第6話 可愛いは正義
毎日21:10より投稿します。
よろしくお願いします。
お金を稼ぐ方法があると聞いて、私が直ぐに思いついたのが、身体を売るような仕事だった。
ただファリンは、私に好意を持ってるはずだし、そんな提案はして来ないだろうと直ぐに思い直す。
「それはどう言った方法ですか?」
「少し言いにくいのだけれど…実は警備隊員の中で、ジャンヌがすごい人気者になってるの。」
それを聞いて私には自覚しかなかった。
聞きながらファリンの言葉に相槌を打ちながら次の言葉を待つ。
「それで、これはみんなからも提案された事何だけど、私は光魔法と特殊な紙で写真を作れるでしょ?それでジャンヌとのツーショット写真が欲しいと言われたの…。」
あぁなんだそんな事か、それぐらいなら前の世界でファンサービスで何度もやって来た事だったので、お安い御用だった。
ファリンに乗り気で承諾して、実際にどのぐらい稼げる物か聞いたところ、特殊な紙が結構な値段がするらしく五枚で金貨一枚ぐらいはするらしいのと、写真を作る為の魔力的にも五枚ぐらいが限度らしいので、金貨一枚の支払いでツーショット写真を承諾するつもりらしい。
そうしたら金貨四枚分ぐらいの利益が出るらしく、葬儀代が金貨三枚ぐらいで最低限出来るので目標金額には余裕で届く。
ちなみに、写真に金貨一枚頂くのはかなりぼったくっているのだが、ファリン曰くあいつらは馬鹿だから、金貨一枚払ってでも欲しいって奴が五人ぐらいは、居るはずだと言っている。
これでだれも、買わなかったらまた次の手を考えなければいけない。
金貨はこの世界では一枚で一万円ぐらいの価値がある。
正直ツーショット写真一枚に金貨を払ってまで欲しいかは疑問だが、まぁ聞くだけはタダなので、やってみようと思う。
上手くいけば、金貨一枚余るがファリンは、これからも何かと入り用だからと言い、私に渡すつもりだったみたいだが、それは手伝って貰っているのに何もしないのは悪いからファリンに支払うと言って断った。
ツーショット写真を撮るまでに、撮りたいと言っていた人に聞いて、金貨一枚でも本当に撮りたいのかと聞いて、撮りたい人を集めないといけないので夕方ぐらいにまた来て欲しいと言われた。
それまでには、撮る人間を決めておくと言われた。
特にこの後の予定を考えて居た訳では無いのだが、私の計画で軍学校をしばらく休むつもりだったので、軍学校に行き先生に休みを頂く事を伝えに行く事にした。
そう考えると、冒険者ギルドにも顔を出したいので、冒険者ギルドにも行くつもりだ。
今日のこれからの予定をファリンに伝え、軍学校へと足を運んだ。
軍学校に行くと今までジャンヌを見て来た視線とはまた違う視線を感じるようになった。
男子学生からは、好意的な目線を感じ、女子学生からどこか憧れのような視線を感じる。
幻術魔法の才能持ちと知った時の蔑むような視線は今は全く感じなくなった。
私はちょっとした優越感に浸りながら職員室に行くと、金髪で切れ長の目をした30代ぐらいの男性で担任の先生である、トロエンを見つけたので声を掛ける。
「トロエン先生、ジャンヌです。報告が遅くなってしまいましたが、母親に不幸がありましてしばらく学校を休もうと思ってます。」
トロエンは机で書類に何やら書き物をしながらこちらを見ずに答える。
「良い身分だな、無断で休んだ癖にその上まだ休みが欲しいだと?母親に不幸だと??そんな物はシノン国には関係ないだろう?」
一応警備隊から学校側には事件の話しは伝えているはずなのだが、そんな事は関係無いと言わんばかりだ。
シノン国とはこの国の事で軍学校も国の物であり、軍隊予備軍になるのだから、そこに所属している人間は、身も心も捧げて当たり前だと言いたいのだろう、国民が死んだと言うのにトロエンは甘えるなと言わんばかりに、ジャンヌに向かって辛辣な言葉を投げかけたのだ。
「申し訳ありません。ですが、実は事件のショックで記憶にも障害があって、学校に通い出してからの記憶が今無いのです。無断で休んだのも記憶が曖昧だった為でわざとじゃありませんでした。」
記憶が曖昧なのは実際本当だ、他人の人生の記憶が突然手に入っても、整理されてない情報が目の前にあっては誰だって混乱はする。
自分の記憶だったかジャンヌの記憶だったかも戸惑う時があるぐらいだ。
特にジャンヌの記憶に関しては、自分の記憶じゃない分、思い入れがある訳では無いので日常生活に困らない程度にしか思い出せない。
それでも、ジャンヌ自身が強い思い入れがある物は思い出しやすいのだが、記憶を呼び出すスイッチみたいな物が無いと引き出しが開かれない状態になり、記憶がある事にすら気付かないなんて事もありそうだ。
ただ、全く記憶が無い訳では無い、思い出せないだけで記憶はある。
だが、私は軍学校に通ってからの記憶が無いと嘘を付いた。
記憶障害があると言った方が何かと言い訳が付きやすくて都合が良いと思ったからだ。
それに、母親を殺した犯人の一人は、私に顔を見られている。
もし私が生きていると知れば殺しにくるだろう。
私に記憶が無いと分かれば簡単に手を出しては来ないと思ったし、しばらくは私の様子を見ると考えたからでもある。
ファリンの家に住んでいるのもそれが理由でもあった。
警備隊員の家に住んでる様な人間には簡単に手を出さないと思ったのだ。
今もし、あいつらに命を狙われたら、勝てないかもしれない、もう少し自分の力と向き合う時間が欲しかった。
「口答えする気か?だいたい記憶障害なんて曖昧なものを信用なんて………。」
途中まで話していたトロエンは声が徐々に荒々しくなり、こちらを向きながら怒声を上げかけた時に急に声が止まり、目が見開き口をポカンと開けている。
「先生?トロエン先生??どうされましたか?」
「いや、あぁ…何でもない…今回は大変だったな、ちょっと先生はどうもイライラしてたようだ、朝から仕事が少し溜まってて余裕が無かったのかもしれない、今回は大変だったな、ジャンヌが落ち着くまでは好きなだけ休んで良いぞ。先生が何とかしておくから安心してくれて良い、それに何か困った事が有ったらいくらでも先生を頼ってくれ。」
トロエンは今までの態度が軟化して、ジャンヌに対して突然優しさまで見せてきた。
突然態度が変わったところでトロエンの今までの態度を許せる訳でも無いが、この変わり様は面白かった。
恐らくだが、トロエンがここまで変わったのは、ジャンヌを見てから変わった事からもジャンヌの美しさにやられてしまったからだと思う。
どこの世界だろうと男はいつも単純だなぁと思ってしまう。
「先生ありがとうございます。もし困った事があったら頼りにして良いのですか?」
「あぁもちろんだとも、それよりも本当に記憶が無いのか?」
「はい、恐らく母親が死んでしまったショックで、記憶が無くなってしまったようです。」
「そうかそれは良かっ…いやそれは大変だったな。」
こいつは、良かったと口走りそうになってやめたようだ。
軍学校に通い出してからトロエンも、ジャンヌの事を軽蔑していたし、決してジャンヌの扱いが良かった訳じゃない。
その事は自分でも自覚があったのだろう、記憶が無い事を都合良く解釈して今になってジャンヌへの印象を良くしようとしてるみたいだ。
ジャンヌなら腑に落ち無い事もあるだろう。
でも今は、少しでも自分の味方になってくれる人間は多い方が良い。
私は必要無くなるまでトロエンを利用する事に決めた。
「先生が居て本当に良かった。また学校に通う時には助けて下さいね。」
と言われたトロエンは調子に乗りながら任せろと胸を張って言っていた。
やっぱり可愛いは正義だ。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。




