第70話 イケジジ
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屋台の店主から、教えて貰った建物の中に入ると、そこはスーパマーケットと同じ作りをしていた。
様々な物が棚に陳列されていて、お客さんを見れば、食べ物やら日用品など色々な物をカゴに入れて、何個かあるカウンターの一つを選び、購入している様だ。
その光景に、セセリはテンションがまた一段高くなっている。
「ご主人様!あれはなんなのね?それに、こっちの奴は食べ物なのね?あっあれなんか美味しそうなのね!」
店内をテンション高めに物色しながら歩いている、屋台の店主が言っていた様に、この街では野菜が多く取れるらしい。
鮮度も良さそうで、生で食べられそうなぐらいにみずみずしい。
それに植物の種子などもあり、油まで売っている。
油なんて、この世界では高級なはずなのだが、このスーパーでは安く買えてしまう、植物が豊富に取れるから、油もそこから抽出しているのだろう。
店内には、先程の屋台で見た物も沢山売っている。
調味料なんかも豊富だ、そしてやはりと言うべきなのか、チョコレートも売っていた。
これで、これから外で野営する時にも、食卓が彩る事は間違い無しだった。
私は、野菜や調味料、油などやチョコレートの甘い物なんかも、大量に買い込む事にした。
「ご主人様!これも買って欲しいのね!」
「ダメよ?欲しいのは一つだけよ。」
「嫌なのね、これもそれも欲しいのね!」
「そんな聞き分け無い事言わないの!」
「嫌なのね!買って!買って!買って!買って!
買って!買って欲しいのね!」
「もう分かったから、黙ってて頂戴!早くカゴに入れて、静かにしてなさい。」
セセリが、我儘な糞ガキみたいな事を言い始めた。
だが、それが子供の姿ならまだ良いだろう。
セセリの今の姿はバルカンに似せてある、そんな大男が買ってと、駄々を捏ね始めたのだ。
周りからの注目は相当な物で、めちゃくちゃ恥ずかしい思いをして、早々と会計を済ませて店から出た。
「もし、次もあれやったら殺すわよ?」
私は、とびっきりの笑顔でセセリに忠告して置いた。
セセリはテンションが上がって、ナチュラルハイになっていたが、私の笑顔で冷静に戻ったらしい。
そして、私達はそこからギルドに向かう事にした、ギルドも夜が通常営業なら、受け付け嬢の言っていた事が、なんと無く分かったからだ。
この街のギルドはやはり夜が本番らしく、ギルド内は大いに賑わっていた。
昼間に居た受け付け嬢は、見当たらないので昼勤務の担当だったのだろう。
ただ、いくら夜型だと言われても、昼担当になったのなら、しっかりとした対応をして欲しいもんだと、夜の受け付け嬢を見て思った。
現在、ギルド内は混んでいる様なので、私は買い取り所の方に向かう。
もし空いてたら、この辺のモンスターの情報とかを受け付け嬢に聞きたかったが、これだけ忙しい時に聞くのは、あまりにも空気が読めていない。
買い取り所に向かうと、カウンターに居る男に話しかけ、引き取って貰った素材に付いて聞く事にした。
「すいません、昼に買い取り依頼をお願いしたんですが、こちらがその時に貰った札になります。」
「あぁ、あれは貴方が持って来た素材でしたか。素材の解体費用が掛かりますが、宜しかったですか?」
「はい、それでお願いしたいです。」
「それでは、1日ほど掛かると思いますので、その時にまたその札を持って、訪ねて来て貰って良いですか?」
「はい、分かりました。」
これで素材買い取りは問題ないはずだ。
だが、明日か、その間に街の中を探索するか、もしくはギルドのクエストを受けるか。
まぁ、今回は観光がてら来てるので、たまにはゆっくりするのも良いだろう。
私達はその夜の街を堪能する事にした、今から寝て昼間に起きても、この街では意味がないので、朝になってから寝る方が良いだろう。
もしかして、その所為でみんな夜型になってしまっているのだろうか?
まぁ、それも良いかと夜の街に繰り出した。
朝まで遊び尽くし、また夜が始まる。
これだけ聞けばダメ人間の様に聞こえるが、この街ではそれがスタンダードだ。
私は、また夜の街に繰り出す為に、部屋の外に出て顔を洗おうと思い、宿の井戸がある所に行こうとした。
だが、その時にふと気づいた、外に人が居る様だった。
幻術の目により、扉の前は監視させて居る。
セセリは昨日はだいぶ楽しんだので、まだ寝ている。
私も疲れていたのか結構寝ていた、だからこの時間は、夜型の人間からしたら昼間ぐらいの感覚だろう。
どうした物かと考えて居たら、扉の前に居た人物が扉を叩く、扉を叩くぐらいだから、私と話しをしたいのだろうか?こいつを囮にして窓の外に人が居るとかのパターンかと疑ったが、それも確認済みで問題は無い。
この街で私と話したい人物が、心当たりが無いので、まぁ話す方が早いかと扉を開けてみた。
そこには、白髪の礼服の様な服を着た年配の男の人が立って居た。
歳を取って、さらに色気が増した様な人で、そうだなぁ、あだ名を付けるならイケジジだ。
イケジジは私にお辞儀をすると、またセクシーな声で私に語りかける。
「ジャンヌ様でよろしかったですか?」
「はい、私がジャンヌですが、どちら様でしょうか?」
「すいません、私はこの街の領主である、トメイト様の執事をしています。ゴメと申します。」
「領主様ですか、そのトメイト領主の執事様が、一体なんの用でしょうか?」
「はい、是非トメイト様がジャンヌ様に会いたいと言っています。よろしければ、一度領主の城に来て頂けませんか?」
突然の来訪に、突然のお誘い。
さて、これはどんな意図があっての誘いなのだろうか、私は領主に呼ばれる様な覚えは無い。
「何故、突然私を誘うのですか?」
「覚えてらっしゃらないのですか?昨日の夜に、トメイト様とお酒を飲んでいたのですが?」
ん?昨日の夜??あれ?そういえば、昨日の記憶が途中から無い気がする。
あぁ確かに、BARを見つけたので、そこに飲み行った記憶はあるが、やばいそこからの記憶が無い。
領主様に呼び出される様な事をしてしまったのだろうか?これは無下に断るのは不味いかも知れない。
「すいません、記憶があやふやで、私は何か失礼な事をしたのでしょうか?」
「いやいや、とんでもない!そこでトメイト様と、とても仲良く飲んでらした様ですよ。その時に、一度領主の城へと招待をすると約束をした様なので。」
「えっ?そうなんですか?それなら、是非一度行ってみたいと思います。いつ頃が都合が良いのですか?」
「トメイト様からは、今日お約束をされたとお聞きしましたが、大丈夫でしょうか?」
「えっ?今日ですか?…いえ、分かりました直ぐに準備して向かいます。」
「それでは表に馬車を用意しています。準備が出来たらお声掛け下さい。」
そう言って、ゴメは扉から外に出て行った。
そして私は猛省する。
何故、昨日の記憶が無いのか、起きてから徐々に昨日の記憶が回復し始めているが、肝心の領主との記憶が無い。
確かにお酒を飲んでいたが、この街の食事の美味しさに、私もついつい飲み過ぎてしまったらしく、そこから徐々にテンションが上がって、我を忘れて楽しんで居たのだろう。
それだけ飲んで、記憶も無くなって居るのに、二日酔い特有の気持ち悪さと怠さは無い。
それがステータスの恩恵か、ジャンヌのお酒の強さが分からないが、それなら記憶も残してくれよと考えてしまう。
だが、そんな恨み言を言っても仕方ないので、私は準備をし始める。
流石に領主に会うなら身体を綺麗にして、身嗜みも整えたい。
まぁ、身嗜みはどうにかなると思っている。
幻術魔法を使えば、簡単に見える姿は変えられるので、これは問題無い。
気にしたいのは身体だ、昨日飲んだせいか顔がギトギトになっている。
お風呂は無いので、タオルで拭くぐらいはしたいので、ゴメには少し待ってもらおう。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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