第55話 徒党
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湖の周りを歩いていると、湖に流れてくる水流を発見したので、そこから水流に沿ってさらに歩く。
だいぶ、奥まで来たはずだが、ラフレシアはどこにも居なかったので、今日は拠点に帰る事にした。
拠点に帰るまでの間に、歩きながら魚用の串作りをアインスとゼックスとセセリにさせる。
アインスとゼックスの武器なら串も作れるだろう。
セセリには細かい作業が出来る様になれば、もっと力の使い方が上手くなって強くなるはずなので、こう言う事もやらせていく。
手の形は変えられる様にはなったが、まだまだ、人間の様に手を扱う事が出来ない、ミスリルのナイフを渡してあるので、それで上手く作って欲しい。
「うわぁー!また木が折れたのね!こんな簡単に折れたら細く長い棒なんて出来ないのね。」
「それだけ、無駄な力を使ってるって事よ、アインスとゼックスを見なさい、あなたより長い武器で器用に作ってるでしょ。」
「それは、ご主人様が操作してるからなのね。」
「あら、そう動く様にプログラムしてるだけで、私は今操作してないわよ?」
「うぅー、そんなよく分かんない能力に負けたくないのね、頑張るのね。」
セセリは先程から木を折ってばかりで、串は出来ていない、あの様子だと出来ても歪な形になりそうだから、焚き火の火種にでもするしか無さそうだ。
拠点に着いて、焚き火の周りに串に刺した魚を並べて行く。
ふと思い立った事があったので、ドライにソードフィッシュの剣部分を叩き粉末に変えて貰っている。
あれだけ硬くても、粉末状にしてしまえば食べられるだろう。
塩味が効いていて美味しいと言ってたし、魚に振りかけたら良いアクセントになりそうだ。
「あぁ、僕のオヤツが…。」
「あなたが、私の目の前でこれ見よがしに、美味しそうな音を立てるからじゃないの。」
「それは仕方ないのね、食べたらどうしても音が出てしまうのね。」
どれだけ言い訳しようが、私の前で一人だけ食べてる状況が悪いのだ。
そうして十分に焼けた魚に粉末を振りかける。
一口食べてみた。
これはと思い、もう一口食べて見る。
やはり間違い無かった、見た目からそんな味がするなんて想像出来なかったが、この味は正しく鮎だ!それも養殖の鮎なんかじゃない、天然の鮎の味がする。
これなんだよなぁーこれ、この味は確かに追い求めていた味ではある。
だが、異世界で味わえるとは思っていなかった、前世でも中々味わえなかった味、小さい頃に知り合いの叔父さんが釣ってきた魚を、食べさせて貰えるぐらいで、それ以降は養殖などは食べていたが天然と言うと食べていなかった。
小さい頃に食べた忘れかけていた味が、今蘇った気分だ、たまに思い出しては、直ぐに手に入らないので忘れてしまっていたが、こんな見た目も何もかも違うこいつから、思い出させてくれるなんて、うん見た目じゃないよってこう言う事よね。
食べてみなきゃ味は分からない、そしてそれは剣を潰して粉末にしたこの粉にも言えた、これはセセリは塩味と言っていたが、これは塩である。
それも岩塩に近いだろう、ソードフィッシュは剣の部分と身の部分で、完成された食べ物だったのだ。
剣から出来た塩だから剣塩?まぁ名称などは自分達が分かれば問題無い。
そう言えばセセリの味覚は一体どうなっているんだろうか、今後も毒味役をやらせるつもりなので、味覚の精度も知っておきたい。
味音痴って言うわけではないと思うのだが、どうも偏った味が好きな気がするのだ。
「ここにある焼いた魚A〜Cを食べて一番美味いのどれ?」
「Bが一番美味いのね!味が一番濃くて好きなのね!」
「じゃあ、私が一番好きそうなのはどれ?」
「うーんご主人様はたぶんCなのね、このぐらいの味付けを好んでる気がするのね。」
魚Bは、私が一番剣塩を振りかけた魚だった、ただ、魚Cは私が一番美味しいと思った様に振りかけた魚だったので、セセリは味音痴では無いらしい、ただめちゃくちゃ濃い味が好きなだけだった。
「そんだけ味が濃いと塩辛いとか感じないの?」
「特に感じないのね!味が濃い方が美味しいのね!」
まぁ好みは人それぞれだし、ドラゴンの健康事情は知らないけどたぶん、濃い味を食べ過ぎて病気になる事はないだろう。
今までの食事事情的にも、あまり調理した食べ物を食べた事がないだろうし、舌が今は喜んでくれているだけかもしれないしね。
明日からは、そろそろラフレシアを討伐したい。
その為に、今日は美味しい食事をしてお風呂に入り英気を養った。
だが、ジャングルの中は結構探したのだが、これだけ見つからないとなると、何か見落としているのだろうか?このまま闇雲に探すよりは、しっかりと考えて探した方が良いのだろうが、良い案も思い浮かばない。
とりあえず明日もまだ、探索してないエリアを探して歩いてみようと思う。
朝起きた時に、何か違和感を感じた、その違和感の正体が分からないのだが、何か嫌な予感がしたのだ。
「何か…何者かの気配?」
「うーん僕は何も感じないのね?」
「何かこう祭りの前のそんな気分になってしまうの。」
何だろうか、心が落ち着かない、その時だった。
「ドカーン!!」
門の方からデカい音が聞こえた。
私達は直ぐに門の方へと駆け出した。
門を見ると破壊されていた、そして破壊したと思われるモンスターが、その破壊した門から遺跡へと侵入をし始めていた。
破壊したモンスターは、状況から考えてもゴリアスの群れで間違いない。
ゴリアスはその肩の砲塔を使って、門を破壊したのだろう。
だが、遺跡に侵入して来ているモンスターはゴリアスだけでは無かった。
ジャングルタイガーの群れも遺跡へと侵入して来たのだ。
「何こいつら?徒党を組んだって事?そんなのありなの?」
「僕もこんなの初めて聞いたのね、モンスターは基本同一種としか組まないはずなのね。」
「じゃあ今、目の前の状況はなんなのよ?」
「僕に言われても分かんないのね、でもジャングルを沢山荒らしたから、僕たちを共通の敵として認識したのかも知れないのね。」
「倒し過ぎたって事?でもあいつらから仕掛けて来たんじゃない!こんなかよわい乙女を徒党を組んでイジメようなんて性根が腐ってるわね。」
「かよわいとか乙女とかは、ちょっと何言ってるかわかんないのね、それにそんな事言ってる暇は無いのね。」
セセリが言う様に、呑気に会話している暇は無い様だ。
今この時も大量のモンスターが遺跡へと侵入して来る。
門を塞がれているので出口は無い、セセリに乗れば逃げ出す事も可能だが、こいつらが徒党を組んだ以上は、今後の探索にも支障が出るだろう。
それに、こいつらのこの性根を叩き潰してやらないと気が済まないと思った。
「あぁもう仕方ないわね、私達に挑んだ事を後悔させてあげるわ!」
「ご主人様、僕はどうするのね?また見てるだけなのね?」
「あなたも戦って良いわよ、ただし、武器を使って戦いなさい、武器でのみ攻撃を許すわ。」
「武器を使うのね?ご主人様の戦いを見てて、面白そうだと思ってたからやって見るのね!」
セセリもたまには戦わせないとフラストレーションが溜まるだろう、武器を使っての戦いならセセリに取って良い修行にもなりそうだ。
私は、ワルキューレ達を化現させてモンスターの群れに向かわせる。
私も薙刀を構えて挑む、セセリはどんな武器を使うか悩んでいる様だった。
体積を自由に変えれるので、武器に合わせて体積を変えて素振りをしている。
そんな暇は無いと思うのだが、セセリの足元にはあぁでも無い、こうでも無いと蔵の中にある大量の武器が積み重なっていく。
セセリが気に入った武器を使えば良いと、私はセセリに何も言わずに任せる事にした。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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