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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-522 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜赤の女帝は蠱惑に笑い、初代皇帝は矢を番え、水神の姫巫女は冒涜的に祈りを捧げる〜 scene.2

<三人称全知視点>


 先手必勝とばかりに動き出したのはヴァルナーとネーラだった。


「武装硬化-千鳥一閃-ッ!!」


「奥の手・海魔の渦撃タイダリア・ボルテクス


 神話級(ゴッズ)に至った『黒刃天目刀-千鳥雷切-』に武装闘気を纏わせて黒く硬化させ、更にスキル【纏黒稲妻】を発動して黒い稲妻を纏わせたネーラの斬撃と同じく神話級(ゴッズ)に至った『海鬼の聖槍オーシャン・ロンゴミアント』の奥の手の力を宿した激流を纏った槍がアクアリアに迫る……が。


赤の扇嵐(レッド・テンペスタ)


 その攻撃は割って入った赤の女帝エンプレス・イン・レッドの真っ赤な扇によって受け止められた。

 膨大な覇王の霸気が乗せられて黒稲妻を纏った真っ赤な扇は閉じられた状態の一振りでヴァルナーとネーラの攻撃を弾く。

 続いて大きく広げられた扇を薙ぎ払うように振るうと暴風が発生した。覇王の霸気を纏わせることで強化された赤い竜巻はヴァルナーとネーラを巻き込んで後方へと吹き飛ばす。


 咄嗟に武装闘気を纏って身を守ったヴァルナーとネーラだったが、それでも完全に無傷という訳にはいかず全身に小さくないダメージを負ってしまった。


 一方、赤の女帝エンプレス・イン・レッドに守られたアクアリアは閉じていた口を開いた。

 そして、彼女の口から歌が紡がれる。その声は美しく、普通に歌っていれば聞き惚れてしまいそうだが、肝心の歌の中身があまりにも冒涜的だった。聞いているだけで不快感を感じる調和とは対極に位置する不協和音な旋律。


 まるで、宇宙のどこかに潜んでいる冒涜的な存在を讃えるかのような邪悪な讃美歌に、圓すらも思わず顔を顰める。


「アレクシウス、一度武器を納めなさい。百合薗圓に話がありますわ」


「……ちっ、少しだけ待ってやる。手短に済ませろ」


 構えていた弓を下ろし、アレクシウスは赤の女帝エンプレス・イン・レッドを睨め付ける。

 漲っていた霸気は常人であればそれだけで失禁、場合によっては発狂してしまうほどの濃密なものであった……が、赤の女帝エンプレス・イン・レッドは涼しい顔だ。


「お望みの『管理者権限』ですが、『ダイアモンドプリンセス〜這い寄る蛇の邪教〜』と『蛇の海〜絆縁奇譚巻ノ一〜』、どちらも私達は所持しておりませんわ。先日、タイダーラを倒されて強奪されるという事件がありましたので、全て回収させて頂きました」


「……まあ、そりゃそういう判断になるよねぇ」


「現在、二つの『管理者権限』を保有するのはアポピス=ケイオスカーンです。そして、そのアポピスよりメッセージがありますわ。貴方がロベリア=カーディナリスを手中に収めた時、我が城に招待しようと。ロベリアの記憶を読めば城に辿り着くことはできるでしょう。彼女の生死については問いません。……まあ、それは私達を倒せたらの話ですが。我々混沌なる邪神の本領、お見せいたしましょう」


 赤の女帝エンプレス・イン・レッドがニヤリと仄暗い笑みを浮かべた瞬間、彼女の背後に禍々しい覇王の霸気の黒稲妻を発する赤黒い無数の魔法陣が生じた。

 やがて魔法陣から無数の化け物達が顔を覗かせる。


 艶かしく冒涜的に絡み合う双樹、美しくエキゾチックな美貌を持つ黒髪の女性、無数の歯車や機器によって作られた機械仕掛けの巨人、兜の中身が無貌の黒い東洋甲冑に身を包んだ武将、円錐形の顔のない頭部に、触手と手を備える流動性の肉体を持つ――召喚された彼らは神殿を冒涜的に彩っていた神々の化身達だ。


「――ッ!? レイド戦ねぇ!! やってくれるなぁ……」


「そちらも大所帯ですから、これくらい当然ですわ」


 敵陣営は不浄なる双樹(ケイオス=アトゥ)肥満なる女エキゾチック・ファントム機械仕掛けの混沌(メカニカル・ケイオス)無貌の暗黒武将(ナイトメア・サムライ)月吠なる冒涜的な舌(カオス・スクリーム)を加え、八体。

 一方、圓達の方は圓、ソフィス、スティーリア、ラインヴェルド、オルパタータダ、アクア、マグノーリエ、プリムヴェール、ミリアム、アルベルト、ヴァルナー、ネーラの十二人に加えてミレーユ、エメラルダ、リオンナハト、カラック、アモンの五人。人数だけ見れば圓達の方が有利だが、ミレーユとエメラルダは非戦闘員で彼女達のことを守りながら戦わなければならない。

 更にリオンナハト、カラック、アモンも戦いの心得はあるものよ時空騎士(クロノス・マスター)には遠く及ばない。彼らも十分庇護すべき対象である。


 結果として足手纏いのようになっているミレーユ達だが、圓は結果的にこの選択が良いものであったと感じていた。

 初代皇帝アレクシウスというゲーム本編においては実現しなかったダイアモンド帝国崩壊の元凶との邂逅――彼との敵対がミレーユに良い影響を与えてくれるのではないかという確信があった。

 初代皇帝が生み出した悪しき風習、反農思想と戦い続けることになるミレーユにとって、この敵対は大きな意味を持つものだ。そして、それをダイアモンド帝国の四大公爵家の令嬢が見守るということも大きな意味がある。


「そろそろいいのだな。愚かな子孫達を根絶やしにしてやろう! 魂魄の霸気《滅界矢》」


 アレクシウスの手に漆黒の矢が生じる。まるで彼の怨念を煮詰めて生み出した矢にアレクシウスは覇王の霸気を纏わせた。

 その瞬間に放たれた覇王の霸気はラインヴェルドやオルパタータダですら身体が震え、脳がけたたましく警鐘を鳴らすほどである。


「「――ッ!! あれはマズいッ!!」」


 ラインヴェルドとオルパタータダが異口同音に叫ぶ中、アレクシウスは矢を番える。


「はぇ? ――なっ、ななッ! ま、まずいですわ!!」


 弓を構えたアレクシウスの狙いはミレーユだ。

 『帝国の深遠なる叡智姫』――アレクシウスと相反する思想を持つミレーユをアレクシウスは第一に排除すべき敵と認識したのだろう。


 ペドレリーア大陸の変化はミレーユを中心に起こっている。

 彼女こそが変化の核であり、逆にミレーユの排除に成功すればペドレリーア大陸は容易く空中分解する。

 不甲斐ない子孫に自らの手で引導を渡すという私怨的な意図も含まれているが、同時にミレーユを打つことがペドレリーア大陸を混沌に落とす最良の方法であることを理解しており、シナリオを理解する者が打つ最善の一手としてミレーユの討伐を狙っているようだ。


 ラインヴェルドとオルパタータダもミレーユを殺されるのが最も大きな損失に繋がることを理解していた。

 アレクシウスへの攻撃を狙っていた二人は咄嗟にミレーユの庇おうと動いたが、二人よりも早く矢が放たれる。


 矢はミレーユに向かって真っ直ぐ放たれた。流石は狩猟民族というべき完璧に狙い澄まされた一撃はミレーユの眉間を射抜く……その筈だった。


「――ッ!! わたくしは、もう二度と(・・・・・)死にたくありませんわッ!!」


 ミレーユが両目に涙を浮かべながら叫んだ瞬間、眩い光がミレーユを包み込んだ。


「――なんだと!?」


 次の瞬間、アレクシウスは目の前で引き起こされた予想外の状況に目を見開く。

 アレクシウスの魂魄の霸気《滅界矢》はどんな防御も貫通する絶対貫通の性質が付与された矢だ。例え求道の霸気で単一宇宙規模の防御を展開しても、覇王の霸気で攻撃を防ごうとしても魂魄の霸気《滅界矢》は容易く防御を貫通してしまう。


 だが、その矢がミレーユに貫通することはなかった。

 まるで、矢が自らミレーユを避けていくかのように、光に沿うように飛んでいき、ミレーユの後方にある壁に深く突き刺さる。


「覇王の霸気の威圧くらいしか教えていなかったけど、まさか土壇場で魂魄の霸気を覚醒させるなんてねぇ。流石は主人公!! さてぇ、魂魄の霸気《滅界矢》と魂魄の霸気《海月》はどちらも獲得させてもらったよ。いやぁ、戦闘中に手札が増えるのは嬉しいねぇ」


「――ッ!! バグり散らかした化け物めッ!!」


「おっと、気を取られ過ぎだぜ!! お前の相手は俺だ!!」


「いや、俺とラインヴェルドの二人だぜ!!」


神威神退(シンイカムサリ)」「神威神去(シンイカムサリ)


 ラインヴェルドとオルパタータダはほぼ同時に覇王の霸気を剣に乗せて飛ぶ斬撃を放つ。

 その覇王の霸気の濃度は「覇王の霸気最終領域・覇王神」には到達していないもののかなり力が込められていた。


「神闘裏武装双剣・覇王纏武」


 弓を背負い、武装の神闘気を漲らせて裏武装闘気の武器生成技術を応用――膨大な神闘気を凝縮変化させた双剣に覇王の霸気を纏わせて同時に双剣を振る。

 アレクシウスの放った斬撃はラインヴェルドとオルパタータダが放った飛ぶ斬撃を容易く粉砕してしまった。


「――ッ!? こいつは、今まで戦ってきた奴の中で一番ヤバいかもしれねぇな!!」


「クソ笑える展開だな!! オルパタータダと共闘してようやくって相手!! 正直戦う連中のほとんどは歯応えが無かったからな! 死力を尽くしても厳しいくらいが丁度いいぜ!!」


 ラインヴェルドとオルパタータダが獰猛な笑みを浮かべる。

 アレクシウスはそんな二人に心底面倒で忌々しいと言わんばかりに冷たい視線を向けた。



 赤の女帝エンプレス・イン・レッドは青薔薇のローザ姿の圓が引き受けた。

 アクアリアは冒涜的な詠唱を続けており、アクアリアを守るような布陣で不浄なる双樹(ケイオス=アトゥ)肥満なる女エキゾチック・ファントム機械仕掛けの混沌(メカニカル・ケイオス)無貌の暗黒武将(ナイトメア・サムライ)月吠なる冒涜的な舌(カオス・スクリーム)が戦闘体制を整えている。


 そんなアクアリア達と対峙するのはソフィス、スティーリア、ラインヴェルド、オルパタータダ、アクア、マグノーリエ、プリムヴェール、ミリアム、アルベルト、ヴァルナー、ネーラの臨時班メンバーにリオンナハト、カラック、アモンの三人を加えた残る戦力全てである。

 アモンは当初ミレーユの護衛に行くつもりだったが、ミレーユが魂魄の霸気を覚醒させたことで護衛は不要だと判断して戦いに加わる決断をしたようだ。……というよりは、自分の力では初代皇帝アレクシウスの攻撃を防げない、つまり足手纏いになるからという消極的な意味合いが強い。


 エメラルダはミレーユが魂魄の霸気《海月》で守っており、しばらくは安全だ。ただ、魂魄の霸気《海月》は気力をかなり消費するので長時間守りを維持することはできない。

 ラインヴェルドとオルパタータダがアレクシウスを釘付けにすることで、なんとか防衛の布陣を維持できている状態である。


 アレクシウスはかなりの猛者だ。少なくとも、ラインヴェルドとオルパタータダ――二人で協力しなければ勝利が厳しいほどの霸気の使い手である。

 そのため、必然的に残りのメンバーで五体の敵を倒すこととなった。


 不浄なる双樹(ケイオス=アトゥ)はソフィス、リオンナハト、カラックが、肥満なる女エキゾチック・ファントムはマグノーリエ、プリムヴェールが、機械仕掛けの混沌(メカニカル・ケイオス)はアクア、ミリアム、アルベルトが、無貌の暗黒武将(ナイトメア・サムライ)はヴァルナー、ネーラ、アモンが、月吠なる冒涜的な舌(カオス・スクリーム)はスティーリアとそれぞれ討伐対象が決まり、戦いが始まろうとしていた。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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