第63話 セセリの進化
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アインスと入れ替わったズィーベンは、ビリ虎に攻撃を仕掛けている。
だが、音対雷ではそのスピードで完全に負けている。
魔笛ベレトの攻撃を、ビリ虎は置き去りにして避けてしまう。
だが、それはズィーベンが悪い訳では無い、ビリ虎相手に攻撃を当てる事が至難の技なのだ。
その為に、攻撃は全てカウンター狙いをするしか無い。
ビリ虎の動きは早いとは言え直線的だ、その動きを見極めれば避けたり防いだりは出来る。
ビリ虎は、ズィーベンに向かって体当たりの攻撃を仕掛ける。
ズィーベンはベレトを振り、ビリ虎の体当たりを受け止める。
だが、ジャングルタイガーよりも大きなビリ虎を受け止められる事も無く、そのまま吹き飛ばされてしまう。
残されたゼックスはビリ虎に連撃を行う。
双剣であるプルソンを使えば、攻撃は素早く行える。
だが、その攻撃もビリ虎に全てガードされてしまう。
プルソンなら並のモンスターがガードをしても、そこから雷による攻撃で相手を痺れさせる事が出来るのだが、今回は同じ属性の為にそれをやる意味は無い。
このまま戦っていても勝てるビジョンが見えなかったのだが、ここで、セセリが登場した。
セセリは、その手に持つ大剣をビリ虎目掛けて振り下ろす。
大剣とは言え、セセリの放つ大剣の剣速はかなり早いのだが、ビリ虎はそれを簡単に避ける。
だが、今回の相手はダークネスドラゴンだ、避けた先にセセリは付いて行き、再度大剣を振り下ろす。
そしてそれをビリ虎は再度避ける、だが今度は、もっと距離を取ろうしたのか大袈裟に避ける。
それでもセセリには関係無く、ビリ虎のスピードに付いて行き、また大剣を振り下ろした。
だが、ビリ虎に大剣は当たらない、セセリもビリ虎に付いて行くまでは出来るが、大剣を当てるまでは出来なかった。
セセリはそれでも諦めない、ようやく満足のいきそうな敵との戦いを楽しみたかった。
先程までは、ネズミに噛まれたり味方に矢を射られたりと散々な戦いだった。
フラストレーションも最高潮に溜まっているのだ、その発散をこのビリ虎にやって貰う気満々なのだ。
とは言え、ビリ虎に攻撃を当てないと、また違ったフラストレーションが溜まりそうだった。
その為に、セセリは考えた、大剣を当てる為にはどうしたら良いのか、もっと早く振れば当たるか?だがその攻撃もビリ虎は予測している様だ、それなら軌道を変化させればどうだろうか?ビリ虎は一瞬焦っていたがそれでも避けられてしまった。
それならと大剣を振るのを止めて突きを行う、それも一度では無い、何度も何度も突きを行う。
その突きは、セセリのスピードで行えば何百の突きが一度に行われたかの様にも見える。
だがそれもピリ虎は避けてしまう、それでもセセリは諦めたりはしない、正に百折不撓だと私はそんな風に感じてしまった。
セセリは、何故こんなにも避けられてしまうのか考える。
確かにビリ虎の動きは早い、だがセセリの動きも早い、それなら攻撃が当たっても良いはずだった。
そして、セセリはある事に気付いた、ビリ虎は避けるタイミングが早いのでは無いかと、セセリが攻撃をする時には、避ける体勢に入っている気がすると。
それは何故か?それは自分が攻撃する前に予兆を見せているからでは無いか?だが、それは当然の事だった。
セセリが大剣を使い始めたのは、この戦闘が始まってからだ。
手探りで敵を倒して、技術が上達したとしてもまだまだ初心者だ。
だが、戦場に立っている以上はそんな言い訳は通用しない。
技術が足りないなら今ここで成長するだけだ。
セセリは、出来るだけ予兆が出ない様に攻撃を繰り出す。
肩が動かない様に、腕が揺れない様に、出来る限りの予兆を決して攻撃をコンパクトに繰り出す。
そして、その考えは正しかった。
正解へと辿り着く様に、攻撃が徐々に素早くなって行く。
予兆を消そうとした結果、無駄な動きが減り剣速が上昇したのだ。
そして、それはやがてビリ虎を捕える。
余裕を持って避けて居たビリ虎は、剣を掠められる様になり、徐々に傷が増えて行く。
そして、その攻撃の精度は時間が経てば経つほど正確に鋭さを増していった。
ビリ虎は堪らずに後方へと逃げた。
だが、それをセセリは許さない、逃げても逃げてもセセリは追いかけて攻撃を繰り出す。
これが人間なら、これだけの連撃を繰り出し続けたら息が上がり、やがて攻撃を止めてしまうだろう。
だが、ダークネスドラゴンであるセセリの体力は、無限にあるかの様に連撃を繰り出す。
そして、セセリはここから更に進化をする。
セセリはまだ成長途中だ、予兆を消そうとして攻撃しても、たまにそれが出来ずに攻撃してしまう時がある。
突然、完璧に全ての攻撃を繰り出す事は出来ないのだ。
だが、それは良い具合にフェイントと言う形でビリ虎の予想を狂わせる。
望んだ結果では無いにしろ、虚と実が見事に出来た攻撃となっていたのだ。
それをセセリは戦いの中で理解し始めたのだ。
今までの様に敵を倒そうとだけしていた一撃は、敵を倒す為の場所だけを狙っていた。
その狙いを散りばめた、顔に足、胴体に首と狙いを変えた動きは、ビリ虎の予測を裏切り始めたのだ。
そして遂に、ビリ虎の眉間へと大剣が突き刺さった。
ビリ虎は、その場で崩れ落ちて死んでいった。
「やった!やったのね!僕がやってやったのね!」
セセリは手を挙げて喜んでいる。
それは自分が成長出来た事を実感出来たからだろう。
そして、その実感は嘘では無い。
最後の攻撃とかは、もう避ける事など困難だろう。
私がビリ虎の様に素早く動けたとしても、躱せる自信は無い程だった。
いつもは軽口で適当に扱って来た私だが、今回ばかりは称賛の声を掛ける。
「良くやったわね、あなたがここまで出来るとは思っていなかったわ、正直脱帽物よ。」
「ご主人様が褒めてくれた!?うわぁ、なんだか倒した事よりも嬉しいのね!これからも頑張るからもっと褒めて欲しいのね!」
「あまり、調子に乗らない様に!でもあなたの事を凄いと思ったのは本当よ、でもまだ戦闘は続いているの、そこで少し休憩しながら見ていなさい、今のあなたなら見るのも勉強になるわ。」
そう言って、私はボス猿との戦闘を続ける。
セセリがビリ虎を倒したお陰で、残りはボス猿と蟻女だけになった。
セセリがビリ虎と戦い始めた段階で、ゼックスとズィーベンは蟻女へと向かわせていた。
そして、今はドライとフィーアも蟻女に相対している。
ワルキューレ達が総力戦で蟻女に挑むのだった。
蟻女には魔法も打撃攻撃も効かない、効くのは斬撃が出来る武器だけだ。
その為に、アインスとゼックスが蟻女の主な対戦相手となってしまっている。
しかし、アインスだけで相手した所にゼックスが合流出来たのだ、それだけで戦闘は格段に楽になっている。
ただ、それでも両手の鎌を駆使して蟻女はアインスとゼックスの攻撃を防いでしまう。
その為に、どうにかしようとズィーベンでの攻撃を模索しているが、相手に有効な一撃を出せないで居た。
そんな時にドライとフィーアも到着したのだ。
だが、ドライでの攻撃も槌の為に、蟻女には効果が無い、そしてフィーアの弓も風の魔法で出来た弓だ。
矢を放っても、蟻女に接触してしまう前に消滅してしまう。
参戦出来たのは良いのだが、結局はアインスとゼックスの二人だけに、頼る様な戦いになってしまった。
それでも駒を遊ばせるつもりは無い、蟻女に無効だとしても牽制程度にはなるだろう。
ドライ、ズィーベン、フィーア、ゼックスは蟻女に攻撃を仕掛る。
それはただ攻撃を繰り出すのでは無い、どうにか有効な一撃が無いかを探る為に、多種多様な攻撃を繰り出して試す様な攻撃だった。
こうして、ワルキューレ達の総攻撃が始まった。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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