第17話 子供と魔法と私
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よろしくお願いします。
クオン先生は子供達を呼んだ。
「さぁみんなぁー、今日は新しい先生を紹介するので集まって下さい!」
そう呼ぶと遊んでいた子供達がクオン先生の元に集まる。
子供達はちっちゃい子から、ジャンヌよりも少し歳下ぐらいの子まで居て年齢層はバラバラだ。
そんな子供達が目の前に13人居る。
子供達はジャンヌの顔を見てキラキラと目を輝かせている。
今まで見た中で、これ程綺麗な人を見たことが無かったからか、好奇心旺盛な子供からしたら、興味津々で見ている。
男の子達はまだ恋心と言うものも知らない、それが初めて訪れる恋だと知るには、まだ比較出来る経験が無かった。
自分達は何故こんなにも胸の高鳴りを感じてしまうのか、何か病気にでもなってしまったのか、だが苦しくとも嫌な感じのしないこの高揚感にどう行動して良いか分からずに戸惑ってしまっている。
女の子達はそんな男子を見て、嫉妬している。
だがその嫉妬も目の前の圧倒的な美を前に脆くも崩れ去ってしまう。
そしてそれが、憧れに変わるまでに時間は掛からなかった。
目の前の人と自分を比べる事が余りにも浅ましく感じたのだ。
「みなさん初めまして、私はジャンヌと言います。今日一日だけだけど、よろしくね。」
そう言ってジャンヌが微笑むと、子供達は茫然自失になってしまった。
ただそこに居るだけでも美しかったのに、笑顔の爆発力は凄まじかった。
あまりの出来事に脳の処理が追いつかずにフリーズしてしまったのだ。
今日一日子供達はジャンヌと過ごさないといけない、人生経験もまだ少ない子供達に取ってジャンヌは劇薬だった。
「ジャンヌお姉ちゃんは神様からどんな魔法の才能を貰ったの?」
「あぁずるい!次は私が質問する番なんだから!」
「そんなもん言ったもん勝ちだろ?お前は俺の後にしろよ!」
「まぁまぁみんな喧嘩しないで?ちゃんと質問には答えるし、喧嘩されたら悲しいわ、ね?」
「「う、うん。」」
子供達の順応力は凄まじかった。
最初こそ物怖じしていたが、ジャンヌが自分達を害する者では無いと分かれば好奇心が勝つ。
そうなったら少しでもジャンヌ事が知りたい、仲良くなりたい、自分を見て欲しい、子供達からあっという間にジャンヌは人気者になってしまったのだった。
だからこそ、子供達は本能で理解する。
ジャンヌに嫌われた者は、他の子供達にも嫌われてしまい、ひとりぼっちになってしまう。
子供とは言え、そこにはすでに階級社会が見え隠れしているのだ。
だからこそ、ジャンヌには逆らえない、ジャンヌの言う通りにするしかない。
ジャンヌはその圧倒的な美貌で子供達をすでに掌握してしまったのだ。
「私の魔法は幻術魔法よ、なんでも出来るけどなにも出来ない魔法と言われているの。でも、私はそうは思わない、私の魔法は簡単に人の心を動かす事が出来る、魂を震え上がらせる事も出来る、それこそがそれが何も出来ないとはならない証拠だと思うの。」
そう言ってジャンヌは幻術魔法を使用する。
すると、明るかったはずの空が途端に暗くなり、眩しいぐらいに輝いていた太陽はなりを潜め、その代わりに満月と無数に輝く星が見える。
そして、遠くの方から重低音を感じると、一筋の光が上空に向かって飛んでいく。
「ドーン!パラパラパラ。」
上空に辿り着いた光は役目を終えたのか、その場で弾けてバラバラになったかと思うと、まぁるい大きな光の花が出来上がる。
だが出来上がった花は一瞬で下へと落ちてしまった。
それを見た子供達は、一瞬大きな音がして驚いたが、そこから見る初めての光景に口をポカーンとして見ている。
だがそれも、直ぐに我に帰るとみんなが一斉に歓声を上げた。
突然の歓声に遠くで働いて居た、クオン先生が驚いていたが、盛り上がってるなぁと思うぐらいで、直ぐに仕事に戻ってしまう。
今の光景は子供達とジャンヌだけに見えるようにしてる為、クオン先生には見えていない。
仕事中の邪魔をしてはいけないと思った配慮である。
「「ジャンヌお姉ちゃん凄い!もっと見せて見せて!」」
そう言われて私も悪い気がしないので、ついついサービスしてしまう。
「「ヒューーーーーーー、、、ドドン!ドドン!ドドン!ドドン!ドドン!ドドン!」」
大量の花火が打ち上がり一斉に大爆発でも起きたかのように、夜空に開く。
永遠にも感じるかのような光と音によって、子供達は息をするのも忘れてしまっているようだ。
生まれて初めての感動を目と耳で感じ体験した事で、一生忘れられない思い出が出来たに違いない。
感動は多感な時期にこそ必要だと思っている。
そんな大量の花火も全て打ち上げて終わらせると子供達がまた歓声を上げる。
私は、花火が上がって綺麗だと感じたら「たまやー」と言うのよと教えたら子供達は素直に言う。
「「たまやー!」」
そうして、子供達が言い終わると今度は質問タイムが再開される。
「僕もジャンヌお姉ちゃんと一緒の幻術魔法が良い!」
「私も!」
「俺も!」
そう言って子供達が幻術魔法の才能を羨ましがっている。
幻術魔法は希少な魔法で、使い手はほとんど居ないと言われている。
差別の対象にも繋がるので、中には隠して居た人も居るかも知れないが、歴史的に見ても幻術魔法に対する記実はほぼ無い。
ジャンヌは、私が今使ったような魔法の使用はしていなかった。
せいぜい他の人が使ってる魔法の模倣を行うぐらいで、その模倣も決して再現度が高いとは言えなかった。
なんとなく頭にあるイメージを出すだけなので、ぼんやりとしたイメージでしか再現出来ず、またジャンヌ自身も幻術魔法に懐疑的だった為、本家には到底及ばない模倣作品が出来上がった。
頭の中にあるイメージを具現化すると言うのは結構大変で、イメージを再現するには訓練が必要だと私は思っている。
目の前に何も参考にする物が無い状態で、絵を描いて見たら分かるだろう。
人のイメージなど結構大概な物だ、慣れ親しんだ物ならまだ描けるかも知れないが、そうでなければ再現など難しい、だが、それも訓練をすれば出来る。
私は俳優業をやってきたのもあって、それが出来なければ話しにならない。
特に舞台などでは、人を演じるだけではダメだ。 そこに実際にない物を演じる事によって本当にあるように見せなければならない。
私に取っては、幻術魔法と言う補佐があるから演技では無くて魔法により、実際にない物を再現出来る。
それには経験や知識が必要で、前の世界ではそれを入手する手段は多岐に渡った。
なんならスマホ一つで簡単に擬似体験出来る世界に生きてきた私とジャンヌでは、リアリティに差が出ても仕方ないし、ありとあらゆる創作物を知っている私が、幻術魔法を使えば無限の可能性があると言えるだろう。
ジャンヌも軍学校に通っている時に、図書室であらゆる書物を読んで勉強をしていた。
だが書物に幻術魔法に対する記述がほぼ無いために諦めて、剣の腕を磨く事にシフトチェンジしていたのだ。
きっと、幻術魔法の才能を得た人はみなが、同じような道を辿っていたのでは無いかとさえ思ってしまう。
まぁジャンヌ見たいに強くなりたいと思っている人があまり居なかったかも知れないが。
「みんなにはみんなの魔法の才能があるでしょ?それを大事にして?それは神様がくれた才能なのだから、今日私が見せた魔法は魔法の一つの可能性だと思うの、私自身まだ魔法を使いこなせてるとは思っていないけど、まだまだ私は魔法を使いこなせる様に努力するつもり、だからあなた達も自分の魔法の可能性に対して努力して欲しい。そうすればあなた達も人を感動させる様な魔法を使える様になるわ。」
ジャンヌはまだ幼い子供が居るにも関わらず、魔法についてもっと考えて欲しいと促す。
この言葉がどの様に解釈されるか分からないし、記憶にも残らないかも知れない。
だが、この子達がこの先にどんな未来に向かって行くか分からないが、何か悩んだ時にでも助けになる可能性があるならと助言したのだ。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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