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史上最弱と言われる幻術魔法でも私が使えば最強の魔法  作者: 森レモン
ジャングル編

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第51話 交差する思い

 毎日21:10より投稿します。


 もし読んで頂き、少しでも面白いと思って頂けたなら評価やブックマークして貰えると嬉しいです。

 よろしくお願いします。

 私は、ワルキューレ達を囮にして、どうにか弱点が無いかを探している。

 薙刀を使って、身体の色々な所を斬っているが、アンドローサルクスにこれと言った弱点は見つから無かった。

 火力が圧倒的に足りていない為に、傷は直ぐに再生されてしまう。

 一度、足を切り落としてしまおうと思い、足の切断には成功したのだが、それすらも再生されてしまった。

 こいつが一匹居れば、無限に生えて来る肉になるんじゃないかと思ったが、こんな奴を家畜に出来る自信は無い。


「それにしても、こいつは痛覚が無いの?こんだけダメージを与えたら少しぐらい痛そうにしなさいよ!」


 私が叫んでもアンドローサルクスは反応を見せない、こいつのこの無反応ぶりに段々と腹が立ってきた。


「絶対にあんたには痛いって事を教えてあげるんだからね!」


 半ばヒステリックになっているかも知れないが、ムカついて来たのだから仕方ない。

 こいつの再生能力も無限に続く訳では無いだろう、攻撃を繰り返せばいつかはダメージが通るはずだと思っている、というか思いたい。

 だが、ここでアンドローサルクスの攻撃に変化が現れる。

 先程までは幻術魔法で作った私に対して攻撃を繰り返していたので、その後に私は消えた状態で攻撃を繰り返して居た。

 ワルキューレに関してはその都度、幻術で化現させている。

 ワルキューレも消えた状態で攻撃が出来れば良いが、ワルキューレ達に物理的な攻撃力があるのは聖剣や魔剣のおかげだ。

 ワルキューレ達の気配を消してしまうと、聖剣や魔剣もワルキューレ達の存在を感じられずに扱う事が出来なくなる。

 面倒だが、通常時は消してアンドローサルクスが透過能力を解除する度に化現させて攻撃している。

 だからこそ、ワルキューレ達は気配が無い状態なので、アンドローサルクスは幻の私に攻撃するはずだったのだが、突如として消えている私に向かって攻撃をして来た。

 何故突然位置がバレてしまったのか、思い当たるフシが全くなく、私は困惑してしまった。

 完全に気配を消して居たし、自信もあった。

 今まで誰かに気付かれる事など無かったし、ドラゴンであるセセリでも、私が姿を消したら捉える事が出来なかった。

 だが、続いてのアンドローサルクスの行動を見て安堵した。

 私の幻を含めて、至る所に攻撃を仕掛けている。

 どうやら先程私に向かって攻撃して来たのは偶然だったらしく、私を捉えた訳では無かったらしい。

 ただ、幻だと言う事は理解したらしく、自分が攻撃された辺りを闇雲に攻撃を繰り返していた。

 もしかしたらこいつも焦って来ているのかも知れない。

 そう思って私は、アンドローサルクスに向かって攻撃を繰り返していた。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 アンドローサルクスは焦っていた。

 いつもなら相手が自分の身体を傷付ける事なんて無かったのだが、目の前の人間のメスは、自分を幾度と無く攻撃を繰り返して来る。

 生まれて初めての痛みは、叫びたくなる程に痛かった。

 だが、自分には声帯が無かった。

 群れでの生活も無く、隠れようと思えば隠れられる透過能力がある為に、助けを呼ぶ必要も無い。

 圧倒的な強さを誇る為か、相手を威嚇する必要も無い、母親から産まれた時も母親は歩きながら私を産み落とし、特に気付くことも無くどこかへ行ってしまった。

 これは自分の母親が悪かった訳では無く、アンドローサルクスと言う存在が全てそうなのだ。

 産まれて直ぐにも関わらず、母親の助けを必要としないのである。

 その為に産まれながらにして孤独な存在だった。

 常に孤独に過ごす為に、コミュニケーション能力は必要が無く、声帯は必要とせず、顔の表情の変化も無い。

 そのおかげで、相手がアンドローサルクスを何度攻撃しても、何にも感じてないと思い、諦めて逃げる事もある。

 だが、目の前の人間は逃げる事もせずに、何度も自分の身体を傷付けて来る。

 しかも、今まで与えられた事もない程の、感じられた事もない程のダメージが自分を襲って来るのだ。

 今までにも人間には出会った事はある。

 だが、どの人間も自分の攻撃を避けるので精一杯で、たまに攻撃するのも遠目から擦り傷程度になるぐらいの攻撃しか出来ずに、自分でも大した痛みも感じないままに再生してしまう。

 だが、この人間は違った、絶妙なタイミングで攻撃をかわしたかと思えば、今まで感じた事もないダメージを喰らってしまった。

 今までとは違い、自分の奥深くまで攻撃が届いている事を知った。

 だが、再生能力で身体は元通りになる為に、負ける事は無いと思ったので、また攻撃を繰り返す。

 何度も痛い思いはしたが、それでも我慢すれば直ぐに再生される、圧倒的に有利だと思っていたのだ。

 そして、目の前の人間はついに諦めたのか、こちらに向かって突進して来た、力比べでも使用と思っているのかと思ったが、次の瞬間に人間の行動の本当の意味を知り驚愕した。

 確かに透過能力を使用している時には攻撃は当たらないが、こちらからも当てる事は出来ないだけで、相手からしたらいつ解除されるかも分からないのでダメージが怖い為に、透過能力利用して攻撃して来るなんて思わなかった。

 そして、そんな自分にに突っ込んで来るなんて信じられなかった。


 人間が自分に比べて弱い事は知っている。

 自分の攻撃を喰らったら、簡単に死んでしまう脆い生き物だと思っている。

 だが、自分には先程痛みを知った、死ぬ時はこんな痛みでは無いはずだ、あの人間なんて力も無さそうで、見た目は弱々しいとさえ思ってしまう。

 でも、中身はどんなに強靭なんだろうか、あの人間の勇気に感動すら覚えた。

 そして、あの人間が放った攻撃は凄まじかった。

 お腹が熱くて痛かった、いつもは直ぐに全て再生すると言うのに、再生するまでに時間が掛かってしまう。

 ふと、逃げ出したい気持ちになった。

 だが、それは許されないだろう、あそこに居るドラゴンは自分よりも遥かに強いのは分かる。

 自分が逃げようとしたら止めに掛かるだろう、それぐらいに睨みを利かせているのが伝わって来るのだ。

 初めてだった、透過能力があれば攻撃なんて喰らわないのだから、透過し続ければどんなに強い敵からでも逃げ出せる。

 だが、あのドラゴンはダメだ、格が違い過ぎて心がひれ伏してしまう。

 だから、自分には今目の前の人間から逃げる訳にはいかなかった。

 再度、人間に攻撃を仕掛けた、すると人間は今度は逃げなかった、だがこの人間をもう侮る事はしない、何かして来るかも知れないと思っていたのだが、まさかの透過能力を使われた。

 自分以外でこの能力を使う者など見た事が無かった、自分が絶対的に有利だと思っていた能力を同じ様に使われてしまった。

 だが、先程から攻撃は当たらなかったのだから結局は同じ事だ、横に避けるか通り抜けるかの違い、透過能力は自分にもあるのだから戦況は何も変わっていない、だがその考えも甘かった。

 何故攻撃を受けたのかも分からない、だが確実に身体は傷付いている。

 どこからとも無く見えない刃が自分を傷付けた、身体に感じた痛みがそれを教えてくれたのだ。

 その後は、人間が不可解な行動をした、突然石を投げて来たのだ、透過能力を確認しているのだろうか、透過能力が解除出来ない。

 だが、そうなる事は同じ能力を持っている同士分かっているはずだが、何故そんな行動をしたのか分からない。

 何か意味があっての行動なのだろうか、思考が読めない事がこんなにも怖いと思ったのは初めてだった。


 そして、人間とドラゴンが話しているのが聞こえた、瞬間ドラゴンから殺意が伝わって来る。

 殺意だけで自分の存在を消してしまう様な、そんな気分にさせられた。

 そして、ドラゴンと目が合った、ドラゴンは自分を見てつまらない者を見るような、そんな気持ちが伝わって来た。

 きっと感じた通りに、あのドラゴンなら自分を簡単に消し去ってしまうのだろう、だから自分には全力でこの人間を倒すしか無い。


 ドラゴンと人間の会話が終わったのだろうか、人間の雰囲気が変わった気がする。

 だが、自分には攻撃を繰り返すしかないので同じ様に攻撃をする。

 この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。

 名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。

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