第13話 動物の耳って見ると噛みたくなるよね
毎日21:10より投稿します。
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翌朝、起きると息苦しさと共に、妙な違和感を感じたが、違和感の正体は直ぐに分かる。
「ファリン?何をしているの?」
「ん〜もうちょっと〜」
と言いながら寝始めた。
今度は声を掛けてもゆすっても、全然起きようとして来なかった。
まぁ昨日はだいぶ遅かったのだろうから、寝ているのは仕方がない。
でも何故かファリンは私を抱きしめながら寝ていた。
昨夜の事といいファリンは夜になると、どこかおかしくなる気がする。
仕方ないので私はファリンをおんぶする形でリビングへと向かった。
リビングではすでに朝食の準備が終わっているバファが居た。
バファは私に気づくと、
「え?お姉ちゃん?もしかしてジャンヌお姉ちゃんの所で寝たんですか?」
「朝、起きたらもうこんな状態だったんだけど全然起きてくれなくて…たぶん夜中に私の布団に忍び込んで来たと思うんだけど…」
「ウチの姉がすいません。私たち、狼の獣人なんですけど、実は夜になると少し本能的になるんです。」
獣人って事には気付いていたけど、変に反応するのも失礼かと思って、今までずっと無反応に徹していたのだけど、犬じゃなくて狼だったんだと言うことに驚いた。
「今まで黙って居てごめんなさい、獣人族はやっぱり差別されるから言い出しづらくて、ジャンヌお姉ちゃんにはビックリさせちゃったよね。」
私が狼に反応してしまったので、ビックリしたと思われたようだ。
日本に住んでた私にとっては犬とか狼でも違いがわからないのだが、日本に居ないので馴染みが無い分、想像外だった為に驚いただけだった。
「私には分からない苦労が二人には会ったと思うので、全然気にしなくて良いわ、それで本能的になるとどうなってしまうの?」
「ありがとうございます。本能的になると言っても人を襲ったりとかそう言うことは無いの、たまにそう言う本能を持ってる人も居るけど私たちはそんなこと無いから安心して欲しい。そう言う人たちのせいで私たちの種族が危険だなんて扱いを受けて来たから、私たちもそう言う人には忌避感があるぐらいだし…本能的になるのはお姉ちゃんだと少し寂しがり屋さんになってしまうみたいで、私の布団に潜り込んで来たりしてたんだけだ、今回はジャンヌお姉ちゃんに甘えてしまったみたい。」
きっと色々な迫害を受けて来たのだろう、だからこそ家族を大事にしているから、家族に甘えてしまったのだと思われた。
「私は二人を信用しているし、姿かたちで差別なんてしないから安心して欲しい。これだけ良くしてくれる二人には頭が上がらないくらいだもの。」
「そう言ってくれて本当に嬉しいです。これからも変わらずに私たち二人と仲良くしてくれる?」
「そんなのもちろんよ!」
二人の秘密を打ち明けて貰えて嬉しかったし、バファはどこか気が楽になったような顔をしてる。
特徴を見てみたいと思ってバファにお願いする。バファは前の世界で言うと十二歳ぐらいだろうか見た目はツインテールなのだがそれをほどくと、狼の耳が出てくる。
尻尾はスカートの中に隠していたのだが、見せて貰うとかなりのモフモフ具合だった。
「バファはさっき仲良くしてくれるって言ったわよね?」
「それは確かに言ったけど、そんなに尻尾を触られると力が抜けちゃう。」
「でも、これは仲良くする為には必要な行為だと思うの。」
私は、結構動物が好きな方だ、人と違って本能に忠実で反応が素直なので、人間みたいに言葉の裏を考えたり、行動の意味を考えたりする必要が無いから素直に愛くるしい存在だった。
獣人もその傾向が強いらしくてバファの反応は素直でやはり愛くるしいと思ってしまった。
私はバファを存分にモフモフしている、急に知らない世界にやって来て落ち着く暇もなく色々な事があったのだ、こんな癒しが目の前に居たら抗う気にもなれなかった。
モフモフを存分に堪能した後にファリンを見るとまだ熟睡中だった。
ファリンも獣人族という事は、耳や尻尾があるはずだ、ファリンはずっと家でも帽子を被って居たので私にバレないように、そうしていたのだろう。
尻尾もズボンの下に隠しているようだった。
バファをここまで堪能させてもらったのに、ファリンを堪能しないのは差別に繋がる。
私の布団に勝手に入って来たのだから襲われても文句は言えないだろう。
そう思って私はファリンをその場でひん剥いた。
ファリンの眠りはまだまだ深いらしく全然起きる気配がないので存分にモフモフを堪能させてもらう。
しばらく堪能しているとファリンから反応があった。
「ん?あれ?えっ!?何?何してるの??」
寝起きで、一瞬何されてるかわからなかったのだろうが、直ぐに自分の身体に異変を感じたのか、ファリンはビックリして跳ね起きた。
だが私のモフモフはまだ終わって無いので、起き上がってもまだ続けている。
「ちょっと、ジャンヌ?だめ、力が抜けちゃうから…もうやめて…。」
ファリンは少し艶かしい声を出しながらジャンヌに懇願している。
「ファリンが無防備にしてるから悪いんだよ?」
「ちょっと、ほんとうに…もうダメだから…ちょっとバファ…見てないで止めてよ…。」
「お姉ちゃんはたまには痛い目見たほうが良いよ!」
痛い目とは失礼な、そんな痛い思いをさせてるつもりなんてないんだから、昔は買ってたペットに甘噛みなんてした事もあるけど今回はそこまではまだやってないし。
ただファリンがそろそろ限界そうにしていたから、今回はこのぐらいにしておくことにした。
「ちょっとバファ何よ痛い目にあった方が良いなんて酷いじゃない!」
「そうやって夜中に人の布団の中に入る節操の無いお姉ちゃんがいけないんです〜。」
「ちょっと二人とも私に触られるのが罰ゲームみたいな言い方はおかしくない?」
「「あっごめんなさい」」
「「「あははははははは」」」
何が可笑しいのかも分からないが、私たちは気づいたら笑っていた。
二人に罰ゲーム扱いされたのは納得いかないが、朝から存分に癒されたし、こんなに沢山笑ったのも随分久しぶりだった気がする。
「それでジャンヌは今日はどうするの?」
朝ごはんを食べながらファリンが私に聞いて来た。
「今日は教会に行こうと思うの、お母さんを早く弔ってあげたいし。」
「そう確かにね、安置所にはもう少し置いても大丈夫だからしっかりと決めて来てね。」
「うん、教会の予定によると思うからそれが分かり次第また今日詰所に行くね。」
了解と言いファリンは食べ終わった食器を片付けて、私の頭に手を置くとワシャワシャと髪をぐちゃぐちゃにしてきた。
「さっきのお返しだよ!じゃあ私は仕事に行ってくるから。」
「うんファリンお姉ちゃん仕事頑張ってね!」
「もう、覚えとくからね!ファリン仕事行ってらっしゃい!」
こうして朝のファリン家での日常が終わった。
ここから気が滅入るのだが、早めに母親の遺体をどうにかしないと母親が浮かばれないし、ファリンはあぁ言ってくれたが、安置所に置いておくのも申し訳ない。
その為、私も早めに出発しようと、これから直ぐに教会に行ってくるとバファに伝える。
「さて、じゃあ私も教会に行ってくるよ!その後は詰所に行って、ファリンと相談してくるね。そう言えばバファはいつも何してるの?」
「私はいつも農作業のお手伝いをしているの、そこで手伝って野菜を貰ったりしてるの、たまに畜産農家に呼ばれたりもあって、そこだと牛乳とかチーズを貰えたりするんだよ。」
「バファもその歳で働いてたの?それなのに家の事とかまでやってて大変じゃない?」
「うーん農作業の手伝いとかも、ちょっと手伝うだけだから午前中には終わっちゃうよ?家の事も慣れてるし、それにファリンお姉ちゃんにやらせると家がめちゃくちゃになっちゃうから。」
ファリンよいったい何をやらかした?前から思っていたがバファは年齢の割りには大人びている気がする。
この世界だからそういうものだったりするのかも知れないがそう言う境遇を生きて来たって事だろう。
「私もお世話になりっぱなしじゃ悪いし、なんでも手伝うから言ってね?ファリンよりかは家事には自信があるんだから。」
「うん!それなら私も助かるよ、今度お願いするね?」
「はい!どんとお任せあれ。じゃあ私はもう行くわね。」
「ジャンヌお姉ちゃん行ってらっしゃい〜。」
「行ってきま〜す。」
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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