第78話 興味が無い理由
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私はリンクルの店を出た後に、ドワーフの店に向かう。
ようやく纏まったお金が出来たので、ミスリル装備一式を作って貰う予定だ。
そこに向かう間に、蔵に入っていた屋台の食べ物を食べながら歩く。
蔵に入っていたので、未だに暖かい状態で食べられるので便利な物だ。
ドワーフの店に入ると、前に会ったドワーフは店の中には居なかった。
その代わりに女性が一人カウンターに座っているのだが、顔を隠している為にどんな顔か分かりづらかった。
「すいません、店主は今居ないのですか?」
「あなたは、ジャンヌ!?いえ….、主人は今店の奥に居るので呼んで参ります」
あれ?そう言えば、この人の感じは見た事がある。
向こうの反応からしても、私の知り合いだとは思うが、ジャンヌの昔の友人だろうか?それにしても、今主人と言ったわよね?って事はあのドワーフにも春が来ていたのか。
私には全く興味が無いって感じだったのは、相手が居たからって事ね、それなら納得するわ。
てっきり、人間の女には興味が無いと思っていたんだけどね。
そして奥からドワーフがやって来て、私に声をかける。
「あぁ、ねぇちゃんか。なんだ急に呼び出して?ミスリルの剣でも作れって言うのか?」
「えぇその通りよ、でも依頼するのはミスリルの剣だけじゃ無いわ、防具も一式作って欲しいの」
「こりゃ、たまげたな。冗談で言ったつもりだったのに、もう金の用意が出来たのか?しかも防具も一式ってなると、もっと高くつくんだぞ?」
「えぇ、もちろんお金も準備は出来てるわ。それにミスリルと混ぜて欲しい素材も持って来てるわよ」
「ほう、ミスリルと混ぜられる素材か、それは気になるな、どんな物か見せてくれるか?」
そう言われて、私は素材を机の上に置いた。
「んー、結構黒い素材だが、うーん初めて見るようだがこれと似た様な物を見た事があるような?いや!?待てよ!これってもしかして、ドラゴンの爪と毛じゃないか?」
「よく分かりましたね。そうです、ドラゴンの爪と毛になります。どうですか?素材として使えそうですか?」
「使えるなんてもんじゃねぇ!これを使えばとんでもない武器と防具が出来るぞ!こんな素材一体どこで手に入れたんだ?」
「今、街を騒がせている北の森で目撃されたドラゴンの物だと思います。ちょっと北の森を探索している時に、偶然見つけたんですよね」
もちろん、見つけたって言うのは嘘だ、セセリに頼んで爪と毛を貰っただけだ。
「それって、おめぇギルドに報告しなきゃならねぇやつじゃねぇのか?」
「そんな馬鹿正直に報告して何か得があるんですか?それにこの素材扱ってみたくはありませんか?」
「ふっ、確かにな。この素材をギルドに持っていかれるのは勿体ねぇ、良いだろう!この素材を使って武器も防具もすげぇもんを作ってやるよ」
「ありがとうございます。そう言えばご結婚なされてたんですね?」
「あぁ、バレちまったか?最近奥さんになってくれたアカキリって言うんだよ、俺の一目惚れでよー!」
そう言った瞬間に思い出した。
そう言えば、孤児院に前に行った時に姉妹が言っていた気がする。
髭娘三人衆は私に寄って現在、髭がボーボーに生えている。
そんな髭の生えた女を好きになる人がいる者かと、姉妹の話しを聞いた時にはイラッとしたのだが、どうやらあの姉妹が言っていた事は本当だった様だ。
「えーっと、アカキリにはどの様な所に惚れたんですか?」
「ん?もしかして知り合いか?あぁそうか冒険者なら知り合いでもおかしくは無いだろう。それはな、あの立派な髭に惚れたんだ!俺は大の髭フェチでな、髭が生えていない女には全く興味が無いんだよ」
まさかの、髭フェチだった。
そりゃ、私を見てもなんの反応を示さない訳だ。
まぁ、好きな見た目なんて人それぞれだし、本人が気に入っているなら私から言う事は無いだろう。
ただ、アカキリはどうなんだろうか?私的には髭娘三人衆には何処かのタイミングで、髭の幻術を解くつもりでは居たのだ。
まぁ忘れなければだが、ただ流石に一生髭姿って言うのも可哀想だと思っている。
髭娘三人衆がした事と言えば、私からリヤカーの順番を横入りしただけだ。
横入りした当初は、怒れていたが今は幾分か怒りもおさまっている。
それに前回の孤児院で残りの髭娘に会った時には、また何か企んでいるのだろうと疑って居た。
だが、今回この二人に会ってあの時の言葉が嘘では無い事を知った。
その為に私は、アカキリに話しを聞いてみる事にした。
「ちょっと奥さんと話しがあるので借りますね?アカキリこちらにいらっしゃい」
私はドワーフの店主の了解を得ないまま、話しが聞かれない場所へとアカキリを呼び出して話しを聞き出す。
「それで、貴女はあのドワーフとの結婚を望んだものなの?」
「ジャンヌから見たらドワーフと結婚なんて不思議に思うわよね、でも私はあの人の事を本当に愛しているの。最初は自暴自棄になっていた所で、こんな見た目の私を綺麗って言ってくれた事が嬉しかったって言うのもあるわ。だけど、ダイアの事を知って私はさらに好きになったの。今ではこの嫌だった髭姿も、あの人が好きだって言ってくれるならと受け入れているわ。まだあの人以外の人に見られるのは恥ずかしいから、こんな姿で接客はしてるんだけどね。」
「そう、なら私から言う事は何も無いわ、ヤケクソになってあのドワーフ、えっとダイアって言うのね。ダイアと結婚したなら一言苦言を呈そうかと思っていたけど、貴女達が幸せならそれで良いわ」
状況によっては髭の幻術を解除しようかと思っていたが、それは余計なお世話になりそうだ。
まさか髭フェチなんて男が居るなんて思わなかったが、これも一つの愛の形。
美女ならぬ、美髭と野獣みたいな見た目の二人だが、本人達がそれで良ければ良いのだろう。
美髭と野獣…、そんな恋バナには需要は無さそうだが、見せ物の為に恋をしているわけでは無いものね、二人の愛を私は祝福しようと思う。
だが、そうすると残りの髭娘とクロキリとシロキリの髭解除だが、どうした方が良いだろうか?三姉妹で一人だけ髭姿と言うのもどうなんだろう。
まぁ、そこはもう少しオリを見て解除を考えましょうか。
私は、アカキリとの会話も終わったので、ダイアに話しかける。
「貴方はだいぶ愛されている様ね、ちゃんと幸せにする様にね、それじゃあ武器と防具の購入の話しを詰めましょうか」
「お前さんに言われなくても、俺はアカキリを大事にしているよ。だが、まぁありがとうな。ただアカキリの知り合いでも商売は商売、しっかりとお金は払って貰うぜ」
そう言って私とダイアは話し合いを進めていく、そもそも、ミスリルの剣を作る時に掛かるお金は、素材次第で高くなると言う話しだった。
今回は素材を私が持ち込んでいるので、いくらか安くして貰わないと割に合わない。
まぁ、技術料を負けるつもりは無いし、それはダイアが今まで培った技術経験を否定する物だし、私が値段を付けるものでは無いと思っている。
技術料は、あくまで手を施す本人が決めれば良い、それを選んだのは私なのだから。
それからも値段交渉は行われたが、採寸や武器の扱い方などもついでに見てもらった。
私の戦闘スタイルはヒットアンドアフェイ、攻撃は極力受けるつもりは無い。
だが、受ける気はなくても受けてしまうのが戦いだ、幻術魔法を使ってもジャングルの戦いでは深手を負った。
その為に、防具はもしダメージを受けてしまった時の保険として装備をするつもりだ。
動きを阻害する様なガチガチに装備を固める気は無いので、あくまでも自分のスピードを阻害しない程度に身体を守る様にしたかった。
そして、ダイアもその意見には賛成だったのだろう。
私の動きを見て、急所をしっかりと守り動きやすい防具を考えてくれる様だ。
そうして、特注の物を作る為にその日は使い易さなどをしっかりと煮詰めて、装備作成に必要な準備をした。
価格はある程度のベースは決めたが、実際に作った物を装備した後に決める。
ダイアも自分の作った出来を見てから、最後は決めたいと言っていたからだ。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。




