第84話 復帰
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そもそも、この世界ではレベルによるステータスアップのおかげで、体力作りをしなくても体力が増えているのも良くない。
ステータスに頼り切ってしまえば、痩せて様が太って様が、ステータスの能力が反映された能力で行動出来る、そんな状態なら自分の体型なんてあまり気にならなくなるのだ。
だが、ステータスが上がるのは何もレベルによるものだけではない、日々のトレーニングによってもステータスは上がるのだ。
それでも敵を倒してレベルを上げる方が、遥かに簡単なので、皆んながレベルアップに視線を向けてしまうのだ。
そんな人達と同じ位置に自分は居た。
だが、私はダイエットをすると誓っている。
ステータスアップのお陰で、ランニングもフルマラソンをしたら世界記録に挑戦出来そうだ。
筋肉が付けばそれだけ基礎代謝が上がるし、距離をたくさん走る為には、それだけカロリーを消費する。
そうして、私は人知れずトレーニングを行うのだった。
ひと通りのトレーニングを行った所で、街に帰る事にした。
ステータスアップの所為だろうか、どれだけ動いても一向に疲れる気配が無かった。
止め時も分からなくなって居たので、連絡が来たのはありがたかった。
川で汗を洗い流して街へと急ぐ、ついにネギマ、ボンジリ、シシャモの三人が到着するのだ。
三人は、ここに来るまでかなり急いで来て居たようだ。
昼間も動けるとは言え、それでも得意なのは夜だ、その為に文字通り夜通しでここまで走って来たと言うのだ。
軍学校復帰の前に、彼らに仕事を振れるのは有り難かった。
三人にはそれぞれ役割を与える、ネギマには洞窟を担当してもらい、その研究向きの性格を利用して、ゴブリンの研究と化粧品の効果などを担当してもらう。
ボンジリには、ジャンヌ宅での食事提供と新たな料理の模索をしてもらったり、私の知っている料理の再現などを行ってもらう。
シシャモには、昼の部の私の周りの調査と監視だ。
私の周りに怪しい人物が居ないかの確認と、もし居たならその人物の調査もしてもらう。
街に着いてからは、防戦一方でこちらの対応が全て後手になってしまっている。
それは、情報戦で完全に負けていると言う事だ。
それは当然とも言える、母親を殺した犯人は私の事を当然知っているが、私は犯人を一人しか知らない。
その一人しか知らない犯人を捕まえてしまえば、他の犯人は逃げてしまう事も考えられるので、私は攻勢に出る事はまだ難しいのだ。
だからこそ、シシャモの役割は大きいと言える。
シシャモは、私達がその存在に気づかないぐらいに隠密能力が高い。
そのシシャモの能力を持ってすれば、敵の存在を人知れずに探る事も訳はない。
本当は、顔が割れている犯人を追い詰めたいのだが、あいつは王家に連なる人間なので、そう簡単には行かないのだ。
あいつを追い詰める為にはまだ早い、まずはあいつからの刺客が来れば、そいつから情報を引き出したいが、それも相手待ちの状態だ。
だからこそ、私たちの今の要はシシャモと言える、私を追ってる人間を気付かれずに、調査して貰えば、相手の全容も分かると言った物だ。
三人には、ジャンヌの家と洞窟に着いて話し、今の私の状況を簡単に説明した。
これで、私の周りも準備万端だ、明日は遂に軍学校への復帰の日、少し心配だがこれの為にレベル上げを頑張って来たのだから、これから頑張って通って行きたい。
その日は、ファリンの家に帰り次の日の準備の為に、持ち物の確認をした。
と言っても、持ってく物などそれ程多くは無いので、最終確認をしただけだ。
持ち物を確認しながら、ふとある事を思い出した。
それはシーソーだ。
子供の頃に遊んだあの遊具の事を思い出して、あれを上手く利用したら、体重計見たいな物を作れないかと唐突に思い付いたのだ。
思い付いたら即行動だと思い、私は庭に出て木や紐などを取り出して、簡易的なシーソーを作り出した。
そして、私が立っている所の逆には、大きな樽を置いてそこに水を注ぐ。
私の体重と同じ重さになった所で、シーソーはバランス良く空中に浮かび上がった。
私はその樽を眺めて、現在の水量の所に傷を付けて、一人納得をして部屋に戻った。
具体的な数字が分からないにしても、これで目安は出来た。
これから水の量を減らして行けば、体重が減った事になるし、適切な体重になった時にまた目印の傷を付ければ、今後の体重管理に役立つだろう。
異世界に来てから魔法も使えて便利な事もあるけど、こういう数字関係の物とか細かい部分では、やはり前世の世界の物が時折り恋しくなったりする。
ツクネやネギマに相談したら作ってくれないだろうか?
その内に相談して見ようと思う。
今日は珍しく早い段階で家に居たので、バファを迎える形になった。
「お帰りなさい」
「ただいま〜!今日はジャンヌ早いんだね」
「明日から学校に行くから、今日は早めに帰ったの」
「あっそっか、軍学校って楽しいの?」
「うーん楽しいかは分からないけど、学べる時間って言うのも大事よ」
「そうなんだ、私はあんまり勉強とかは好きじゃないなぁ」
「勉強って言ってもいろんな種類があるのよ?例えば料理の勉強とかならどう?」
「料理の勉強??」
「そう、味付けの仕方とか、適切な火加減とか、食材によってどうすれば美味しくなったりを学んだりするの」
「それなら私も気になるかも。」
「じゃあ、今度わたしのパーティーメンバーを紹介するわよ、一応城で料理を作ってたから学べる事が多いと思うわよ」
「お城で料理!?それってすごい人なんじゃ?」
「全然気にしなくて大丈夫よ、今度紹介してあげるね」
そうして、バファを誘い出す事に成功した。
これで、二人の料理スキルが上がれば、もっと美味しい物が食べられるし、レパートリー増えるかも知れない、私の生活は更に彩られる事になるだろう。
次の日、ファリンとバファに見送られながら、私は遂に軍学校へと向かう。
昨日行った時には、目立たない様にして居たので、姿を現して軍学校に来るのはひさしぶりだ。
やはり生徒達の多くが、私に魅了されている。
ジャンヌ時代だった時には、軽蔑する様な目線が多かったのに、人は見た目で対応を簡単に変えるなと感じつつ、教室へと向かう。
教室に入ると、更に視線の的となる。
ひさしぶりに入って来る私を見て驚いて居るのか?私の変わった見た目に驚いて居るのか?それとも両方か?だが、一つ言えるのは、驚きと共に警戒をして居るのだけは分かった。
まぁ、ジャンヌの事を虐めていた奴らからしたら、虐めていた人間が突然見た目が変わって、学校への復帰をして来た。
どうして、まだ学校に来るのか分からないのだろう。
理解出来ない者が現れたら、人は警戒する。
それは、至極当たり前の反応と言える。
そんな中でも、一人だけ私に話し掛けて来る者が居た。
「おぉ、ジャンヌひさしぶりじゃないか!君の事は聞いたよ、大変な思いをしたね。あんな事があったのに、こうやってまた学校に復帰してくれて嬉しいよ。これからは僕も君の助けになりたいんだ、だからいつでも僕を頼って欲しい」
軽薄な雰囲気で、私に話し掛けて来たこの男はシャルルと言う。
軟派な男で、至る所で女に声を掛けて居る男だ、私の様な見た目の女が居たら、声を掛けない方がおかしいだろう。
「ありがとう、ひさしぶりに登校したのだけど、私には記憶が無いの。だから、これから必死に勉強してみんなに追いつきたいので、頼りにする事もあるわ。その時はよろしくね!」
「あぁ、勿論だとも!いくらでも僕に頼って欲しい!僕に出来る事なら何だってしよう」
私はシャルルにありがとうと言い、会話を終了させた。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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