第20話 騒がしい人は結構好きです
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「ブリアン様!受け付けに早く来てください!」
ギルドの受け付け嬢がAランクパーティーのブリアンを呼び出す、名指しで呼んだのは、それだけ認知されているパーティーだからだろう。
「あら、呼ばれちゃったみたい、何だか少し喋り過ぎてしまったかも知れないわね。とりあえずジャンヌ、今回は迷惑を掛けたし、これも何かの縁だし、もしなんか困った事有ったら言ってね?格安で請け負うわ。」
「Aランクパーティーに依頼なんて、格安でも怖いです。でも、もし何か困ったらお願いするかもしれません、その時はよろしくお願いします。」
「えぇ値段は要相談ね。ほら!あんた達も戯れあって無いで行くわよ!これ以上痛い思いしたく無いでしょ?」
そう言って腰にある剣の柄を握って声を掛けると、何故か言い合いをしていたメンバーは、途端に姿勢を正し、受け付けに向かった。
なんとも騒々しいメンバーだったが、喧嘩するほど仲が良いとも言うし、信頼が成せるものだろう。
程なくして、私も違う受け付け嬢に呼ばれたのでそちらに向かった。
「ジャンヌさんですね、こちらのクエストの完了を確認しました。先程の話しが少し聞こえていたのですついでに話しますが、ドラゴンの目撃例があります、特に森などに行く場合は気をつけて下さい。目撃例が有った場所は北の森林地帯になります。」
「ありがとうございます。最近目撃例があったのでしょうか?」
「はい、ゴブリン討伐を行なっていたパーティーから報告が上がってます。特に今のところ被害は確認されていませんが、危険ではあるのでそちらに向かうのはお勧め出来ません。」
禁止と言わないのは冒険者が自由で、危険に対してはあくまで自己責任という事だろう。
ギルドとしては注意はしました、というスタンスで後はご自由にって事かもしれない。
特に、若者などは、滅多に見れないドラゴンを一目見ようと近付いて行くかもしれない、触らぬ神に祟りなしとも言うし、逆鱗に触れないようにして欲しいもんだ。
そう言いつつ私も、ドラゴンには凄く興味が惹かれる。
ドラゴンなんて、ザ!ファンタジー!のど定番と言える王道モンスターが、見れるのならやはり見に行きたい。
私なら幻術魔法を使って完全に姿を隠せる自信もあるし、ちょっとぐらいは見に行っても大丈夫だと思うんだよねー。
そう考えて、一応、常時依頼を見て、北の森林地帯に出現するモンスターを確認する。
ゴブリンやフォレストウルフが主な出現モンスターらしく、討伐部位の確認をしてギルドを後にした。
私が出る頃にはAランクパーティーのブリアンも居なかったので、最後に挨拶しようと思っていたが、もう何処かに行ってしまったらしい。
まぁこの街で活動するならまた会うだろうし、あれだけ騒々しい人達だから、近くに居たら直ぐに気づくだろうと思い、ファリンの家に帰る事にした。
ファリンの家に帰り、明日はゴブリン討伐に行って来る事を伝えた。
心配されるのは分かっていたがやはり、ファリンからは凄く心配をされて、警備隊員を何人か手配するとまで言われたが、仕事をさせて下さいと断った。
それなら、休日の奴らに見てもらうとか言い出したのだが、休日はしっかりと休んで通常勤務に影響が無いようにして、と言ってなんとか納得してもらう。
そうして、なんとか説得に成功したので、次の日に朝起きて、ファリンとバファに挨拶をしてご飯を食べ、いよいよ、この世界に来てようやくのモンスター退治に向かう。
今日の目当てはドラゴンと言いたいが、やっぱりいきなりドラゴンに会いに行くのは危険過ぎると思い、東の山岳地帯に向かって歩いている。
昨日はドラゴンという強ワードで若干テンションが上がり気味だったが、ファリンの心配性にあてられて、私も少し心配になったので、考え直してまずは幻術魔法が、モンスターにどのぐらい効果があるのかを試してから考える事にした。
ちなみにリュックや水筒など、ジャンヌが冒険者をやってた時に使っていた物などは、しっかりと残してあったのでそれを使っている。
装備も駆け出し冒険者といった感じで、革の帽子に革のジャケットとモンスターから攻撃されても防げるか微妙な装備だ。
ただ、相手がゴブリンなので、爪や噛みつき攻撃なら防げそうではある。
だが、武器なんかを持つ様なゴブリンの攻撃を受けたら危ないだろう。
「って言ったんだけどなぁ。」
と目の前のゴブリンに向かってぼやく。
ゴブリンは棍棒を持って立って居り、こちらを見つけニヤニヤとしている。
まぁ出会ってしまったなら仕方ない、私は剣を抜き構えた。
ジャンヌが持ってた剣は、両刃のブロードソードで、普通のブロードソードよりは少し短くて、幅が狭くなっている。
といっても、ジャンヌの身長で持ったら、一般的な成人男性と比較したら対比は同じようになるので、女性向けのブロードソードで、軽量化の為にほんの少しだけ小さくした感じだ。
そして私にとっては、とても幅の広い剣だという印象を受ける。
両刃と言うのも慣れず、降った感じは重た過ぎるだった。
普段、私が使っていたのは日本刀で、正確な刃筋で滑らかに斬る事を想定して作られていた為、ここまで重たい剣を扱うのは初めてだった。
重たいと言うよりは重心が違う?そんな印象を受ける、斬るよりも叩き切るようなそんな使い方をした方が良いのだろう。
ゴブリンは醜悪な見た目をした黄土色の西洋の鬼といった感じで、日本の鬼とは違い痩せこけて、お腹だけは出て、身長も140センチぐらいだろうか、ジャンヌよりかは小さい。
そんな見るからに弱そうなゴブリンは、こちらを見ながらニヤニヤしている。
おそらくは、私が女だから楽勝だと思ってナメているのだろう。
それとも、女だから慰み者にでもしようと思っているのかも知れない。
自分よりも身長が高い相手に、よくもこんなに油断が出来るものだと、生物的な欠陥を感じてしまう。
この生物の優れている点で言ったら、その繁殖能力だろう。
ジャンヌの記憶では放置して置くと、直ぐに数を増やしていくため、定期的に討伐をし続ける必要があるらしい。
だが、目の前に居るのはたったの一匹で、優位な点は一つも無いのだ、しかもここは、見通しの良い場所なので、周りに隠れ潜んでいる可能性も無い。
持っている武器の棍棒さえ気をつければ問題ないだろう。
その棍棒も木で出来ている物なので、対処さえしっかりとすれば安全に倒せるはずだ。
ゴブリンは品定めが済んだのかこちらに不用意に近付いて来る。
五メートル……三メートル……二メートルのところで棍棒を振り上げて私に向かって走って来た。
ゴブリンはその勢いのままに、振り上げた棍棒を私に向かって降ろしてくる。
私はその見え見えの攻撃を、ブロードソードで軽く受け流す。
するとゴブリンはそのまま棍棒を地面に叩き込む事になる。
私は受け流した後に、そのまま剣を振り上げてゴブリンの頭めがけて思いっきり剣を振り下ろす。
こうして、私の異世界での初戦は何のドラマも無いまま終わった。
ブロードソードを叩き込まれたゴブリンの頭は、陥没して血が吹き出していて即死であった。
私は何の感情も無いままに、ゴブリンの耳を討伐証明として剥ぎ取る。
ゴブリンの耳は黄土色で尖っているので、簡単に判別出来るため、耳さえ剥ぎ取れば証明出来てしまう。
剥ぎ取った耳を専用の袋に入れたら、もうこのゴブリンは用無しだ。
特に死体の処理も必要なく放置して良いそうだ。
と言っても、死体の量にもよるのだが、大量の死体となったら疫病などの心配があるから、燃やすよう言われているが、単体を倒した程度なら、土の栄養となるか、他の動物の餌になる為、問題無いとの事だ。
だからと言って、ゴブリンを食べるのはお勧めしない、どんな調理をしたところで、そのままリバースしてしまう程、不味いらしい。
何でもこの世界の三大激まず食料として数えられていて、とある地方では誰が食べ切れるかと言うコンテストを開いて賭けの対象にして、盛り上がったりしているらしい。
今まで食べ切れた人間は居ないぐらいらしく、食べ尽くせる人間が現れたら歴史に名を残せると言われている。
そんな人間が食べれない物でも、食べる動物が居るらしいので野生動物は逞しく感じる。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
名称などの実在の地名、企業名、人名、商品名、団体名などとは関係ありません。




