第74話 トメイトの真実
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ヴァンパイアと言う種族の寿命は長い、その真祖であるトメイトは、この世界に生まれたのがいつかも、既に自分では思い出せない程らしい。
そして、その寿命の長さのせいで、何人もの家族を看取って来た。
同じヴァンパイアでも、血の濃さにより寿命の長さは違う、トメイトだけは永遠とも言う時間を生きて来て、他の家族であるヴァンパイアは先に死んでしまう。
それでも、トメイトはその悲しみを抱えて一族の為に子供を成していた。
そして、ヴァンパイアが死ぬ理由は寿命だけでは無い。
ヴァンパイアには血と影を操る能力があり、並の相手では歯が立たない、特に得意なのが血を操る能力で、魔法抵抗力が弱い相手ならば、そのまま流れる血を操作して殺す事が出来る。
寿命も長く、戦闘力も高いヴァンパイアだったが、欠点もあった。
それは、太陽が出ている時間は著しく能力が落ちてしまうのだ。
思考力、身体能力も低下し、モンスターなどに襲われてしまえば、簡単に殺されてしまう。
その為に、トメイトは昼間に襲われない様に、完璧なバリアを作り出した。
種族の為に長年研究して作られたバリアは、完璧だったと言いたい。
そのバリアを使えば、どんな敵でも侵入する事も破壊する事も出来ない、そのバリアに寄って守られた町は、未来永劫栄えると信じられていた。
だが、その時も終わりを迎える。
ヴァンパイア達をアンドローサルクスが襲ったのだ。
アンドローサルクスは、その透過能力を使いバリアを素通りして昼間の町に入り込み、町に居るヴァンパイア達を食べた。
その時は昼間だったのと、バリアを信じ過ぎた結果、見張りも立てて居なかったので、気づいたらみんなが食われていたのだ。
そして、トメイトは残ったヴァンパイアで逃げるしか無かった、昼間にアンドローサルクスを倒す事が出来なかったのだ。
その為に、夜になってから町の天敵である、アンドローサルクスの討伐にみんなで向かった。
だが、アンドローサルクスの再生能力により倒す手段が無く。
そのまま、その町を放棄して今の町に辿り着いたらしい。
今では、一応門番も立って敵の警戒を行なっている。
そして、家族を増やす為に美食の街として観光名所を作り出したのだ。
だがそれも、トメイトの歳とともに上手く行かなくなり始めていた。
見た目が変われば、今までの様にはモテなくなるし、出来る限り若い女性で無いと、子供を産むのも大変になる。
顔が老ければ老けるほどに、近寄って来る女性も歳を取っているのだ。
そして、何よりも歳を取り顔が老けていくと言う事は、トメイトが永遠に生きる存在では無いと言う事の証明でもあった。
だが、そんな中で産まれたコピンはヴァンパイア族に取っての希望の光だった。
コピンはトメイトの血を色濃く受け継いでいる。
それは、魔力を視認出来るヴァンパイアだからこそ分かる事だった。
そして、コピンの子供もまたヴァンパイアになるだろうと言う確信があった。
その為にトメイトは、またコピンの様に血を色濃く受け継がれた子供を望む様になった。
コピンと同じ様な子供が出来て、その二人の血を受け継いだヴァンパイアが産まれれば、血縁者としての血が薄まる。
そうすれば、ヴァンパイア同士で子供を作る事が出来る様になる。
ヴァンパイア同士の子供なら、その子供もヴァンパイアになるだろうと考えていたのだ。
だが、そう簡単にコピンと同じ様な子は産まれなかった。
コピンが産まれたのも、今までで初めての事だったので、やはり難しいのか?それとも一子相伝の様に、ヴァンパイアを産む事が出来るのは、一人だけなのかも知れないと、最近は考え始めた。
ヴァンパイアは寿命が長い分、成長速度は遅い。
コピンは、見た目以上に歳を重ねてようやく子供を作れる様な歳になった。
それに比例するかの様に、トメイトの子供を作る能力は落ちていた、伴侶との間に子供が産まれるずに、生涯を終える事も増えて来たのだ。
世代交代、それは緩やかにだが確実に起きて居た。
だが、それを認められない自分が居た。
まだまだ自分は現役だ、この種族の為に生きて来た、その種族を息子に譲るのはまだ早い、そして種族を背負う事を、その悲しみを息子に味わせたくない気持ちもあった。
そして、そんな私を睨む様にして、目の前に息子が居た。
今はジャンヌ様とは別室に居る、コピンが私と大事な話しをしたいからと、わざわざ別室に来たからだ。
私は、コピンだけを機能不全にしたままで良いとジャンヌ様に伝えて居る。
見た目も昔に戻った。
それなら、まだまだ私は一族の為に出来る事がある。
何度も何度も家族を、そして妻を看取った。
それはいつしか私の心を麻痺させていた。
どれだけの家族が死のうとも、私にはやるべき事があったのだから、悲しみに暮れる暇は無かった。
最初の妻が先だった時には、自分の運命を呪った。
なぜ私には寿命が無いのだと、妻と同じ様に生きて死にたかった、妻は良く言っていた。
「私は、もうあなたと同じ様に歩いても夫婦だなんて思って貰えない。あなたの愛は十分受けている。だけど、私にはあなたへと愛を返し続ける事が出来ないの。どうか私以外の人も愛して欲しい、それが私に出来る愛の恩返しよ」
そう言って居たが、私はそれを頑なに拒否をした。
妻以外に愛を送りたくは無かったのだ。
彼女以外と愛を育む事など考えたくも無かった、彼女の為に生きる事が私の幸せだったのだから。
だが、人間の寿命は短い、彼女は死ぬ時に残酷にも私に言った。
「あなたとの生涯を一緒に歩めなくてごめんなさい。お願いよ?私とあなたの子供達を私の様に大事にして欲しい。本当はあなたには私以外の人を愛して欲しかった。独りになるあなたを見ていられ無かったの、だけどそれは無理見たいね。だから私達の子供を大事にして」
そう言って妻は息を引き取った。
私は自分を見失った、これからどうやって生きていけば良いのか、もうこんな人生なんて必要ないとそう思ったが、妻が最後に残した言葉が頭から離れなかった。
彼女との絆を守る為にも、その言葉を大事にしようと思った。
私は子供達を守る為に頑張った。
だが、その子供達に妻が出来て、子供が出来てもその妻と子供達の方が先に寿命を終えてしまい、子供達は私と同じ悲しみを感じてしまっていた。
その子供達の悲しみは私も知って居る。
だからこそ、私はその悲しみを背負う事にした。
私は、子供達の代わりに家族を作った。
それはいつしか、ヴァンパイアと言う種族を作り、町が出来るまでになった。
もう最初の妻との子供も、私より先に寿命で死んでしまった。
だが、子供を大事にしなければと、私は最初の妻の言葉を呪いの様に守り続けた。
だから、コピンにこの悲しみを味わせる訳にはいかない。
コピンは私を恨むだろう、とんでも無い親だと怒っているだろう、だがそのぐらいの痛みはどうって事も無い、私はもう自分を誤魔化す事に慣れた。
「父さん、もうやめてくれ。」
あぁ恨み言を言われるのだろう、そう思っていた。
「もう頑張らないでくれ、俺はもう父さんが思って居る程子供じゃない!この街の家族全てもだ!これ以上悲しみを重ねるのはやめてくれ、父さんは悲しみしかない人生だったのか?父さんにとって俺たちは悲しみが生み出したものなのか?そうじゃないだろ!?俺たちは家族なんだ!父さんだけが背負う必要なんて無い!もう父さんだけが苦しむ必要は無いんだ、後は俺達が一族を守り背負って行く、父さんはもう自由になってくれ。」
「何を!?何を言って…。」
私には、それ以上言葉を出す事が出来なかった。 そして、いつぶりになるかは分からない。
ずっと止めていた感情が、全て涙となり流れ落ち、息も出来ない程に泣き崩れてしまったのだった。
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この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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