第2話 詰所は野獣の巣窟
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ジャンヌの記憶から現状把握をした私は、自分の部屋から一階へと降りて行った。
「あぁやっぱり…」
一階に降りると荒らされた部屋の中に母親が倒れていた。
ジャンヌの時の様に、あいつらがヘマをしてないかと一縷の望みに掛けていたが、母親の方はしっかりと殺されていた様だ。
こんな事を平然とやってのけるあいつらは人間の皮を被った悪魔の様だとさえ思う。
ジャンヌが身体から居なくなり、私に変わったがそれでもこの状況には憤りを感じてしまう。
あいつらは、ジャンヌの母親を行為が行なわれたそのままの状態で殺し放置して行った。
私はジャンヌの母親の身体を水で濡らしたタオルで綺麗にしてから、新しい服を着せた。
この世界が現場保存を大切にしているかはわからないが、このままにしては置けなかったし、こんな状態のジャンヌの母親を見せたくは無かった。
そして、ジャンヌの母親もこのままの状態で見られたいとは思って居ないだろう。
突然知らない男達に襲われて身体を弄ばれ無惨にも殺させれたのだ、犯人にはそれ相応の罰が必要だ。
本当の母親では無くてもジャンヌの心情をしっかりと理解している私に取っては、同じ様に母親として感じている。
この時点で犯人達への手掛かりは他の人間に言うつもりは無かった。
私の手で、必ず犯人達を捕まえて生きている事を後悔するぐらいの事をしてやろうと誓いを立てる。
「この世界に来て初めてやった事が母親の死体を綺麗にすることなんてね、でもこれで心置きなくジャンヌを演じられるわ。」
そう言ってジャンヌはどんな物語にしようかと考えだした所で家の扉をノックする音が聞こえた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「隊長、通報のあった家はここであります。」
眼鏡をかけた真面目そうな20代半ばぐらいの女性がそう言って隊長に話しかけた。
「そうか…よし誰か居ないか声をかけて来い、お前達は周囲を見張れ。」
髭を生やした30代半ばぐらいの男性で隊長と言われた人物が自分の部下達に指示を出す。
周囲を見張れと言ったのは今回の件に関係がある不審者が見つかるかも知れないと思ったからだ。
「了解しました!!」
見張りを命じられた隊員二人は、二手に分かれて家の周囲を見張った。
そうして真面目そうな女性隊員が扉をノックする。
だがしばらく経っても誰も出て来ないため、もう一度声を掛けながらノックをする。
「すいません!誰か居ませんか??」
そうすると中から物音が聞こえ誰かが近づいて来る音が聞こえると静かに少しだけ扉が開かれた。
「誰ですか??」
と小さな声で語りかけて来た人物を少し開いた扉から覗くようにして顔を見る。
すると少女は少し身体をぶるっと震わせながら怯えるようにこちらを見ている。
その顔を見て女性隊員は、ハッと一瞬驚く、目に光が無く、絶望した様な眼差しだったからだ。
先程は、知らない人が来たから怖くなって震えているのかと思ったが、どうやら様子がおかしい。
とにかく落ち着かせようと女性隊員は、自己紹介を始める。
「私は、警備隊所属のファリンです。こちらは隊長のキャベジになります。付近の住民よりこの家から、叫び声や激しい物音が聞こえた為、様子を見に来ました。何かありましたか?」
そう言うと少女はその場で我に返ったのか私の全身を見てから、安心からか顔を手で覆い泣き叫びながら膝をついた。
おそらくは、私達警備隊の格好を見て信用してくれたので安心したからなのだろうが少女がこんな風になってしまった理由を聞かない訳にはいかない。
少女が泣き叫ぶのをやめ始めて、やがてその声からすすり泣き初めてた所でもう一度声をかける。
「何があったか聞かせてくれる??必ず私達が力になる。」
少女を安心させる為に、自信がある様に声を掛ける。
「お母さんが…お母さんが!」
そう言って少女はまた泣き崩れてしまった。これだけで只事ではない事は明白だった。
「中を見させてもらうよ、良い?」
と声を掛けると少女は小さく頷いた。
中に入り、光魔法の才能がある私は周囲を照らす為に魔法を唱える。
「ライト」
光魔法により家の中が照らされ、その現場を見た私達は家の中に入っていくと、部屋の中は荒らされ、そこに母親が倒れているのを確認する。
「隊長これは…」
「言うなファリン、これはもう遅かったようだ。」
母親は少女が綺麗にしたのだろう、だが殴られた後があり、死亡も確認された。
とにかく少女をこのままに出来ないと思い、現場確認を他の隊員に任せ、私達は警備隊詰所へと連れて行く事にした。
悲惨なこの現場に少女を居させる事はよろしくないと考えた結果だ。
「あなた名前は??」
「私はジャンヌと言います。」
「そう、それじゃあジャンヌと呼ばせて貰うわね、お母さんの事は私達に任せて欲しいの、そしてこれからジャンヌを私達の詰所に連れて行こうと思うのだけど良いかしら?ここで話しを聞くより良いと思うし着いて来て欲しいの。」
そう言うとジャンヌはまた小さく頷いた、私はそれを確認して、自分が着ていた上着をジャンヌに被せた後にジャンヌの手を引き詰所へと歩いた。
詰所に着くまでの間に、色々な人に見られてしまう。
事件があれば直ぐに人伝てに内容は知られてしまうかも知れないのだが、それでも少しでもジャンヌにこれ以上心理的負担を負わない様にしたかった。
その為になるべく顔を隠して詰所まで移動したかった。
詰所に着いてから、男所帯のこの職場が汚れているのを思い出した。
普段から片付けをする様に言っているのだが、隊長のキャベジからして片付けが出来ない為に、異様な汗の匂いとゴミの匂いがこの詰所にはある。
それでも女性隊員はこの現状で働き続ければ慣れて来てしまい、あまり違和感を感じないのだが、初めて来る少女では匂いが気になるだろうと思った。
その為に、一応被疑者になる可能性もあるし、一瞬尋問室に行こうかとも思ったがあんな冷たい壁に囲まれた所に今の状態のジャンヌを連れて行くのも良くないかと考えて、少し待ってもらい、机の上と周りの物をサッと近くに置いてあった箱に無理矢理詰め込み、ジャンヌを椅子に座らせた。
とりあえず心を落ち着かせようと手持ちのココアを作って入れたカップをジャンヌに手渡す。
「少し匂うかも知れないけど、我慢して欲しいの、今はこんな場所しか無いから、あっココアは熱いから気をつけて飲んでね。」
それを聞いてジャンヌはそーっと手をカップに持って行き取っ手を持って大丈夫そうだと判断したのかカップをそのまま口に運び、ふーふーと息を吹きかけちょびっと飲み出す。
その姿を見た時に冷静になった。
この娘良く見るとめっちゃくちゃ可愛い、こんな整った顔してる娘がこんな街にいたかしら?これだけ可愛いければどっかで話題にもなってそうだけど…あぁいつまでも見てられちゃう。
とふと私が思ってるところで視線を感じた。
そして、周囲を見ると野獣共がこちらに視線をちらちらと向けていた。
私はそれを見てキッと睨みつける。あんな事件があったのに不謹慎極まりない。
確かにジャンヌは可愛いし、女の私が見ても見惚れてしまう。
それでも状況を考えて欲しい。
私だって女なのだ。
私の事なんて普段は全然女として見ないし扱ってもくれないくせに可愛い娘が来たらこれだ。
これで隊長まで見てたらって…あんな影に隠れて隊長…少し軽蔑しました。
いえ、そんな事を考えてる場合じゃなかったわね。
彼女は今日母親を亡くしたのよ?私情を持ち出す様な状況じゃないでしょ私?気を取り直しましょう、どうせ男なんて…違う違う、まずはジャンヌに事情を聞かないといけないわね。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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