第47話 ワルキューレに負ける
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警戒対策はとりあえずは置いておいて、昨日倒したモンスターをセセリに見せて貰う。
倒したモンスターは全て蔵に仕舞ってもらって居るので、昨日は暗かった事もあり、あまりしっかりと見ていなかった。
蔵から出てきたモンスターは、昨日倒したジャングルタイガーを除くと、二足歩行の蟻モンスターでキリングアント、蛙型で紫色をした毒々しいモンスターであるポイズントード、そして、猿型で腕の筋肉が異様に発達したゴリアスだった。
ゴリアスは猿型とは言ったが、見た目は完全にゴリラだ、だがゴリラと違うのは肩に砲塔の様な物が付いていて、そこから空気砲が飛んでくる。
昨夜もこいつらと戦った時には、その遠距離攻撃に悩まされる事になった。
見た目、近距離攻撃専門の様な奴らなのに、遠距離攻撃もしてくるのはずるいと思う。
しかも、その空気砲から放たれる攻撃は、木を易々と木っ端微塵にしていたので、破壊力は抜群だろう。
そして、こいつらは木々を手を使って移動する。
それが何を意味するかと言うと、木々にぶら下がったまま砲撃を行う事が出来るのだ。
まさに移動砲台と言って良いだろう、しかもそれが群れで襲って来るのだ、夜の暗い中でゴリアス達を倒すのは苦労した。
ギルドでも、要注意モンスターとして掲げられる程だと嬢ぺディアさんが言っていたので、昨日の惨事は二度と起こしては行けない事態だったと言える。
昨日はセセリには戦闘に参加させないと言っていたにも関わらず、戦闘に参加するように指示を出していたぐらいだった、酔っ払って寝不足でと言う状況は、その危機感の無さからそんなに危険が無さそうに感じるが、実はかなりのピンチだったのだ、セセリが居なければ、はっきり言って昨日で私の異世界人生は終了していたかもしれない。
蔵から出して貰った物の内、ポイズントードを焼いて食べる事にした。
嬢ぺディアさんが言うには、焼いてしまえば毒も消えるそうで、味も淡白であっさりして美味しいとの事だった。
朝食べるには丁度良いだろう。
街からは何も持って来ていない訳ではない、ちゃんとバファから頂いた、パンなどもある。
少し硬めのパンではあるが、ポイズントードの肉と挟めば噛みごたえと、共に広がる味わいが食欲を満たしてくれる。
セセリには大活躍をして貰ったので、沢山料理を作ってあげる。
昨日から少し不機嫌そうなので、胃袋掴んで離さない様にしなければいけない。
朝食も終わり、ジャングルの探索を行う事にする、ジャングル内は視界が悪い為に、目を飛ばしての探索も難しく、目は上空から見える部分での探索になっていた。
そして今、私達が仮宿にしているこの木だが、ジャングルの中でもやはり群を抜いて大きいらしく、遥か上空まで木が伸びている。
目印には丁度いい部分もあるので、ここから今後も探索を行うつもりだ。
今日の探索の一つの目的として、水場を探す事もある、昨日は雨が降っていたので、水は確保出来たが今日も降るとは限らない。
飲み水程度であれば、持っているので問題無いが、風呂に入るなら水の確保は重要だ。
ツヴァイを連れて来て居たら、水の聖剣テディアで、難なく水の確保が出来るのだが、向こうは向こうで大事な拠点だ、このぐらいは自分の力で頑張って探そうと思う。
その為に、水場を探す為に、今度は音と匂いに頼ろうと思った。
鼻に耳が付いただけの奇妙な物体を作りだして、それをジャングルの中に飛ばしていく。
我ながら随分と奇妙な物体を作り出してしまった物だ、普通の人間が見たら新たな魔物が出たと騒ぎになってしまうかもしれない。
幻術魔法は、その場に居ないと姿を隠すのは難しい部分がある、出来ない事は無いが精度は落ちてしまうのだ。
姿を隠す為には、その場で風景に違和感がない様に相手に見せる必要があり、匂いや音もその場所で感じられる物に合わせて作り出している。
その為に遠い場所や自分が居ない場所などでは、予想でしか出来ない為に、どうしても違和感が出てしまうだろう。
まだ、街の中など自分が知っている場所なら出来るがこのジャングルでは難しいのでやっていない。
それに、これだけたくさん出現させた目や鼻耳を見えない様に消すなんて、集中力がいくらあっても足りないだろう。
やろうとしも出来ないだろう、私の脳はそこまでマルチタスク向けに出来てはいない。
そうして、現在ジャングルの中では、かつてない奇妙な現象が起きてしまっている。
ジャングルの上空では目だけが浮遊し、ジャングルの中では鼻耳があちこちを飛び回っている。
ジャングルで生活していたモンスター達には、脅威に映った事だろう。
最初は警戒していたが、煩わしさもあったのか現在は至る所で、私の幻術に攻撃を加えようとしている。
いくら攻撃しようが幻術なので、なんの影響も無いのだが、それを見たモンスター達の殺気は更に増してしまった。
攻撃の通じない物体に脅威を感じつつある様だ、そしてゴリアスが良くなかった、上空にある目を撃ち落とそうと砲撃を繰り返してしまった為に、いろんな所で二次被害が発生して、モンスター達が一触即発の状態になりつつある。
「はぁ…どうして争いって無くならないのかしらね。」
「ご主人様がそれを言うのって、なんか違う気がするのね。」
「こんな状況になってしまったのは仕方ないもの、気の利いたセリフの一つでも言わなければやってられないわ。」
いつもより、殺気が増しているジャングルを歩けば、モンスター達が躊躇無く襲って来る。
私は、ただ水場を探したかっただけなんだけど、ジャングルが戦場と化してしまった。
もう少しデザインにこだわるべきだったのか、でもあまりにイメージと掛け離れた物だと機能が発揮できない、やはり目や鼻や耳といった固定されたイメージだから、その機能が十分に発揮出来ると言う物だ。
良くある異世界物なら、自分のスキルで無双出来るはずなのに、私は思ってもない角度から事件が発生してしまっている。
まぁ、なんでもかんでも思い通りに行かないから現実は楽しいのだ、事実は小説よりも奇なりとは良く言ったもんだ。
目の前には、キリングアントが身構えて居た。
ジャングルのモンスターは、単独で行動するモンスターなど殆ど居なく、ほぼ群れとなって行動している。
その為に目の前のキリングアントも複数体居る、キリングアントは二足歩行で、腕が四本ある。
上側に位置する腕は、蟷螂を思わせる様な鎌になっていて、腕の先は切れ味が良さそうに鋭い。
そして下側の腕は槍の様になっていて、先端に行くほどに鋭く尖っている。
頭部を見れば、異様に発達した顎や歯が恐ろしく感じる。
もし、あの鎌や槍で捉えられてしまえば、あの顎で頭部から食べられる事だろう。
まさにキリングに相応しい容貌だろう。
そのキリングアント相手に戦っているのだが、ワルキューレ達は善戦をしているが、私は苦戦をしていた。
ワルキューレは、相手の攻撃力なんて関係がなくダメージは通らない、幻術相手にキリングアントは無駄な攻撃をして隙を晒すだけだ。
ワルキューレの持つ武器も優秀で、キリングアントの腕ごと切り落としてしまっている。
そして私はと言うと、ブロードソードの限界に嘆いていた。
ブロードソードで、キリングアントの鎌を受け止めた時に、刃こぼれをして不味いと思って咄嗟に引いたのだが、それ以降はブロードソードが折れない様に、慎重に攻撃を受け流すので精一杯だった。
良さそうな武器は、ワルキューレ達に全てあげてしまったので、私はしばらくは、ブロードソードで戦おうと思っていたが、ジャングルのモンスター相手では役に立たないらしい。
幻術魔法を駆使して、キリングアントをなんとか倒し切ると、私が倒したのが最後の一体らしく、ワルキューレ達との戦闘力の開きを確認して、悔しい気持ちになった。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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