第35話 演技力で勝負
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ワルキューレ達はその背中に生えた翼を使い、縦横無尽に飛び回り、ドラゴンからの攻撃を避けたりしている。
そんなワルキューレに向かって攻撃を繰り返すドラゴンだったが、その攻撃がワルキューレ達を捉える事もあるが、実際に当たる事は無い。
元は幻術魔法なので、実体が無いのだから当然だ、ただ当たりはしないが、やられたフリはしている。
幻術魔法だと気づかれない為に、攻撃を喰らった様に倒されている。
だがその度に私は、
「ツヴァイ化現しなさい、ゼクス貴女も、もう一度よ!」
そう言って何度も化現しなおしている。
「何で何だな!召喚魔法なら魔力はもう底を付くはずなんだな!お前の魔力はどれだけ多いんだな!?」
ドラゴンは、私が召喚魔法を使っていると思っている。
確かに召喚魔法を使った場合の魔力消耗は激しいだろう。
自分よりも格上の存在を呼ぶ様な召喚魔法は、そのぶん魔力消耗が激しい。
だが、私の幻術魔法は実体などは存在しない、ただそこにある様に見せているだけで、本来は存在していないので干渉する事も出来ない。
召喚魔法みたいに、そこに本来は存在しない者を魔力で実体を呼び出している訳では無く、本来存在しない物を魔力で見せているだけでは、魔力はほとんど使わないのだ。
だが、実際には干渉できるはずが無いのに、ワルキューレ達は、ドラゴンに武器を持って向かい攻撃をしてダメージを与えている。
「イタッ!?痛い!?何で何だな?僕にダメージを与えるなんて考えられないんだな!?」
ドラゴンには実際は直接的なダメージは与えられていない。
だがドラゴンが武器を本物と認識してしまっている。
そして、私に恐怖をしてしまっているからだろう、本来傷付くはずなんて無いと分かっていたはずなのに、私の攻撃ならもしかしたらと思ってしまった。
そのせいで、ドラゴンの身体が脳が本来傷など付いていなかったのにも関わらず、ドラゴン自身が傷付いているはずだと、身体に表現してしまったのだ。
そしてそれは、ドラゴンが意識してやった事では無く、無意識に身体が反応してしまっている、このドラゴンからしたら理解が出来なくても仕方ない。
「どんだけ攻撃しても無駄なんだな!僕の身体は闇で出来ているから、なんど攻撃しても僕の身体は再生してしまうんだな。本来なら普通の武器で攻撃しても、闇である僕には攻撃は通じないはずだったんだな、でも魔法の武器じゃ仕方ないんだな!」
どうやら、このドラゴンは物理攻撃が効かないタイプだったらしい。
危なかった、魔法の武器だと勘違いしてくれたから、ダメージが通ると思ったみたいだ。
ドラゴンがペラペラと喋ってくれるので、こいつの弱点も簡単に分かってしまう。
もちろんワルキューレ達が持っている武器は、魔法の武器どころか普通の武器でも無い、と言うかワルキューレ達には、武器を触る事が出来ないのだから持たせたくても持てない。
そしてドラゴンには魔法の方が効く様なので、ワルキューレ達は一斉に魔法を放つ、
「火魔法ファイアジャベリン!」
「水魔法ウォータージャベリン!」
「土魔法ロックジャベリン!」
「風魔法ウィンドジャベリン!」
「氷魔法アイスジャベリン!」
「雷魔法サンダージャベリン!」
「光魔法シャインジャベリン!」
「影魔法シャドージャベリン!」
「聖魔法セイントジャベリン!」
私を含めた、9つの魔法の槍が各々の属性を伴って、ドラゴンに直撃する。
「痛い痛い痛い!?何で何だな?魔法だって僕の闇の前では、闇に吸収されて大したダメージにはならないはずなんだな、それに影魔法なんて闇の前では無効化するはずなのに痛かったんだな。」
どうやら魔法も大して効果が無いらしい、普通に戦ったら物理攻撃も効かない、魔法攻撃も効きずらいとか、もうほぼチートじゃないか、流石に正面から挑む気にはなれない。
「どう?あなたでは私に勝てないのが分かったんじゃない?」
「五月蝿いんだな!僕が人間如きに負けるわけが無いんだな!僕はダークネスドラゴンなんだな!全ての現象を飲み込む深い闇なんだな!」
「五月蝿いと言っているあなたが一番五月蝿いじゃない!あなたは私に負けるの!あなたが人間如きと侮った私にね!!」
「そんな風に言っても無駄なんだな!僕を倒すなんてパパ上、ママ上でも無い限り出来ないんだな!」
そう言うと、ダークネスドラゴンは身体の周りに闇を纏わせ始めた。
「槍なら僕にだって出来るんだな!」
纏わせた闇から槍の形状に変化をすると、私を含めたワルキューレ達に向かって放つ、全ての槍がワルキューレ達に突き刺さり、ワルキューレ達が生き絶える。
「何度やっても無駄よ!あなたが何度攻撃しようとも、ワルキューレは何度でも蘇るのよ!」
そう言って、また私はワルキューレを化現させる。
実際は無駄なんて事は無い、流れ弾が姿を消している本物の私に当たれば、私は即死してしまう。
そして、ダークネスドラゴンの放つ魔法はとんでも無く早い、9人のワルキューレを操作しているので、反応が遅れるとは言え、ワルキューレ達を避ける動作すらさせて貰えずに当てられている。
もしあれが本物の私に向かって放たれたとしたら、私は避ける事は出来ないだろう。
放たられたと思った瞬間には着弾している、見てから避けるなんてのは不可能だろう。
だからこそワルキューレ達が本物だと疑われない様に、全力で騙すしか無かった。
死の危険が間近にある今、私の演技に熱が入っていく。
普段は熱が入りきらないように注意しているのだが、もうそんな事も言ってられない。
演技に熱が入れば、演じている人間になりきり、私の意識が戻って来れなくなってしまう。
それこそ、前世の時に大量殺人を犯した様に、自殺をしてしまった様に、役が抜けなくなってしまう。
だが、今回は熱演しなければ、このままいつ私まで攻撃が届くか分からない。
もっと深く深く、私は演じる、ドラゴンを倒せる様に、ワルキューレを従えるに相応しい人物に。
「お前がどれだけそいつらを呼んでも無駄なんだな!僕は無限に再生続けるから決して死ぬ事は無いんだな!だけど、お前の魔力はいずれ尽きるはずなんだな!だから僕は負けないんだな!」
「そう、無限に再生続けるのね、それは無限に痛みを感じると言うことで良い?」
ワルキューレ達は手を天にかざし、各々の属性の色をした、大きな球体の様な魔力の塊を手の先に出す。
その大きな球体を私が作り出した球体に向かって一斉に放つ、私が作り出した球体に、他の8つの球体が混ざった瞬間に、球体がバチバチと音を立て、その球を維持出来ないぐらいに暴れ回っている。
周囲には風が吹き荒れ、球体から漏れ出したエネルギーの余波で地面が抉れ、木々が倒れ、川は球体から逃げる様に流れを変えていく。
それでも私は更に球体を大きくしていく、ワルキューレ達も球体を解き放った後も、エネルギーを私に送り続けている。
そして、空気は歪み、地面は波打ち、太陽が溶け出し、空は暗くなっていく。
「ななななな!?何なんだそれは!僕はそんな魔法は見た事も聞いた事も無いんだな!それをまさかとは思うけど、僕に放つつもりだったりするのかな?」
「今さら何を言っているの?あなたは言ったわね?無限に再生し続けると、ではその能力を呪うのね、あなたは今から無限に痛みを感じ続けるのだから。これは魔法なんて生優しい物ではないのよ。」
「やめるのね!そんなの僕は感じたくないのね!」
「我が名はヴァルキリー、神に捧げる魂を選び、清める者なり、愚かなる者には神の裁きをジャッジメント!!」
私の上空にあった球体をダークネスドラゴンに向かって解き放つと、物凄いスピードでドラゴンに向かって行く。
ドラゴンは避けようとしたが、避けても避けてもジャッジメントと呼ばれた球体は、ドラゴンに向かって行くのだった。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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