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史上最弱と言われる幻術魔法でも私が使えば最強の魔法  作者: 森レモン
グルメ編

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第73話 男は死よりも辛い事がある

 毎日21:10より投稿します。


 もし読んで頂き、少しでも面白いと思って頂けたなら評価やブックマークして貰えると嬉しいです。

 よろしくお願いします。

 この街の人間は、昼間は明らかに元気が無くなる。

 これは、眠たいとかそう言う話しでは無い、力が出ないとか頭が働かないとか、そう言う雰囲気だ。

 それは、私と昼間に話していたイケジジの雰囲気からも分かる。

 だからこそ、私はこの街の住民は普通の人間では無いと思っている。

 ジャンヌの知識にも無いので、エルフやドワーフ、獣人が居る様な世界なのだから、私が知らない種族が居てもおかしくは無いだろう。

 昼間がダメな種族、それ以上の事を探るつもりは無かった。

 それは、ただの好奇心の為に知ろうとする事が、どこか差別になる様な気がしてしまったからだ。


 だから、この街の人間は昼は元気が無く、夜は元気になるのだと、そう言うもんだと理解だけして置いた。

 だが、目の前に居るダメオジとダメメンは昼間に元気が無い人間よりも、更に元気が無い。

 もう夜だと言うのに、この世の終わりの様な顔をしていた。

 そして、その虚ろな目で私を見るなり、それは見事にダイビング土下座を決めて来たのだ。


「「すいませんでした!どうか、どうかお許し下さい。」」


「突然どうしたのですか?」


「「ジャンヌ様がした事だと言うのは分かっています。だからどうか元通りに戻して欲しいのです。」」


 あれ?そう言えば、私こいつらに何かしてたっけ?うーん、こいつらが睡眠薬を盛った仕返しに反省させようとして…ダメだその時には結構酔っ払ってたみたいで、あまり思い出せない。


「すいません、酔っ払ってたみたいで、私が何かしたって事でしょうか?」


 すると冷静なイケジジが、会話がまともに出来ない二人の変わりに、手を上げて話しかけて来た。


「私から説明させて貰います。私達の街に住んで居る多くはヴァンパイアなのですが、そのヴァンパイアの全てが真祖であられる、トメイト様の子供になります。そして、その子供達にもその血の濃さにより、能力が変わるのですが、最も血を濃く受け継いだのが、コピン様となり待望の後継者だと期待されて居ます。ですが、今回はジャンヌ様を怒らせてしまった事により、その御二方の息子を機能不全にされてしまい、私達ヴァンパイア族の滅亡の危機になってしまったのです。」


 あぁ、そう言えば女癖が悪いのならそう出来ない様に、幻術魔法であそこの感覚を無くしたんだった。

 でも、この二人を機能不全にしたから滅亡の危機?大袈裟過ぎるのでは?


「それなら、他の方に子供を作って貰えば良いのでは?」


「ヴァンパイアが生まれるのは、トメイト様によってのみとなります。そして、コピン様にもその能力が受け継がれていると言われて居ます。」


「あぁそう言う事ですか。ですが、一つ疑問なのですが、何故私がやったと?」


「それは、ヴァンパイア族にはその目で魔力を視認出来ます、その能力も血を多く受け継が無いとダメなのですが、私達には分かります。そこに居るセセリ様がドラゴンであられる事も、私達には最初から見えていました。」


 そうすると私の幻術魔法も全て見抜かれてしまうと言う事になる。

 それじゃあ、私の天敵とも言える種族じゃないか、そんな人達に私は喧嘩を売った形になったのか。

 あっ、でもあそこを機能不全に出来ているから、見えてはいるけど、どうしようも無い事もあるのか。


「そうすると、私が能力を解除してしまえば、あなた方の敵意を、私に向けるのでは無いですか?」


「いえ、私達もセセリ様と喧嘩をする様な真似はしたくありませんし、これ以上ジャンヌ様と敵対する様な真似もしたくありません。」


「うーん、でもその二人の様な女性の敵を世に放つのも考え物ですし、それに口約束だけでは安心出来ないんですよねー。」


 そう言うと、少し冷静さを取り戻して来たダメオジが口を開く。


「もし良ければ、この城にある宝や食べ物も渡します。あなたが、食に対して多大な興味を持って居るのも、街での過ごし方を聞いて知っているので、調味料などもお渡しします。それに、安心出来ないのなら、この息子を人質に渡します。息子はこんなのでも大事な私の後継者、息子への能力を解除しなくても良いので、私だけでもよろしくお願いします。」


「父さん!まさか自分だけ助かろうとして居るのか!?息子を犠牲にして、自分だけ助かろうなんて酷いだろう!」


「黙れ息子よ!俺には差し出せる物が沢山あるんだ!お前には自分しか差し出す物はないだろう!?当然の差だ!」


 そう言うと、コピンは黙ってしまった。

 トメイトは、何と自分の息子を人質にして、自分だけは助かろうとしているようだ。

 

「あなた方に必要以上の恨みを買いたく無いので、食材と調味料だけは貰います。後は私達が持っているモンスターの素材が大量にまだあるので、それを全て買い取って貰えれば、今回の件はチャラにしましょう。」


「おぉー、ありがとうございます!直ぐに手配を!おい、ゴメ!」


「承知しました。」


「これでまた、あそこが使える!あぁ良かった。」


「あっ、また女性を蔑める様な事をしたら、同じ様にしますよ?」


「いや、それはちゃんと街に来た女性を口説いて、同意の元で行います。」


「別にこの街にも居るでしょう?街に来た女性に手を出すのは、領主としてどうなんですか?街に居る人と末長くよろしくしてれば良いんじゃないですか?」


「それはダメだ!街に居るヴァンパイアは、全て私の子供達だ。家族にそんな気は起きない。それに勘違いしないで欲しい、私はちゃんと街に来た女性との生涯を共にしているのだ、ただ寿命が違うので生涯を終えたら、新しい恋人を探して居るのだ。」


 あぁ、それは確かにそうか。

 その後も話しを聞いていて分かったのは、この真祖であるトメイトが一代で築いたのが、ヴァンパイアという種族であり、その子供達も子供を作る事は出来るが、生まれて来るのは普通の人間らしい。

 そして、ヴァンパイアはその寿命も長く、自分達の子供が先に死んでしまうと言う悲しみを経験しなければいけない。

 それは酷く悲しい物で、もう二度と子供を作ろうとはしなくなる程だった。

 だからこそ、観光地として人を呼び込み、女性が現れた場合には、領主であるトメイトに直ぐに報告が届く様だ。

 ただ、最近は領主も見た目の年齢も上がって来ていた為に、女性から若い時ほど相手にはされなくなった。

 その為に、あまり子供が産まれて居なかったので、焦りもあって私にあの様な行為をしてしまったらしい。

 まぁ、種族存続の為にも家族を増やす為にも、トメイトがしている事は、種族全体からしたら正しい事であるのだろうが、無理矢理は良くない。

 それに、この街にはまた来るかもしれないので、ここで恩を売っておくのも良いだろう。


「あなたの若い時の姿って、確認出来ないのですか?」


「それなら写真がある。」


 と胸ポケットから写真を取り出し渡して来た。

 自分の写真を胸ポケットに仕舞っているとか、どんなナルシストだよ!確かにイケメンではあるので

昔の栄光に浸りたいのかも知れないが、年相応に落ち着いたおじさんなら、もう少しモテると思う。

 焦った様なおじさんだから、モテないのでは無いか?ナルシストで、昔の栄光に縋ったやつとか、女性は鬱陶しいと思うぞ。


「これでどうですか?」


 と私は幻術魔法により、トメイトの姿を若い頃の姿を参考に加工した。

 これで、無理矢理女性を襲う事もしなくなるだろうと信じたい。

 トメイトは私に言われても、何をしたのか最初分からなかった様だった。

 だが直ぐに鏡を確認して、自分の顔を手で確認している。

 魔力を見る目で、私の魔法と言うのは分かるだろうが、加工した姿も確認出来る様だった。


「ありがとうございます!ジャンヌ様!貴方様は私達ヴァンパイアの救世主です!」


 先程から気が緩んでたのか、敬語じゃなかった言葉遣いが、また敬語になってしまった。

 

「御膳立てはしたわよ、後は貴方の実力次第、頑張りなさい。」


 すっかり立場が入れ替わり、私は上から目線でトメイトに声を掛けたのだった。

 この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。

 名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。

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