第29話 芋娘三人衆に神の裁きを
朝早くからギルドに来てクエストボードを確認している。
朝早く来たのは、新しいクエストが貼り出されているか確認する為と、リヤカーを借りる為だ。
リヤカーを借りるなら早い物勝ちだと言われていたのもあるし、昨日早く帰って来た時にリヤカーが残っているか確認したら、見当たらなかったので全て借りられていた様だった。
目標金貨は100枚も必要なので、稼げるなら稼ぎたいので、死体を放置したりは勿体無いし、今後は素材が売れるモンスターは、しっかりと剥ぎ取りを行って納品を行うつもりだ。
ちなみに、剥ぎ取りに関しては前世での山奥に暮らして居た、おじいちゃんと修行をしている時に教えて貰っているので、サバイバル技術は高い。
そうして、朝早くにリヤカーを借りる為に受け付けを通して予約してある。
なので今は、何のクエストが良いかを思案中である。
山岳地帯はしばらく放置として、沼地帯のリザードマンなんかも良いかも知れないけど、沼地かぁ、あんまり汚れるのは遠慮したいところだ。
洞窟なんてのも近くにあるのか、出てくるのはスライムと、うーんスライムって私の天敵な気がするんだよなぁ、思考の無い敵って幻術が効かないと思うし、物理攻撃も効かないんじゃお手上げかも。
南の方は人気スポットだからあまり近寄りたくないし、これはもう仕方ないよね。
うん仕方ない仕方ない。
と言う事で、私は仕方なく北の森に向かう事にした。
北の森は広大な土地である為、浅い場所では、ゴブリンやウォレストウルフなどが生息しているが、奥に行くと蜘蛛のモンスターであるスレッドや、蛇のモンスターであるアミノサが出現するらしい。
そして蛇はなんと食べられるし、美味しいらしいので興味が一気に湧く。
バファには、何としても蛇料理を作ってもらうしかないだろう。
ちなみにウォレストウルフも食べられるらしいが、筋張っててあまり美味しくないらしい、ただそんな肉を干し肉にするなどすると、さらに硬くなり、それが一部の物好き獣人などに気に入られているらしい。
獣人には歯応えのある肉が好まれるらしいと言う噂だが、ファリンやバファを見る限りはそんな風には見えないので、恐らくは獣人を良く知らない人間が流したデマだと思っている。
人も獣人に対して差別とまではいかないが、無知ゆえにあらぬ事を考えてしまう人も居るだろう。
とりあえずの方針としては、歩きながら見かけたモンスターはその都度狩ろうと思っている。
あまり選り好みするとまた大量発生ですか?と疑われてしまうし。
そう考えて、行く場所も決まったのでリヤカーを取りに行く事にした。
モンスター討伐などは基本的に常時討伐依頼の物も多いので、受注用紙などは無いし気軽に討伐に向かえる。
リヤカー置き場に行くと、三人娘が何やら揉めて居た。
凄い剣幕で怒っているが何かあったのだろうか、まぁ触らぬ神に祟り無しと思い、私はそそくさとリヤカーを持って行こうとすると、それに気づいた一人が私に照準を変えて怒って来た。
「ちょっと貴女何勝手に持って行こうとしてるのよ!」
ん?このリヤカーは私が予約してあったはずなのだが、どう言う事だろうと思い、リヤカー貸し出し所の受け付け嬢を見ると、受け付け嬢に目を逸らされてしまった。
あれ?これもしかしてフラグを回収してしまったのかしら?
「これは、私が今日予約した物ですが、どう言う事ですか?」
「はぁ?貴女が予約??これは私達が気に入ったからこの街に居る間は私達が使うって決めてたのよ!何勝手に後から予約してるのよ!」
めちゃくちゃだ、予約出来た時点で後からじゃなくてこちらが先だろう。
受け付け嬢も困った様子だし、この暴論にずっと付き合って居たのだろう。
まぁリヤカーはこれだけでは無いし、私は何でも良いので、さっさと譲って違うのを借りて出掛けますかね。
「それでは、こちらはお使い下さい。私はあちらにある余っているのを使いますので。」
「はぁ?何勝手に決めてんのよ!私達が使うのは当然じゃない!貴女が勝手に予約したせいで、私達の時間を取られたのよ?私達の時間を無駄にした分、貴女はお金を払いなさいよ!」
そう言われた瞬間に流石に調子乗り過ぎだと思い、私は殺気を向ける事にした。
「私はギルドのルールに乗っ取り、予約しただけです、後から来て子供見たいな事を言わないでくれますか?」
「なっ何よ、そんな怖い顔したってび、びびらないんだからね!」
私の殺気にびびってしまったのか、顔が青ざめている。それでも怯まずに軽口を言えるのは大したもんかもしれない。
「シロキリ止めなさい。貴女名前は何て言うの?」
「私はDランク冒険者のジャンヌです、貴女達は何者ですか?」
初めて紹介し合う時には、冒険者ランクを名乗るのが冒険者のマナーである。
ランクを名乗り合った方が相手の力量が分かるので、無駄なトラブルが減る事があるからだ。
「私達はCランク冒険者パーティーのジャーマンポテトよ、姉妹でやって居てね、私が長女のアカキリ、そっちが次女のクロキリ、そして貴女と喋って居たのが三女のシロキリよ。」
「そうですか、私は特に揉めるつもりは無いのですが、貴女達はまだ何か私にありますか?」
「揉める気が無い?あんな殺気を放って置いて良く言えたわね、まぁ良いわ貴女がそこのリヤカーを手放したのなら私達が使わせて貰うわ。跳ねっ返りなのも良いけど、相手見てこれからは喧嘩売りな。」
「ほう、貴女達は私が喧嘩を売ったと言うのですね。分かりました。一つ忠告をしておきます。神は私達の行いを常に見ています。自分勝手な行動は必ず報いを受ける事でしょう。」
「あんた、教会関係者かい!?ちっ!?国を相手に喧嘩する気は無いよ。あんた達早く行くよ!」
そう言って芋娘三人衆は足早に去って行った。
どうやら私の言動で教会関係者だと勘違いした様だ。
そうか、教会の後ろ盾は国なのだから、教会関係者イコール国の関係者と思われる様だ。
まぁ私は教会関係者では無いのだが、勘違いして去ってもらう分には問題無い、それに私に喧嘩を売ったからにはさっき言った通りに、神の報いは受けてもらうのだから。
これでようやく、異世界のギルドでの揉め事のフラグを回収したと言えるだろう。
まぁ痛めつける様な事はしないが、痛めつけられた方がマシな思いは受けてもらう。
彼女達はこれから女として死んでもらう。
「ジャンヌ様すいませんでした、本当はギルドのルールを守っているジャンヌ様に、貸し出さなければ行けないところを…、ですが助かりました。そちらのリヤカーはこの度のお詫びを兼ねて無料で貸し出させて貰います。どうぞご自由にお使い下さい。」
「えっ?無料で良いんですか?それなら私も得した事になるので問題無いですよ。」
ギルドの受け付け嬢も言ってみれば被害者みたいなもんだ。
荒くれ者が多いし、さっきの芋娘三人衆みたいにギルドのルールを無視する様な奴らは、気が狂って襲って来るかも知れないのだから、戦闘の素人である受け付け嬢では止める事も出来ないし、その場は穏便に済まして、後からギルドより何か罰則を負ってもらう方が賢いと言うものだ。
「そう言って貰える助かります。冒険者パーティー、ジャーマンポテト様は最近、素行不良も目立ちますので、ギルドから今後なんらかの罰則があるはずです、今後もし、ジャンヌ様に危害を加える場合はもちろん、ジャンヌ様の采配で如何様にもして貰って問題無いです、ただ、ジャンヌ様から手を出されますとギルドとしても手を出せないので、自己責任でとお願いするしか無いです。」
「えぇ、それで問題無いですよ、私から彼女達に手を出すつもりは無いですから、まぁ先程、彼女達にも言いましたが、神から天罰を貰う分には私の知る所では無いですが。」
そう言うと受け付け嬢は難しい顔をしていたが、私もこのまま舐められて、絡まれる回数が増える事は避けたい。
私に手を出すとどうなるか分からない、その恐怖を知って貰うには、あの芋娘三人衆は丁度良い当て馬だったかも知れない。




