに起こっている。
うぅ、胃が痛い。




