第27話 ドワーフの好みってどんなでしょうか
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街に着いた私はギルドに直行した。
まだ少し早い時間だったので、ギルド内に冒険者の数もあまり居ない。
受け付けも誰も並んでいないので、ギルドに入ったら真っ直ぐ受け付け嬢に向かって話しかける。
「ジャンヌ様今日はお早いのですね?コボルトの討伐で何か問題がありましたか?」
受け付け嬢からすると、討伐して来たにしては早い帰りに思われてしまったらしい。
普通の冒険者の討伐スピードを一度見た方が良いのだろうか?特に異世界物の作品で描かれる様なチート能力は持ち得て無いので、あくまでも討伐時間は他と変わらないと思うし、探索スピードはあくまでも、自前の技術による物だと思っている。
確かに幻術魔法を使えば、モンスターから隠れられる分、モンスター討伐も時短出来るだろうし、今回使った音楽による呼び寄せを行えば、簡単にモンスターを集められるだろう。
だが、今回は幻術魔法の検証も兼ねて居たし、一匹だけ居る、コボルトを探す為に遠回りもしていたので、時間的に考えたら私が普通に討伐した時とトントンの時間で終わったと思っている。
「特に問題は無く依頼を達成しました。」
そう言って私はコボルトの討伐部位の入った袋とギルドカードを受け付け嬢に渡す。
今回はなんだかんだで23体程のコボルトの手首が入っている。
討伐達成数は10体だったので、予定よりだいぶ多く倒してしまった。
「えっ?またこんなに…。」
そう言ってまた受け付け嬢は奥へと入って、確認を終えるとお金を待って来た。
「今回の報酬は、銀貨2枚と銅貨3枚になります。一応確認なんですが、コボルトが大量発生していたとかそういう事はありませんよね?」
「ありがとうございます。特に大量に発生している状況では無かったと思います。音を鳴らして呼び寄せたら結構集まったので、それだけ倒す事になりました。」
「音で呼び寄せですか…。分かりました。こちらはギルドカードになります。ランクはDに昇格しましたのでおめでとうございます。」
「ありがとうございます。一つお聞きしたいのですが、解体用のナイフが欲しいのですが、冒険者はどこで購入したりするんですか?」
「解体用ナイフや武器や鎧などを販売しているお店はこちらから出て・・・そこを右に・・・にあります。」
受け付け嬢から詳しい場所の説明をしてもらい、私は冒険者ギルドを後にした。
コボルトの討伐報酬はゴブリンと変わらない。
強さで言えば確実にゴブリンよりもコボルトの方が強いのだが、驚異度はゴブリンの方が高いので、この様な報酬になっているらしい。
私は受け付け嬢に言われた通りの場所に向かいその店に入った。
中にはいろいろな武具が置いてあり、奥には初めて見る人種が、やる気が無さそうに座っている。
そう、異世界物作品では、ど定番のドワーフがそこには居たのだ。
初めて見るその人種に私は好奇心が爆上がりし、ドワーフに話しかける。
「すいません、今日初めてここのお店を利用するのですが、解体用のナイフを探してて、どちらに置いてありますか。」
とびきりの笑顔での営業スマイルで、ドワーフに話しかける。
だが、ドワーフは私を見ても特に反応を示さずに、ぶっきらぼうに解体用ナイフが置かれているエリアを指差している。
この世界に来て初めて、私の美しい容姿を見ても驚かない人物に出会った瞬間だった。
私の容姿は幻術魔法で加工しているので、今まで出会って来た人達は、私の容姿にまず驚く、今まで見た事も無い程の整った顔を見て、あまりの美しさに感動しない事は無いだろう。
現代社会を生きて来た私に取っては、一つの作品の様な物だし、ネットのあらゆる動画サイトを覗けば、みんなが加工をして本来の自分よりも綺麗にしていたので、ありふれた様な顔と言えば顔になってしまっていたが、加工が当たり前になる前などでは、加工された顔を見て驚いた人達も多かった。
綺麗な顔なんてのはテレビの向こうの一部の人達の物だったのに、素人が投稿する動画や写真に、その人達を超えるような美しい人達が現れ始めたのだから、一種の革命みたいな物だった。
まぁそれも慣れてしまうと、結局は作られた様な顔では無く、加工無しの顔の方が良いと言う人も増えて来ていたが、加工された顔に慣れていないこの世界では、私はあまりにも美しい顔になっていた。
だが、目の前のドワーフはそんな私の顔にも何の興味も示さない。
これには少し私も悔しい気持ちになる。
だが、人の趣味は千差万別、特に目の前に居るドワーフが、どの様な女性が好きかも分からないのでそれも仕方ないかと自分を納得させた。
私はドワーフが指差したエリアに向かい、解体用ナイフを物色する。
ナイフは様々な種類の物が置かれていた。
ギザギザのノコギリの刃の様なナイフもあれば、出刃包丁のような厚い物もあったりする。
モンスターによって使用する物が違うのだろうか?
あまりこの手の知識は無いのでドワーフに聞いて見る事にする。
「あまり詳しく無いのですが、お勧めの物とかありますか?」
「……。嬢ちゃんぐらいなら、そのナイフがちょうど良いんじゃないか?ゴブリンやコボルトぐらいなら十分それで剥ぎ取り出来る。」
私の装備を見てEランクぐらいだと判断した為か、私が今持っているナイフを勧められた。
これがあれば、確かに今日の剥ぎ取りは楽になっただろうなとは思う。
「もっと強いモンスターでも剥ぎ取れる様な、万能なナイフはあったりしますか?」
「まぁ冒険者成り立てなら自分を高く見積もっちまうのは分かるが、お勧めはしねぇなぁ。どうしてもって言うならほら、そこの上に飾ってあるナイフがこの店一番のミスリルのナイフだ。魔力さえ通せばドラゴンからだって剥ぎ取れるぞ。」
「えっ?このナイフがあれば、ドラゴンも倒せるんですか?」
「生きてる奴は無理だ。ドラゴンは生きてる内は、ただでさえ硬い皮膚が魔力で更に硬くなってやがる。そのナイフで切れるのは、死んで魔力の通ってないドラゴンだけだ。」
「そうですか、ドラゴンを倒すのはやはり簡単では無いのですね。」
「嬢ちゃん、ドラゴンを倒そうとしてるのか?やめておけよ、ドラゴンは人とは格が違う。簡単な武器では傷も付かない、倒そうなんて考える必要も無い、ドラゴンからしたら人間なんて虫以下だからな。こちらが怒らせなきゃ何もして来ない。」
「いえ、私もドラゴンを倒すつもりは無いです。ただ、ドラゴンを倒せる様な武器には興味があったので。新米冒険者として、上を目指して武器に興味を持つのは当然の事でしょ?」
「ほう、まぁそれなら良かろう、嬢ちゃんこっちに来い。」
ドワーフの店主に呼ばれたので、私は言う通りに近くに行く。
「ほら、これが戦闘用に鍛えられたミスリルの剣だ、ほれ特別サービスだから持ってみろ。」
「これは、こんなにも軽いのですか?魔力を通して見ても?」
「ほぉー嬢ちゃんは剣に魔力を通せるのか?」
「やった事は無いですが、多分出来ます。」
ミスリルの剣は、自分の想定以上に軽く、剣を見ていたら、魔力を簡単に通せそうな気がした。
私は初めて魔力を、魔法以外の為に使用して見る事にした。
魔力を通すと言っても、魔法を行使するのとは訳が違う。
魔法は才能のお陰で、使用方法は息をする様に分かる。
自分が意識なんてしなくても、脳が身体を動かせるように、意識しなくても魔法は使える。
そこを更に意識して身体を動かす事が出来れば、技術として昇華され、それは魔法も意識して行使すれば同じ様に技術となる。
最適な動きを意識的に行い、それが無意識に出来るまで訓練する。
そうする事が出来て、初めて一流と言えるだろう。
では、魔力を通すと言う事は、どう言う事かと言いうと。
身体中には意識せずとも血液が流れている。
だが、それを意識してやれと言われても難しいだろう。
魔力も血液の様に身体中を流れている。
それは血も魔力も同じで、意識して行なっていないし、例え意識しても普通の人間は操作なんて出来ない。
魔力を剣に通すと言う事は、そんな意識しても動かせない物を、意識して動かして剣に流す行為である。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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