第52話 阿修羅モード
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アンドローサルクスは愚直に攻撃を繰り返す、それしか出来ないし、それが最良だと思っているからだ。
相手が何度も透過能力を使おうとも、いつかは当たるはずだと信じている。
だが、ここに来てまた不可思議な現象が起こってしまう。
透過能力はもう知っているのだから、攻撃が通り過ぎるのは仕方ない、だがその後に喰らった攻撃は納得が出来なかった。
突然、人間が増えて自分をあらゆる所から攻撃をして来る。
そしてまた、消えてしまった。
それが何度も行われる。
そこまでされたら自分でも分かる、敵は目の前に居る敵以外にも居る。
だが、その敵がどこから現れるかは分からない、だけど、必ず敵は居るはずだった、だから攻撃を仕掛けて来た所に向かって、攻撃を仕掛けて見る事にした。
必ずどこかに居るはずなのだから。
今まで見たいな自分で居ては勝てない、もっと考えないと、このまま攻撃され続けたらいつかはやられてしまう。
考えろ、考えろ、考えろ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
アンドローサルクスの攻撃は囮に釣られ無くなってしまい、どこに攻撃するのか分からない為に、攻撃しあぐねてしまった。
攻撃自体に変化は無いものの、攻撃するポイントが分からなければ、透過解除のタイミングが分からない。
例え、攻撃が成功したとしても、準備していた攻撃では無い為に、どうしても浅くなってしまう、そうなると身体が再生してしまうので、倒しきる事が出来ない。
その為に私は囮を使うのはやめ、広範囲に攻撃は出来るが致命傷に届かない為にワルキューレを出す事もやめた。
最初と同じ状態に戻ったのだが、違う部分はある、それは私の腕の数だった。
両手で薙刀を装備して、その腕から生えた腕には雷の魔双剣プルソンが装備されている。
右肩からは腕が二つ生えて、土の聖槌デメテルが装備され、左肩からは火の聖剣ヘバイトスが装備されている。
背中から生えた腕には、風の聖弓イーリスが装備されて、顔から生えた腕には音の魔笛ベレトが装備されている。
「へ〜んしん!阿修羅モード!」
「なんか人間離れした姿になってしまったのね。」
「五月蝿いわね、見た目も大事だけど、強さも大事なの!雰囲気が間違って無ければ良いのよ!」
「ご主人様の美学とやらは難しいのね。」
見た目にこだわっていたのだが、そのこだわりも捨ててしまった。
ここまでしたのだから、必ず勝つしか無い。
ワルキューレの操作に集中する必要が無いので、腕の操作だけにこれで集中出来る様になった。
相変わらず目の前の敵は、あさっての方向を攻撃しているので、私は魔笛ベレトと、風の聖弓イーリスで攻撃をする。
敵がこちらに近づくまでは遠距離攻撃で問題無い、今はもう姿を隠すのはやめた。
いずれ敵も気付くだろう、敵は一人になったのだと。
アンドローサルクスは、無秩序な攻撃をやめて、今は私だけに攻撃をして来ている。
私だけを敵として認識出来た様だった。
戦闘が始まって、どのぐらい掛かったか分からないが外はもう暗くなり始めていた。
体力的にもそろそろ限界だろう、それに比べて無尽蔵を思わせる程に、再生を繰り返しているあの敵に勝つ為に、何処かで賭けも必要だろう。
ここで勝負を決めたい、そう思い残った体力を振り絞って、最後の攻防に向かう。
アンドローサルクスは、こちらに向かって今まで通り攻撃を仕掛けて来た。
私はそれに向かって真っ向から攻撃を挑む、アンドローサルクスの顔面に向かって、聖槌デメテルを打つける。
アンドローサルクスの重量と走行スピードを考えると、衝撃力は途轍もない事になるだろう。
そして、私の体重は決して重くない、アンドローサルクスに当たった瞬間に吹き飛ばされてしまう。
だが吹き飛ばされたのは聖槌デメテルのみ、幻術で作られた腕は、私から生えてる様に振る舞っているだけなので、私に衝撃は無い。
だが、次の攻撃はそうも行かない、聖槌デメテルで少しだけ勢いが弱くなったアンドローサルクスが私の肩を掠める。
私はその攻撃の衝撃を受け流す様に、その場で回転して受け流す。
アンドローサルクスは、私の肩を掠めた後に聖槌デメテルによって作られた、土の分厚い壁に衝突している。
完全に動きが止まったアンドローサルクスに向かって怒涛の攻撃を行う。
アンドローサルクスが、透過解除されてから再び透過するまでには、数秒だが攻撃チャンスが生まれる。
その数秒を使って、ひたすらに攻撃をする。
聖剣ヘバイトスが高温の火を出しつつ、敵の身体を焼き、魔双剣プルソンが高速の攻撃で、敵を切り裂く、聖弓イーリスが切り裂いた箇所を援護する様に大量の矢を放ち、その矢を更に援護する形で、魔笛ベレトで矢を振動させて貫通力を増す。
そして私は左手は殆ど添えるだけで、右手で薙刀を持ち攻撃をする。
先程、避けた時に掠っただけの肩が外れてしまったか、もしくは折れているかも知れない。
だが、今はそんな事を気にしている場合では無い、激痛を我慢して左の肘だけを動かして、左手に力を込める、恐らく右手だけでは届かない、そう感じたからだ。
「あぁぁぁああああああ!」
痛みに耐える為に気合いを込めて叫び、薙刀を突き刺していく、そして私は悟ってしまった。
この敵には今の私では絶対に倒せない事を…。
「ハハハハハ!そう言う事ね!私の努力は無駄だったって言う事ね!」
私の薙刀は確かに奥まで届き、アンドローサルクスの内臓などの、重要な器官がある場所まで届いていたと思う。
だが、薙刀から伝わって来る感触でそれが分かった、身体の中に入った薙刀が感じた物は空洞だった。
考えて見ればその可能性は考慮すべき事だった。
もし私が透過能力が合ったなら、必ず試していただろう。
だが、目の前の敵からそんな事をする素振りは無かったので失念していたのだ。
私はその為に、アンドローサルクスから距離を取った。
アンドローサルクスが何をしたのか、それはあの無反応な表情から逆に嘲笑っているかの様に感じた。
アンドローサルクスがした事は簡単な事だ、透過能力が全身にだけ作用する物だったのでは無い、部分的に透過する事も可能だったのだ。
その能力により、内臓などの重要な器官を透過したのだろう、それをやられてしまえば私に致命傷を与える手段が無くなってしまう。
だが、私はこの時気付くべきだったのだ、アンドローサルクスも余裕があった訳では無かった。
アンドローサルクスは、この戦闘で初めて考える事を覚えたのだ。
今までは部分透過など必要となる敵は居なかった。
厳密には部分透過自体は行っていたのだが、それは本能から当然の様に行われていただけで、意識して行っていた訳では無かった。
そして内臓を部分透過する事は、アンドローサルクスにとっては苦肉の策だった。
内臓だけを部分透過すれば、当然透過されていない身体とは接続されていない事になる。
透過されている部分は、直接触る事も干渉する事も出来ない。
部分透過する事により身体を支える重要な器官が存在しなくなってしまうのだ。
その為に、私が部分透過されている部分を解除させない様に動いてさえいたら、アンドローサルクスは息絶えて居たのだ。
その事に気づいてさえいれば、アンドローサルクスを倒す事が可能だったので、後一歩の所までは追い詰めていたのだ。
だが、この極限の戦いでそこまで気づくと言うのは酷な話しなんだろう。
今となっては千載一遇のチャンスを潰す事になり、アンドローサルクスの身体は既に再生してしまった。
ここから私がアンドローサルクスを倒す事などは難しいだろう。
私もまた、限界まで力を振り絞っていたのだ。
同じ攻撃がまだ出来る程の体力は残っていない、私が全力で攻撃をする事は、残りの体力を考えたら一撃のみだろう、それではアンドローサルクスを絶命させる事は出来ないだろう。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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