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史上最弱と言われる幻術魔法でも私が使えば最強の魔法  作者: 森レモン
軍学校編

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第85話 武器術

 毎日21:10より投稿します。


 もし読んで頂き、少しでも面白いと思って頂けたなら評価やブックマークして貰えると嬉しいです。

 よろしくお願いします。

 シャルルが私に話し掛けた事を皮切りに、クラスメイト達は少し警戒を緩め、やがて好奇心が勝ち、続々と私に話し掛けて来る様になった。

 まぁ、話す切っ掛けを探して居たとは感じていたので、こうなるだろうとは思っていた。

 今のクラスメイトに、私を軽蔑する様な視線を送る者は居ない。

 見た目だけで、私は既に人気者となり、このクラスでのカースト上位へと昇って行けるだろう。

 学校内での立ち位置と言うのは大事で、これから先、自分を守る為にも上位の位置を維持するのは重要だろう。

 味方が居れば手は出しずらい、だから私に今話し掛けて来る人達の相手にも、しっかりと愛想を振り撒いておく。

 ジャンヌ時代だった時の様に、カースト下位になれば周りは敵だらけになってしまうのだ。


 私の席に人が群がって居ると、トロエンが教室内に入って来る。


「おい!いつまで喋ってるんだ!早く席に戻れ!」


 トロエンが怒鳴り声を上げると、生徒達は一斉に自分の席へと走って戻る。

 トロエンは、生徒の間ではかなり恐れられて居る先生だ。

 気に入らない生徒が居れば、テストの解答に難癖を付けて、点数を落として来る事もあったりして、かなり陰湿な性格をしている。

 だが、先生と言う立場に生徒が逆らえる訳も無く、また上級貴族の子供達には優しかったりと、区別も上手いので、処世術にも長けている。

 そんな先生が、だいぶ怒った顔で生徒を睨み付けて居る。

 

 トロエンはジャンヌの事を以前嫌って居たし、それは他の生徒達も見て居たので知っている。

 だから、生徒達はてっきりそんなジャンヌと仲良くしている事に、ムカついて居るのだろうと思っていた。


「ジャンヌは病み上がりだぞ?無理して会話した所為で、ジャンヌの体調が悪くなったらどうするつもりなんだ!そうなったらお前らの責任だぞ!分かってんのか!」


 その瞬間に皆が理解する、トロエンはいつの間にかジャンヌに懐柔されて、後ろ盾にすらなっていると。


 軍学校では、貴族が通うからこそ貴族出身の教師しか居ない。

 貴族で無ければ、貴族の相手が出来ないからだ。

 そして、そんな学校だからこそ貴族主義の教師は多い、トロエンもその一人だ。

 ジャンヌは、平民出身で使う魔法も幻術魔法と言う最弱魔法だったので、トロエンからしたら軍学校に通える様な資格が無いと考えて居た。

 その為にジャンヌを嫌い、生徒達がジャンヌを虐めて居ても、見て見ぬふりをしたし、自分でもジャンヌに対しては、陰湿な虐めを行っていた。

 そうして、早く軍学校を辞めて、どっかに行って欲しいとさえ思っていたし、生徒達もそれは理解していた。


 だが、この休んでいる期間の間にジャンヌに何があったのか、トロエンに何があったのかは分からない。

 ただ、あの気難しそうな男が、あれ程ジャンヌの事を嫌っていたにも関わらずに、敵どころか味方にしてしまった。

 その180度変わった態度に、生徒達はジャンヌの綺麗な見た目が、今は恐怖の対象の様に感じてしまった。

 ジャンヌにだけは逆らわない方が良い、ジャンヌに目を付けられたら、何されるか分からない。

 トロエンを味方に付けたその手腕は、正に裏の番長的な存在だと言える、この学校を陰で暗躍する人間、それがジャンヌだと。


 だが、それも後からジャンヌが笑顔で、さっきはごめんねと謝りの対応をして来たのを見て、その可愛さに心がトキメキ、恐怖した感情は心の奥底に仕舞われるのだった。


 軍学校での立ち位置をどうしようか悩んでいた私は、トロエンのやり過ぎなぐらいの対応を心の中で舌打ちをして、みんなにフォローを入れておいた。

 あのままにしていたら、私は裏番の様な存在になるのでは無いかと勘が働いたのだ。

 ホームルームも終わり、ジロジロ見て来るトロエンに愛想笑いを送り、授業の開始である。

 

 軍学校で学ぶ事は基礎的な学問、剣術などの武器を使っての戦闘方法、魔物の生態、魔法の訓練に集団での戦闘方法などを主にやっている。

 そして、今から行われる授業では、武器を使っての戦闘方法だ。

 この授業は、私にとっては大事な授業となる。

 それは、ジャンヌの時もそうだった。

 幻術魔法に直接的なダメージ方法が無い以上は、強さをアピールするのは剣術しかないのだ。

 いくら綺麗だからと言ってチヤホヤされ様が、戦闘力が無ければ舐められてしまうし、弱いならと暴漢が襲って来る事もある。

 それは、ジャンヌの母親がされた様に、私を狙う奴が現れるかも知れないのだ。

 今は余分な敵を作るつもりは無い、私を殺そうとして居る奴らだけの相手で充分だからだ。


 武器を使っての授業では、魔法を禁止されている。

 純粋な武器術のみを使い訓練を行う、だが授業と言っても、殆どが自主トレーニングに近い形で行われる。

 それは、この世界での武器のあり方によって、そうなってしまったのだ。

 この世界ではやはり、魔法が主役である。

 武器はその補佐的な役割が多く、与えられた魔法の才能で、武器の扱い方も変わる事もあれば、どんな武器が有効的かも変わる。

 それでも、武器での主役が剣である事は変わらないのたが、癖のありそうな武器を使う生徒も多い。

 そんな中で、武器の扱い方を教えようとしても、上手くいかないので、自主トレーニングになってしまったのだ。


 そして、そのトレーニングもだいたいの生徒がペアを作って、試合方式で戦い合う形でやっている。

 私はと言うと、前みたいに虐められている訳では無いが、ひさしぶりの登校になるので、もうペアが決まっている相手ばかりの状況では、戦う相手も居ない為に、はぶけになってしまう。

 だが、そんな私にも戦う相手は居る。


「ジャンヌ、僕と一戦戦わないかい?」


 シャルルにそう言われて試合をする。

 シャルルは剣術を使う為に、私との比較対象にしやすいので、うってつけの相手ではある。

 私とシャルルが戦うとなって、周囲にギャラリーが集まり出した。

 見るのも練習の内なので、これを注意する教師は居ない。


 私とシャルルは、剣を持って形式的な挨拶をしたら、お互いに剣を振りかぶって、相手に斬りかかる。

 何度もお互いの剣と剣がぶつかり合い、剣戟音が周囲に響き渡る。

 シャルルの剣の腕は、生徒の中では群を抜いてレベルが高い、だがそれはこの世界での話しだ。

 武器だけを使う時代があり、その中から数多の達人が生まれ、そしてその技は次世代へと引き継がれていった。

 それは何度も繰り返され、最適な動きや力の使い方、効果的なフェイントの掛け方など、一つの学門と言える程に研ぎ澄まされ、近代スポーツと言う形で昇華されたのだ。

 そんな時代の武道を学んだ私からしたら、軍学校の生徒が使う武器術は、児戯にも等しく感じてしまう。


 シャルルが使う剣術は、ジャンヌ時代の記憶で良く知っている。

 ジャンヌからしたら、シャルルの剣術は相当レベルが高い印象を持っていた。

 小さい頃から英才教育を施され、剣術だけでもなく、色々な武器の扱い方にも精通している。

 生まれた場所の違いは、そう簡単には埋められない。

 そんな人間の存在は、ただの平民だったジャンヌからしたら羨ましい存在だった。


 だが、それも今日までだろう、ジャンヌでは勝てなくても、私が戦えば勝てる。

 シャルルから放たれた斬撃を、私は軽くイナしてシャルルの手から剣を手放させる。

 そして、返す剣で私はシャルルの首元に持っていた剣を添える。


「参った!僕の負けだ。」


 シャルルが負けを認めると、周りを囲んで居たギャラリーから歓声が聞こえる。

 これで、私の剣術の強さはみんなに認知させる事が出来た。


 その後の授業では、皆が私に試合を挑んで来たが、私はそれを全て受けて立ち、手ほどきして上げたのだった。

 私自身も、色々な武器を使う者達相手に、有意義な時間にもなったのである。

 この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。

 名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。

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