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史上最弱と言われる幻術魔法でも私が使えば最強の魔法  作者: 森レモン
軍学校編

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第80話 戦いの火蓋は切られた

 毎日21:10より投稿します。


 もし読んで頂き、少しでも面白いと思って頂けたなら評価やブックマークして貰えると嬉しいです。

 よろしくお願いします。

 捕えられて居る女を見る。

 私は、彼女をどこかで見た覚えがあった気がしたが、ジャンヌの記憶を探しても、鮮明に思い出す事が出来なかった。

 そして、セセリへの彼女の返答はこうだった。


「そんな事を答えると思って居るの?もう知ってると思うけど、あなた達は私に攻撃を加える事は出来ない。それを確かめる為に、さっき私を小突いたんでしょ?」


「確かに、お前を攻撃する事は現状出来ないのね。でも、お前もこの状態じゃあ、攻撃をする事が出来ないのね」


 セセリには今、敵を押さえつけて貰っているので、敵も身動きを取れずに、逃げ出す事も出来ない状態だ。

 そして、敵は今までにセセリに攻撃をして来ていない。

 あの、体調不良になる奴をセセリにも喰らわせて欲しい。

 私だけが辛い思いしているのに、セセリは私にどうせ二日酔いなのね!とか言って私を疑ったのだ。

 だが、この女はセセリ相手に体調が悪くなる様な攻撃をして来ていない。

 それはセセリに効かないのでは無く、私にしか出来ない、一人にしかターゲットにする事が出来ないと言えるのではと思う。

 そこからも、多人数相手には向いてない攻撃だと言える。


「だいたい情報と違うのよ!なんであいつに味方が居るのよ、それにあなたは何者なの?なぜ、あなたみたいな化け物が人語を喋られるのよ」


 セセリに掛けている幻術魔法も、彼女には効いていない様だった。

 全く最近は、幻術魔法が効かない相手ばかりが出て来て困ったものだ。

 それにしても、セセリに対してこんな軽口を叩けるのも凄い、私ですら最初会った時には恐怖に負けていたのに、それもこいつの魔法によって恐怖を跳ね返しているのだろうか。

 それでも、今のセセリの姿を目の前にしたらもっと恐ろしく感じても良さそうだが…。


「化け物!?言うに事書いて、化け物は酷いのね!」


 セセリの掴む手が相手を強く握り締める、


(痛いわね!あなたが攻撃すると、私に返って来るのよ!)


(すまないのね、あいつが化け物なんて言うから、つい力が入ったのね)


(あなたの見た目はまんま化け物なのよ!悔しいなら、もっと上手く形を変えられる様になりなさい!)


(うー、分かったのねー)


 セセリを注意して再度相手を見る、情報と言って居たが、私を監視している人間が他にも居るのか?もしくは、誰かが私の情報を売っているのか?まぁ街の中の私は目立って居るから、簡単に情報は集められそうだけど。

 その情報のお陰で助かったわね、仲間が居るって知っていたら、こいつは単独で私に攻撃を仕掛けて来なかったはず、本来なら仲間の陰に隠れて攻撃する方が、こいつの魔法は効果的だろう。


「今は、僕の姿の事なんてどうでも良いのね。大事なのは僕達もお前を攻撃出来ないけど、お前も僕達を攻撃出来ないって事なのね」


「いいえ、大事なのはあなた達が私を攻撃出来ない!この一点のみよ。私がこのまま捕まって居たら、いつ何が攻撃をして来るか分からないのだから」


 確かにこいつの言う通り、時間が経てばこいつに有利に働く事は多いのだろう。

 だが、こいつの事もだいぶ分かって来た。

 要は幻術魔法で攻撃をしなければ良いのだ、攻撃判定と認められなければ、幻術魔法は使えるはずだ。

 だからこそ、対話が目的だけであれば、目の前に出現させる事も出来る。


「本当にそうかしら?あなたを観察すればする程に、ヒントを教えてくれそうだけど?」


「え?なんで?貴女がこんなに私の近くに来れるはずが無い」


「えーそうね、本来なら来れるはずは無いわね。でも来れちゃったの、それで教えてくださらない?貴女は私に何をしているの?」


「そんな事を言われて、教える馬鹿は居ないって言ったでしょ!」


「そうかしら?ちゃんと教えてくれたわよ?セセリ!」


 私がセセリを呼ぶと、セセリは彼女のポケットに手を突っ込み、ポケットに入っていた物を取り出した。


「さて、これは何かしら?見たところ人型に見えるけど?うーん何かの形代かしら?そう、じゃあこれを破壊したらどうなるのかしら?へーそうなるのね。じゃあ、その前にあなたから情報を貰わないとね」


「な!?私はさっきから何も言っていない、何故ことごとく私の心を読めるんだ!」


「この世には色々な魔法があるのだから、心を読む魔法があっても可笑しく無いわよね。だから貴女が何を隠そうとも無駄よ、さっさと吐いてしまいなさい」


 心が読める魔法が、本当に存在するかは分からないが、ここは彼女が思うように振る舞って見ようと思った。

 本当にそんな魔法があると思ってくれるのなら、彼女も諦めて何でも話すかも知れないと思ったのだ、だがその試みは失敗に終わった。


「えぇそうね、もう無駄な様ね」


 そう言った瞬間に、形代はその場で燃えて灰に変わってしまった。

 そしてそれと同時に彼女もその場で燃え始めた、その顔は痛みに悶える様にして、こちらに助けを求めている様にも感じた。

 そうして、しばらく彼女を見ていると跡形も無く消え去ってしまった。


 どうやら情報を渡さない為に、自殺をしてしまった様だ。

 自らの力で形代を破壊したのだろう。

 だが、最後の表情を見る限りは、彼女も死にたくて死んだんじゃないと、そう思う程に苦しく、辛そうに感じた。


 結局、誰が何の目的で私を狙って来たか分からなかったが、おおよその検討は付けられる。

 彼女もそうだし、そんな彼女を仕向けたのも、間違い無く軍学校の関係者だろう。


 今回の敵は、ジャングルで出会ったモンスター達とはまた違った強さがあった。

 だが、魔法に頼り切った戦い方をして来たのだろう、戦闘の駆け引きと言うのは全然上手く無かった。

 武道で言えば、全てのフェイントに引っかかる様なそんな相手だったと言える。


 もし相手が戦闘のプロだったなら、目の前に居た私の事を、幻術魔法だと疑っていただろう。

 そして、私の言葉や態度にいちいち目や身体が反応する事も無かった。

 彼女から発する、身体中のサインを見逃さなければ、何を何処に隠しているかなどは、簡単に見つける事が出来たのだった。

 彼女が使っていた魔法は恐らく、呪術魔法だと思う、呪いによる体調不良の悪化と形代によるダメージを跳ね返し。

 形代によるダメージ跳ね返しは、形代に私の身体の一部入れて発動出来るのだろう。

 形代に私の髪の毛が入っているのを確認している。

 そしてこれだけの能力だ、形代を破壊すればその全てが術者に返って来ると思って、間違い無いと思う。

 じゃなければ、あんな不自然な死に方にはならないだろう。


 そして、どうやらもうすでに戦いは始まっている様だ、軍学校からの刺客が来たと言う事は、私の記憶は正常だと判断されているのかもしれないし、疑わしきは罰せよと言う判断かもしれない。

 だが、私もこの為に鍛えて来たのだから望む所だと言える。

 今回の様な相手と初めに戦えて良かった、敵には今回の敵の様に、搦め手の様な魔法を使って来るやつも居るだろう。


 ただ、私は負けるつもりは無い、どんな手を使って来ようとも、私はそれ以上の手であいつらを倒してやるのだ。


 北の森から街へと戻れば、もう辺りはすっかり暗くなっていた。

 軍学校にまた通い始める前に、まだやる事は残っている。

 あまり焦っても仕方ないと思って、今日のところは一度ファリンの家に戻り、しっかりと休息を取る事にした。

 あの刺客の所為で何度も体調が悪くなったので、あまり良い気分では無いのだ。

 ただ、その前に一度ジャンヌの家に寄ってから帰る事にした。

 

 ジャンヌの家は警備隊員のおかげで、すっかりと綺麗に掃除されている。

 あまり、良い思い出の無い場所で、暴漢が母親にした行為を思い出せば、ここに暮らしたいとは思わない。

 だが、これから来る仲間の住むところを考えたら、ここを貸し出すのが都合が良いだろう。

 セセリやツクネのご飯も、ここで食べれば目立ったりはしない。


「じゃあ、後の事はツクネに任せたのね」


「あぁセセリ殿、後の事は私に任せて貰おう」


 セセリとツクネを昼と夜で分けて、私の護衛に付かせる事に決めた。

 これで寝込みを襲われる様な事も無いだろう。

 

 ツクネにはこの街に来る道中で、もう敬語で話すのは止める様に言っておいたので、だいぶフランクな話し方になっただろう。

 やはり、見た目イケオジに敬語って言うのは似合わない。

 まぁ、それも良いと言う人も居るかもしれないが、私はフランクな方が好みだからこのままで行く方針だ。


 適当に食べ物とセセリを置いて、私は自宅を後にしてファリンの家に向かう。

 この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。

 名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。

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