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史上最弱と言われる幻術魔法でも私が使えば最強の魔法  作者: 森レモン
街娘編

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第5話 それはそれ、これはこれ

 毎日21:10より投稿します。

 よろしくお願いします。

 ファリンの家から少し歩けば自宅に着き、警備隊員が扉の前に立っていた。

 私が軽く挨拶をすると警備隊員からは少し緊張しながらも、


「ジャンヌさんですね、お話しは聞いています、どうぞお入り下さい。」


 ファリンが話しを通してくれていたのだろうか、さっき家を出たばかりなのに仕事が早い、初めて見る人だったのだが向こうは特徴を聞いていたのか直ぐにジャンヌと分かったようだ。

 私は恐る恐る家の扉を開けると、家の中は私が出ていく前と同じ状態のままだった。


 私はリビングを通り過ぎ、二階にある自分の部屋に入るとファリンの家に泊まれるように持って行く荷物を整理した。

 主に衣類が中心になるのだが、一つだけ目的の物を確認して腰に装着した。

 実は愛用の剣を取りに行く事が一番の目的だったりする。

 物騒な世の中だし自分を守る為の武器は持っておきたいと思ったのと、戦うための練習や自分の力の確認もしたかったのもある。


 他の荷物をリュックに仕舞い込むと早々に家を出てく事にする。

 また必要な物があれば取りにこれば良いし、母親が死んだ場所というのはあまり長く居ても良い気分はしないから足早に出て行く事にした。

 家を出たところで、警備隊員からは思った以上に早く出て来たからだろう、少し驚いた表情が見えたが私は気にせず軽く会釈をして家を後にした。

 私はそのまま一度ファリンの家に荷物を置きに行った後に警備隊詰所に向かう事にした。


 詰所に着き、中に入ると視線を感じたが、私はそれを気にする事なく受け付け窓口に向かい、そこに置いてあるベルを鳴らす、すると近くに居た人が緊張した感じで要件を伺って来たので私はファリンを用がある事を伝え呼んできて貰った。


 待ち合い室で少し待っているとファリンが慌てて私のもとにやって来た。

 ここじゃあ危ないからと言われて、すぐに安置所に向かう事になった。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 朝、警備隊詰所に出勤をすると、直ぐに同僚に囲まれた。

 同僚からはジャンヌの事を根掘り葉掘り聞かれたが、本人の許可無くプライベートな事を話す気は無いと一蹴した。

 どうやら昨日私達が帰宅した後にジャンヌを見た警備隊員がジャンヌのファンクラブを作り上げたらしい。

 母親を亡くしたばかりの少女に、この人達は何を考えているんだと思ったが、一応ジャンヌを見守る為の集まりで、ジャンヌに手を出す気は無いらしい。

 というか手を出そうものならファンクラブ会員から総叩きにあうという理由もあるようだった。


 自分達の人生であんなにも美しい女性にあった事が無く、みんなが衝撃を受けた。

 あんなに美しい女性を独り占めはしてはいけない、ジャンヌを絶対に守ろうと言う誓いを立てたらしい。

 まぁ私もその辺りは拒否出来ない部分があるのだが、じゃあ何故ジャンヌの事を聞くのかと、見てるだけで良いじゃないかと、言ったらそれはそれ、これはこれと、気になる女性を知りたいのは当然の事だと、みんなが口を揃えて言ってくる。


 その中にキャベジ隊長も居たことが腑に落ちないが今は気にしないようにした。

 そもそもこいつら、良い歳の癖に少女を女性と言っている時点で実際にジャンヌに会ったら何をするか分からない。

 ジャンヌからはなるべく距離を取らせようと思っていたら、受け付けをしていた隊員からジャンヌが呼んでいると言ってきた。


「変なことしてないでしょうね?」


 と聞いたら緊張して何も出来ないと言っていた。まぁとりあえずはこいつのヘタれに具合に感謝して私は直ぐにジャンヌの元に向かって行った。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 私はファリンと安置所に向かう途中で隊員達の異様な視線を感じている。

 この視線は前世でも良く受けていた私の熱狂的なファンの視線と似ている。

 ちょっと加工し過ぎたかな?と思ったが自分への好意的な目と言うのは私にとっては快感とも言えるのでやめる気は無い。

 俳優業なんて人気商売なのだから、この程度の視線には慣れているし、人に注目される為の仕事をしてたんだから、もっと私を見て欲しいと言う欲求があるぐらいだ。


 ただ、今までの世界とは違うので少し抑えた方が良いかなぁとは少し思ったが自重するかどうかはその時の流れに身を任せようと思う。

 そんな事を考えながら歩いていたら安置所に着いた。

 私自身はまだ喋ったことも無い母親だけど、ジャンヌの記憶で他人とは思えない。

 この世界で意識を取り戻してから初めての肉親をこんな形で亡くしてしまった。

 ジャンヌもあいつらを絶対に許せないし、私もあいつらは絶対に許す気は無い。

 母親の遺体を見て心の中でそう強く誓った。


「お母さんの遺体は教会にお願いして、埋葬して貰おうと思います。」


 この国では、基本的には教会にお願いして墓地に埋葬してもらうのだが、埋葬してもらうのにも二つの方法がある。

 一つは火葬をし、灰を骨壺に入れて、全て同じ墓石の下に埋められる方法だ。

 これは、最も一般的な方法で、死体を放置するとゾンビやスケルトンになってしまう事があり、その対策として手間が少なく無駄に土地を使う必要も無い為、火葬が行われている。


 他にも戦場などでは、悪い気が満ちているらしくゾンビやスケルトンになりやすい場所で、死体はその場で焼却されるらしい、そう言った名残りから火葬が行われるようになったと言う話しもある。

 だが、一番の理由はお金が掛からないと言う事だ。

 国としても死体は放置して貰っても困るしその辺に埋められてゾンビなどになっても安全上困るので国が教会に依頼をして死体処理を行っている。

 その為、多くの住民は死んだ遺体はそのまま教会にお願いして火葬と言う手段で埋葬して貰っているのだ。


 そして、もう一つが土葬になる。

 こちらは、教会にお金を払って棺と土地を借りて土の中に埋めてもらう方法だ。

 棺には教会が特殊な方法で保護を行うため、死体がゾンビなどの魔物に変わったりはしなくなる。

 棺にもグレードがあるのだが、高い物だと死体が腐らずにそのままの状態を維持する物まである。

 そう言った物は、王族や一部の貴族が利用しているらしいのだが一般市民には全く関係ない話しである。


 だが私は、土葬してあげたいと思っている。

 私個人としては火葬の方が馴染みがあるのだが、一つの墓石にまとめられて埋葬される事に嫌悪感を抱いてしまう。

 そして、出来れば父親の遺品を手に入れて一緒に入れてあげたいと思っている。


 ジャンヌは父親が殺されてから母親と必死になって逃げ出し、この王都まで来た。

 王都に来てからも二人で一緒に働き稼いで暮らしていた。

 その中で時間を見つけて、ジャンヌは軍学校に入る為に鍛錬も行っていたので、あっという間に月日が経っていた。

 そのため、今故郷がどうなっているかは知らない。

 王都としては滅んだ村と言う認識で、特に調査は行っていない。

 そんな村はそこら中にあるからだ。

 その為、もう一度そこの村を開拓しようとした時には一応調査隊を組むこともあるが、重要な拠点でも無ければまずそんな事はしないし、一度滅んだ村と言うのも縁起が悪いので放置される事は多い。


 一応、風の噂で私が住んでいた村は、魔物の群れに襲われた後、魔物の棲家になっているような噂を聞いたこともあるが真偽は分からない。

 もし、余裕があればその内に確認をしようとジャンヌは思っていたので私もその気持ちを受け継いで行こうとは思っている。

 その時に父親の所有物でも見つけられればと考えているのだ。


 だから私は、ファリンに土葬をしたい気持ちと理由を伝えたが、先立つ物が無いので諦めようと思っている事も伝えた。

 安置所で預かろうにもあまり長く放置はする事が出来ないのでやはり、火葬を行うしかないかと諦めかけたところで、


「ジャンヌさえ良ければ直ぐにお金を稼ぐ方法はあるわ。」


 とファリンから言われたのだった。

 この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。

 名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。

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