第8話 更新切れは命取り
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よろしくお願いします。
ジャンヌも忙しかったのもあるのだが、更新切れになるまでクエストを放置していたので、例えルールは知ってはいたとしても文句は言えない。
冒険者全般がそう言った規定に対して大雑把な所もあり、同じような事をやらないように注意の意味で、更新切れになる様な冒険者にはまたルールの説明を受ける義務がある。
「冒険者にはそれぞれランクがあります。最初のランクはFランクからスタートしてもらい、Sランクまであります。ジャンヌさんのランクは現在Eランクとなります。それぞれのランクにクエスト期限があり、Eランクだと三ヶ月で期限切れとなり、一年間更新しなければ除籍処分となります。その場合には、またギルドカードを発行しても、新規登録と同じ扱いとなり、一番下の階級のFランクからのスタートとなります。また各ランクにより期限が違うのでご注意下さい。その他、気になる事などは私達職員に聞いてもらうか、ギルド内にあるルールブックをお読みして貰うようにお願いします。」
「分かりました。」
これらの情報は登録時に受ける講習で聞いていた内容なので、理解はしているし問題は無い。
ギルド職員も更新切れをした人達にだけわかる様な説明を簡単にしている。
ただ、再説明した事が何度もあるからなのか早口で説明を行なっていた。
ギルド職員からしてもこんな手間を掛けさせるなと安易に態度で示しているかの様だ。
ギルドカードの期限に関しては、ランクが上がる程にクエストの難易度も上がるので、クエストによっては長期間拘束されるような事もある。
その為にギルドランクが上がる程に更新期限が長くなる様になっている。
その他にもギルドが高ランク冒険者を手放さない為の処置とも言える。
更新切れでギルドの冒険者登録が外れてしまうのは損としか言えない。
それでも更新切れが多いのはギルドに取って悩みのタネだと思う。
高ランクのクエスト程、報酬額も高くなるので高ランク冒険者はお金が入ったら働かずに長期間休んでしまうなんて事は良くあり、そのまま更新切れになってしまったり、更新切れになる前に金が底を着いた為、さぁ復帰だってなっても不摂生に過ごしてる者が多いので、当然復帰する為に身体を鍛え直す必要も出て来る。
鍛え直している間に更新切れなんて事もあったりする。
そしてあまりにも非活動期間が長いようだとブランクもあるのだが、本人は昔と同じように活動しようとして討伐依頼に出かけてそのまま帰らぬ人になったなんてのは良くある話しらしい。
高ランク冒険者程、ギルド職員に取っては馴染みの顔も多い訳だし、なるべく更新切れなんてして悲しい思いをさせないようにと言う気持ちも込もっている気がした。
まぁ私のランクではまだ程遠い話しだ。
それよりも気になった事を聞いてみる。
「常時討伐依頼は出ている様ですが、今、私のランクで目撃例が多いモンスターは分かりますか?」
「そうですね、Eランクで受けられるクエストだと最近はゴブリンの目撃者が多い様です、他だとFランクのクックが多い様ですがジャンヌさんのランクならゴブリン討伐をお薦めします。」
「そうですか、分かりましたありがとうございました。」
常時討伐依頼なら討伐証明部位さえ持って来たら依頼達成になる。
討伐数に対して報酬も支払えるし、クエスト受注の手続きの必要が無いので楽ではある。
その代わりに報酬は依頼されたクエストでは無い分、少し安めの報酬だ。
だが今の状況だと、葬儀もあるし、軍学校にも落ち着いたら通うつもりなので、時間がある時に出来る常時討伐依頼の方が都合が良いだろうと思っている。
この世界にはレベルが存在し、レベルを上げればステータスの向上が出来るらしい。
ゲームみたいにステータスを常時確認する事は出来ないが、そう言った物を確認出来る魔法は存在して、それを商売にする人も居る。
幻術魔法では直接的な攻撃力はない為、レベル上げを行なって基本能力を上げる必要はあり、モンスターを狩るのには必須だと言える。
正直、学校で学ぶ事ではジャンヌの様なタイプではあまり旨味は無い。
戦略や集団戦術を学んだりなど有用な事は確かにあるのだが、ジャンヌの幻術魔法は個人で行うので、直接的なダメージを与えるような魔法で構成された戦略や戦術では、ジャンヌの良さは出ないのだ。
まずは、個としての力を示さなければ、私がジャンヌの代わりになったとしても、軍学校での立ち位置はジャンヌが通っていた時のような扱いを受けてしまうだろう。
一人でも戦い勝ち抜ける力を、それを今は求めている。
ゴブリン程度では対してレベルは上がらないので、実績を積んでオークなどと戦えるようにギルドランクも上げる必要があるだろう。
犯人探しは学校にさえ行けば当てがあるのでまずは強くなり、金を稼いで装備も充実させる。
今はそこを目標にして頑張ろうと思う。
そう決意して私は冒険者ギルドを後にした。
◇◆◇◆◇◆◇◆
ジャンヌの用事が済むまでに私は、写真撮影を金貨一枚で受けてくれるバカを探す必要が出来てしまった。
正直、ジャンヌに良い顔を見せようと金貨一枚などと、高額な支払いでも受けて貰えると豪語してしまったが、いざジャンヌが居なくなってからそんな物に高額な報酬を支払うようなバカはやはり居ないのでは無いかと絶望感を抱いてしまった。
いや、あの時は確かに朝の雰囲気で、そのぐらいの額でもいける気がしてしまったのも事実だ。
それに、あの時のあのバカ共の熱意には、私の常識を塗り替える程の空気感があり、その空気に私は当てられてしまったのもある。
とりあえず私は、昨日の報告書も作成しなければいけないし、業務はだいぶ溜まっているので、詰所にある連絡板にジャンヌとのツーショット写真について書いて置いた。
普段は軽い業務連絡などで使用している黒板見たいな物で、現場から直帰したり、長時間戻らなかった場合に上司が居なかったりした時に使用している物だ。
その為、連絡版の前を通る時は警備隊員は必ずチェックしているので、見たら何かしらの反応があるかもしれないと思い、書いて置く事にしたのだ。
正直、みんなの前で、大声で参加募集なんてして誰も反応せずにシーンとなったら私の精神が保たない。
ジャンヌの手前最後には、その手段を使うのも手だが、とりあえずは連絡板に書いて何も反応が無い様だったなら、今ある業務が終わる目処がついたら個別に声掛ければ良いかと思っている。
そうして、今日の方針をある程度決めて、業務を片付けようと仕事に集中してしばらく経った時の事だった。
「おい、ファリン!お前なんで連絡板にあんな事書いたんだ!」
突然、先輩隊員から声を掛けられた。
この先輩隊員は日頃から女性軽視が強い先輩で、警備隊員に女が勤まるものかと日頃から小さい事でもネチネチと言ってくる人だった。
今回は業務とは全く関係ない事に連絡板を使ったので、その事でまたネチネチと私をイジメに来たのかと思い、私は更に憂鬱な気分となった。
「ロガン先輩すいません、業務とは関係無い事を書いてしまいました。今から消して来ますね。」
「今さらもう遅いんだよ!どうしてくれるんだ??」
あぁもうこうなったらこの人は、人の意見に耳を貸したりしないだろう。
どれだけ私が説明した所で、話しが耳に入る事は無い。
一度怒りだしたら、絶対正しいと思っている意見をただ頭ごなしに伝えて来るだけだ。
正直いつもだったなら、はいはいと意見を聞きながら適当に謝るのだが、今はそんな事よりもジャンヌの為に動かないと行けないし、まだ業務も沢山残っているので、相手してる場合じゃない。
あぁ憂鬱だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。




