第26話 あぁー解体ナイフが欲しい
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さて、これだけの大音量で音楽を流したのに、モンスターがこれ以上集まって来ないという事は、もうこの辺りには居ないか、逃げたという事だろう。
コボルトの群れの死体が、目の前に大量に積み重なっている為、今から剥ぎ取りを行うのが憂鬱な気分になる。
ワルキューレ達は召喚したとかそういう者達では無いので、ワルキューレ達を出しても実際にモンスター達に触れないし剥ぎ取りも出来ない。
あくまでもワルキューレ達は、自分が出した幻に過ぎないのだ。
その為、剥ぎ取り作業は自分でやるしか無いのだ。
剥ぎ取りをしながらも、この山岳地帯にはほんとに冒険者が居ないんだなぁと考える。
受け付け嬢からはあまり山岳地帯は人気が無く、討伐依頼を受ける人が居ない事を聞いていた。
その為にコボルトの間引き目的もあり、昇格依頼を出したらしい、昨日私がゴブリンを結構な数倒した事や、オークを倒した話しもしたので、コボルトだけ溢れるのも嫌ったのもあるだろう。
一応オークは討伐モンスターとしては人気がある。
肉が美味しいので市場に出回れば買う人が多いのもあるし、オーク一体から取れる量も多いので、オークを一体倒せばそれなりに金になるからだ。
だが山岳地帯に住むオークの縄張りが良くなかった。
オークの縄張りに向かう為にはゴブリンの縄張りを通らないといけないし、オークと遭遇する所に行けば、縄張りの境界線の為に、ゴブリンもオークも大量に出現して襲い掛かって来る為に、リスクの方が高くなる。
それならと山岳地帯を南から回り込もうとすると、今度はコボルト達の縄張りを通らなくては行けずに、さらに南に回り込んで遠回りしてようやくオークの縄張りの外れ付近で、オークを倒しても今まで周り込んだ道を戻らないといけない。
この世界では主な運搬では荷馬車などを利用する事が多いのだが、冒険者などは馬の維持費も掛かるし、馬の世話する時間も無ければ馬の世話を頼むにも金が掛かる。
その為、冒険者用に作られ、人が運搬出来るように荷馬車を改良したリヤカーが誕生した。
荷物を乗せたリヤカーを運ぶには、腕力が必要なのだが、レベルによるステータスアップにより、冒険者はそこらの人より力が強い。
その為にあまり道路整備も整っていない道を、力技で運搬出来るのだ。
流石に長距離をリヤカーで移動しようとはしないが、短距離の討伐クエストには欠かせない物となっている。
冒険者ランクDにもなれば常識的な事なので、リヤカーを所持するか、レンタルして狩りに行く事が多い、傾向としては、街を拠点にしてクエストを受ける冒険者は購入所持するが、移動を繰り返す冒険者や、まだまとまったお金の無いDランク成り立ての冒険者はレンタルが多いらしい。
このあたりの話しも昨日オークを倒した話しを受け付け嬢にした時に、みんながどうやってオークを持ち帰るのか聞いたら教えてくれた。
その為、山岳地帯でもオークを持ち帰る時にもリヤカーを使うが、オークは巨体で重たい為にオークを載せればさらなる重労働になる。
遠回りした分大変になるので、山岳地帯のオーク狩りは人気が無いのだ。
それなら北からと思うかもしれないが、北は北で崖の様な道が続いている為に、リヤカーが通れる道が無いのだ。
崖の下には湿地帯があり、そこにはリザードマン達が生息しているので、コボルト達の縄張りを通るよりもさらに危ない。
だが、人気が無いからと言って放置し続けるのも良くないので、モンスターが多くなり過ぎないように、調査も定期的に行われている。
今は天下三分の計の様な状態が続いているので、モンスター同士の小競り合いにより、モンスターが一定数以上に増える事はない様だが、このバランスが崩れると一気に瓦解する恐れがある。
それだと昨日私がした事は問題なのではと思ったのだが、ゴブリンが滅ぶ分には問題が無いらしい、困るのはオークやコボルトが滅ぶ方が問題で、ゴブリンは増え出すと一気に増えてしまい、上位個体も発生するので、将来的な危険度で言ったらゴブリンになるようだ。
ちなみにオークやコボルトが増え続けた場合には、ゴブリンよりも知能がある為なのか、内部分裂を起こす。
増え過ぎると全てを管理出来ずに、不満を持った者達が違う勢力を作り出してしまうのだ。
そして結局は今の様なバランスに落ち着くそうだ。
ゴブリンが山岳地帯に来る前までは、オークやコボルトがそう言う事態になる事が多かったと調査報告書により分かっている。
ただ、そのバランスも絶対という訳では無いので、今のバランスを保つ為にもコボルト討伐を依頼されたと言う事だ。
「定期的に狩れる人が居るなら、それが一番良いのですが。」と受け付け嬢には期待されたような顔で見られたりもした、こちらとしても人が少ない場所の方がやり易いので、検討の余地はあると思っている。
そして、今冒険者達はどこに居るのかと言うと、南にある森が人気スポットらしい。
普段なら北か南に集まる事が多いらしいのだが、北の森には、先日会ったブリアンも言っていたが、ドラゴンの目撃情報がある為に、今は誰も北の森に行く事は無い。
南の森は、広い草原を抜けた先にある。
ちなみに広い草原には焼き鳥の肉になるクックが存在し、こちらは低ランク冒険者が狩っている。
そして南の森に出現するのは木の魔物であるトレントだ。
トレントは普通の木よりも堅く、しなやかさがある為にとても丈夫で、普通の木材よりも高級な物として取引されている。
街の様々な物に使われる事もあるが、輸出品としても重要な品目となっている。
冬になれば普通の木の薪は火付きは良いのだが、直ぐ燃え尽きてしまうのに対して、トレントの木の薪は、火付きが悪くても長く燃え続けるので、冬越しには必須となっている。
その為に、冬前にトレントの木材が一定数に達さなければ、緊急依頼が出る事もあるぐらいだ。
だが、今年は今回のドラゴン騒ぎのおかげでトレントの木材の供給は問題無いだろう。
むしろ早くドラゴン騒ぎが収まらないと、値崩れしないかどうかの方が心配になって来るだろう。
と言う事で、私は、南の森には行く気が無い。
人が多過ぎるとトラブルの元になるし、実際にモンスターを取り合って揉める事も多いらしい。
幻術魔法は人に見せたら、その分不利になる可能性がある。
種が分かれば自分でも思いつかない様な対処の仕方があるかもしれないし、思い込みの強い人には効果が薄いのもあると思っている。
どうせ幻術なんだから大丈夫だと、強い意志で思われたらただの幻だ。
そうならない為に、リアリティーを出して演技も載せて行うが、まぁ人に見せないに越した事は無いだろう。
人の多いところで幻術魔法を使って、それが噂になってしまうのは面白く無いのだ。
私の最大の目的はジャンヌの母親の仇なのだから、ジャンヌの復讐は必ず達成するつもりだ。
私はコボルト達の討伐部位を全て取り終えると、今日は早めに街に戻る事にした。
コボルトは10体以上は確実に倒しているので、討伐クエストはこれで完了した。
それなので、今日やる事はもうすでに終わったし、幻術魔法の検証も特に問題は無かった。
オークを狩りに行く事も考えたが、やはり持ち帰るのも困難だし、解体用のナイフなども持っていないので、明日からオークを狩りに行くかはまだ分からないが、コボルトの討伐部位を切るのもやはり解体ナイフがあった方が楽だろうと思った。
ブロードソードはやはり切る為に使うのは難しい、大きなソードでコボルトの手首をギコギコ切っていたが、面倒で仕方なかった。
勢い付けて切った方が楽かと、剣をコボルトの手首目掛けて振り下ろして切ったが、地面に当たって手がジンジンした。
山岳地帯の地面は硬いのだ。
今日は早く街に帰って、解体用ナイフを買う事は決定事項となった瞬間だったのだ。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。




