第4話 好感度は演技次第
毎日21:10より投稿します。
よろしくお願いします。
私は、人心を掴むのがとても上手く、簡単に信用してもらえる事が出来る。
それは、親友の演技、家族の演技、必要なら恋人の演技だってやれば出来てしまう。
そうやって身近な人の演技をする事でその人の警戒を解き、演技の熱具合によって好意や愛情をコントロールしながら必要な分だけを貰い接してもらえる。
そんな事が本当に出来るのかと言われれば私には出来てしまう。
そんな事をどうやるかと言えば、観察能力を極限まで鍛える事だ。
まぁ私は自然に出来てしまうのだけど、人がどのように自分の事を見ているのかを極める事が出来れば自然と身につく技術だと思う。
例えばファッションモデルなんかは自分がどの角度から見れば綺麗に写るのか、どんな表情をすれば可愛く見えるかを理解してやってるが、私はそれにプラスして相手の感情や印象まで理解して自分がどう見えるかを表現する事が出来る。
その為に、常に自己分析と相手を知る為の観察能力を鍛え続ける。
まぁ意識せずにもそれを自然にやり続けているので鍛えている感覚は無いのだけど。
そして、何故こんな話しを言い出したのか?いったい何が言いたいか?と言うと、私はファリンに事情聴取を受けている時に、ファリンの家族の演技を少しだけした、あまり深く演技をすると人によっては狂信的に私の事を大事に大事にして束縛してしまう人もいるので、少しだけした、身寄りの無い私としては何かあった時に助けになってくれるようにと言う思惑があったのだが、この世界の人は演技に耐性があまり無いのだろう、ファリンは私の演技にのめり込みつつある。
まぁなんて言うか、ファリン的にはジャンヌは私が守らなければ、大事にしなければという思いが少しではないか…だいぶ強く思ってしまっている。
部屋に案内されるとファリンは突然私の服を脱がそうとしてきた。
「ど、どうしたんですか?」
「え?寝る前に服着替えるでしょ?身体を拭いて着せ替えようと思って。」
いつの間にか用意されていた、桶とタオルと着替え用の服が置かれていた。
一般家庭にはお風呂なんてないので基本的にタオルで身体を拭くのだが、人にやってもらうなんてのは一般的では無い。
服はファリンが普段着ている服を貸してくれるのだろうが、着せ替えなんて小さい子では無いので当然自分で出来る。
「いや、あの、そのぐらいは自分で出来ますので。」
「そう?でも身体をちゃんと拭こうとしたら人にやってもらった方が綺麗になるわよ?」
「そうなんですが、まだちょっと恥ずかしいので遠慮します!」
ファリンの目が怖かったので、はっきりと断らないとずっと言い寄って来そうだと思い、強めの口調で言ったのだが、
「そう…まだ確かにちょっと早いかもね、もうちょっとしたら私が拭いてあげるからね。」
と言って部屋を出ていった。
突然で少し動揺してしまいながら話したので時間が経てばやっても良いように聞こえてしまったらしい。
どうも私をちっちゃい妹でも扱うかのようで、さらに溺愛し始めている?どこかで少し調整が必要かも知れないけど、まぁ私の事を好きになってもらって悪い気はしないので、しばらくは様子を見る事にした。
寝るための準備も終わり、知らない世界に来て初めてでようやく気が休まるのと、緊張も少しして居たのだろうか?疲れてしまっていた様で、明日からの事を考えていたらウトウトと眠気が押し寄せて来て、いつの間にか寝てしまった。
翌朝起きて、居間に行くとすでに朝食が出来上がっているようで机の上に並べられていた。
「おはようございます。もう起きて大丈夫何ですか??今日一日ぐらいゆっくり寝ても大丈夫ですよ?」
とバファに声をかけられたが、色々と考えてしまって上手く寝れないので、と答えたら悲しそうな顔でそうですかと言って、他に何を言って良いのか思いつかなかったのだろう、食卓の椅子を出して座って下さいと、手でジェスチャーをされながら言われたので、言葉に甘えてありがとうと言って座った。
それを見てバファも私の対面に座り、
「おねぇちゃんはもうちょっとしたら起きてくると思うので先に食べちゃいましょう。」
と言われたので二人で朝食を食べ始める事にした。
朝食はジャガイモを蒸した物と、昨日のスープの残りに追加で食材を入れ継ぎ足したような物が出て来た。
「すいません簡単な物と昨日の残り物みたいな物ですけど…」
顔には出ていなかったはずなので、きっと私に気を遣って出て来た言葉だろう。
「いえ、とても美味しいです。朝から作ってくれてありがとうございます。」
と言うとバファは嬉しそうにしていた。スープなどは残さず食べられるように継ぎ足しが基本だろう、ジャンヌの家でも母親がそのようにしていた記憶があるのであまり気にしていない。
そこから食事をしながら軽く談笑をしていると、
「バファおはよう、ご飯作ってありがとうねー。ジャンヌもおはよう。」
と言って起きて来たファリンが居間に来て私たちに声を掛けて来たので二人でおはようと挨拶をした。
ファリンはバファの横に座り用意していたご飯を食べ始めたが、普段から早食いなのだろうあっという間に食べてしまい、私に声を掛けてきた。
「私は今日はこのまま警備隊の詰所に出勤するけどジャンヌはどうする?もちろんこの家は部屋も空いてるし、ジャンヌが良ければいつまでも居ていいし、追い出したりなんて絶対しないからね。それに、ジャンヌの家はまだ犯人が捕まっていない以上は寝泊まりは危険だから。」
「ありがとうございます。私は一度今日家の方に行ってみようと思います。ファリンさんの家にはしばらく厄介になりたいと思ってますのでよろしくお願いします。家には服などの私物を取りに行こうと思ってるのですが…母は、母の遺体はまだ家に居ますか?」
「今は私たち警備隊が預かって居るはずよ、昨日あの後に詰所の安置所に運んでるはずだから、ジャンヌのタイミングで良いから一度詰所に来てお母さんをどうするか決めて欲しいの…。」
「分かりました、それでは今日は一度家に行って私物を取りに行って、その後に詰所に寄らせてもらいます。」
「いいの?そんな早く無くても良いのよ?気持ちが落ち着いてからでも、しばらくは預かってられるから。」
「いえ、母を少しでも早く安らかにしてあげたいですし、それに動いていた方が気持ちも落ち着くので。」
「わかったわ、今日は書類整理で1日詰所に居る予定だからもし来たら私を呼んでもらって良い??」
「分かりました。よろしくお願いします。」
そう言ってファリンは仕事へ行く支度を早々に済ませて足早に出て行った。
「まったく、おねぇちゃんは落ち着きがないんだから。ジャンヌさん、おねぇちゃんが言ってたようにジャンヌさんさえ良ければ気にせずに家に居て良いからね。」
私はそれを聞いてありがとうと良い、これは本心で言っているのだろうと、観察眼から見抜けた。
バファにも、もちろん演技は行っているが、ファリンよりかは演技にハマっていない。
若干私に対して、優しく接してくれているぐらいだろうけど、ここまで言ってくれるのは本人の優しさからくるものだ。
どこの世界に行っても家族愛を見るとホッコリとした気持ちになる。
私は自分の両親の事を少し思い出して居た。
私が仕事が忙しくなってからはあまり会えなかったし親孝行も出来ないまま自殺してしまったので、親不孝な娘になってしまったと思う。
そんな境遇からも二人を良い姉妹だなぁと思いつつ自分の家に向かい始める。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。




