第38話 お手入れにはお金が掛かるのです
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本来なら上級ポーションが欲しいところだが、今回のところは中級ポーションを買う事にする。
流石にまだ金貨十枚を、簡単にポンと出せる程お金を稼いでいないからだ。
「それでは、中級ポーションを三本ください。」
「分かりました、お題は金貨三枚になります。取って来ますので少々お待ちください。」
そう言って奥に行ってしまったので、私はその間に金貨三枚の準備をする。
「お待たせしました、こちらが中級ポーション三本になります。お代は丁度ですね、ありがとうございます。」
特に問題無くポーションが買えたので、さっさと帰ろうとしたところで、声をかけられた。
「すいません、もしよろしければですが、質問をしても良いですか?」
そう言ってきたが、早く帰宅したい気持ちがあるので、少し悩んだ。
だが、天然物のエルフを見るのは初めてだったので、少しエルフについて知る良い機会ではあったので、質問に付き合う事にする。
演技をする者として、いろんな事を知り得るのは重要な事だ。
「私に答えられる質問なら答えますよ。」
「初めて見たのですが、あなたは人間ですか?」
めちゃくちゃ失礼な質問が来た、こんな可愛い子を捕まえて人間ですかってどんな質問だよ。
「見ての通りだと思いますが?人間じゃなきゃ何だと言うのですか!?」
「あっすいません、そう言うつもりで言った訳では無いのです、その、あまりにも美しくて私はエルフですが、エルフの中でも貴女程美しい人を見た事が無かったのです。人間では尚更、エルフより美しいなんて信じられなくて。」
「あぁそう言う事ですか、ちゃんと人間ですよ。」
「その、また失礼な事を聞いてしまうかも知れませんが…、化粧品は何を使ってますか?流石にすっぴんでは無いのは分かります!それにその綺麗な肌…、肌ケアって何をされてるんですか?相当高価な物を使ってるはずです!それに冒険者ですよね?格好を見れば分かります!なのに何で日焼けしてないんですか?日焼けどころかシミすらないじゃ無いですか!そんなのおかしいです!日焼け止めですか?どんなのを使ってるんですか?私なんて日焼けしない為に、外を出る時は皮膚が隠れる様に全身に日焼け対策してるんですよ!?でも今さっき店に入ってきた時に、絶対日焼け対策してなかったですよね?それなのにその肌って信じられないです。」
かなりの勢いでエルフに捲し立てられてしまった。
私がエルフに対して思うところがあった様に、エルフも私に対して思うところがあった様だ。
「えーとすいません、質問には企業秘密で答えられません。それよりも、化粧水などを手に入れる事が出来るのですか?」
私が質問に答えられないと知るとすごいジト目でこちらを睨んでくる。
「化粧水はこの店でも売ってます。」
かなり、エルフはむくれた顔で言ってきた。
「では、その化粧水以外も、先程言った日焼け止めもあるって事ですよね?売っていただきたいです!」
「どれも、お売りする事は出来ません、お客様には必要無いんじゃないんですか?」
エルフはだいぶご立腹な様子で、私への反応も、どんどん冷たくなっている気がする。
だが私だって化粧水も日焼け止めも欲しい。
「え〜とそれは意地悪ですか?」
「違います!売る気は無いですが、商売人であるプライドもあります!今は北の森にドラゴンの目撃があったせいで素材が足りて無いんです〜。」
ついにはエルフが拗ねてしまった。
なんか可愛く見えてしまう、男の子が女の子をイジメる心理が分かる気がする。
そして、売って貰えないのはどうやらセセリの所為らしい、どう転ぶかによってはお仕置きが必要だろう。
「冒険者が北の森に行かなくなったからですよね?もし私が素材を取ってきたら売っていただけますか?」
「えっ?行ってくれるんですか?それなら素材も買い取りますし、日焼け止めも直ぐに作って差し上げますよ!」
「え?おねぇさんが作ってるんですか?」
「はい、この店にある物は全て私が作った物です、本当に助かります。化粧品は私が使う物ですら素材が足りて無かったのでどうしようかと思ってました。まぁ化粧品を買うお客様も居ないのですが…。」
「え?誰も買わないんですか?」
「化粧品なんて使う人は、貴族ぐらいしか居ないんですよ。」
「じゃあなんで化粧品作ってるんですか?」
「そんなの私が使う為に決まってるじゃ無いですか!そのついでに売れたら売ろうぐらいです。売れなくても損は無いんです。」
「でもエルフは長齢で若い時期も長いって言うし、おねぇさん程綺麗な人ならそこまでこだわらなくても大丈夫そうじゃないですか?」
「貴女がそれ言います?それにエルフが長齢だからです!人間からしたら若い時期が長いかも知れないけど、そのぶん歳とってからの時期も長いんです!だからこそ、お肌のケアをしないと肌が汚い時期をずっと過ごすんですよ?耐えられますか?200年間若さにあぐらをかいてケアを怠ったら、残りの300年間ずっとシミだらけのお肌ですよ?特にエルフは綺麗だからこそ、自分の栄光時代と比べてしまうんですよ!」
凄い、このエルフのおねぇさんの熱意が凄い、でもこれだけの熱意を持ったおねぇさんなら品質も確かな物なはず、これは協力するしかない。
「おねぇさんの熱意には感動しました。是非、協力させて下さい。欲しい素材があれば何でも入手してきて見せます!」
「え?何でもですか?あーでもどうしよう…。うーん悩む。」
「何か困る事でも?」
「その、欲しい素材は沢山あるのですが、お金の方が…。必要な素材って高くて、それに現状使っている物とは別に研究もしたいので。」
「研究ですか?化粧品のでしょうか?」
「もちろん化粧品です!美を追い求めても終わりなんて無いんです!だから貴女の使っている物も教えて欲しいんです。」
「私のは教えられませんが、研究を行っているのなら素材はタダでお渡ししますよ、それに必要なら出資もさせて下さい。私も、より良い物が使えるなら欲しいのです。」
「え??ほんとですか??それがほんとなら化粧品もタダでお渡しします!それに出資までして貰えるなら売れるか分からないですが、売り上げのいくらかはお渡しします。」
「それは助かります、後、作った研究段階の化粧品を試す当てもあります。なのでどんどんいろんな物にチャレンジして頂きたいです。」
「私、貴女の事を意地悪で嫌な人って思っていましたけど、考え方を変えました!これからよろしくお願いします!」
「えぇこちらこそよろしくお願いします。私はジャンヌと言います。」
「ジャンヌ、私はリンクルよ。」
この後熱い握手を交わし、私達は今後の事を話し合った。
とても有意義な時間だったと思う。
今日は色々なサプライズがあり、私にとって忘れられない日になりそうだ。
私はリンクルの為に協力を惜しまないつもりだ。
ただ、出資するとまで言ってしまったのでお金を沢山稼がなければならない。
明日からもギルドにお世話にならないと行けない。
私はポーション屋さんを後にすると、その足で警備隊詰所に向かった。
今行けば、丁度ファリンの仕事が終わるぐらいだろう。
詰所に着くと、警備員が私を見つけて直ぐにファリンの元まで案内された。
私も有名人になったものだ。
「ジャンヌ!丁度良いところに来てくれたわ!写真用の紙が今届いたの、人選は済んでいるからツーショット写真をお願い!」
着いて早々にツーショット写真を撮る事になった。
地道にお金を稼ごうとした矢先に大金が手に入る。
良い意味で計画が狂ってしまったが、私取っては得しかないのだから快く写真を撮る。
このお金があればリヤカーも買えるだろう。
そして大きなリヤカーを買えば、またさらにお金が稼げる。
私の異世界生活は、順調に進んでいくのだった。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。




