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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-520 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜邪教徒の神殿と忘れ去られし怨念〜 scene.4

<三人称全知視点>


「かつて、この地では一つの盟約が結ばれました。全てに絶望した狩猟民族の長、後のダイアモンド帝国の初代皇帝と『這い寄る混沌の蛇』の信徒の出会いを発端とした肥沃な三日月地帯ファータイル・クレセントを破壊し、緩やかに自殺する呪いの如き盟約。その盟約は、ミレーユさんとエメラルダさん、お二人によって新たに結ばれた盟約によって上書きされました。このような歴史的な一場面の目撃者になれたこと、心より嬉しく思います」


 ずっと己を蝕んできた鎖から解放され、幸せな気分に浸っていたエメラルダは雰囲気をぶち壊すようにやってきた闖入者に冷たい視線を向ける。


「貴女は……ミレーユ様と楽しそうにお話ししていた商人……確かアネモネでしたわね。一体なんなんですの!? 折角いい雰囲気でしたのに!!」


「いや、邪魔するつもりは無かったんですけどねぇ。……というか、本来、『なんで貴女がここにいるんですの!?』とか、そういうツッコミを入れる場面だと思うんだけどなぁ」


 エメラルダにソフィスが殺気……というより最早殺意マシマシの覇王の霸気の篭った視線を向けようとするのを慌てて静止しつつ、アネモネは苦笑を浮かべる。


「ミレーユさん、夏休みは楽しめましたか?」


本当(ほんとー)に、性格が悪いですわね! 最悪の気分ですわよ!! 遭難するし、雨に降られるし、洞窟の中で悪意の塊みたいな初代皇帝の置き手紙を見つけることになってしまいましたし」


「でも、それなりに楽しかったんじゃないかな? 悪いことばかりでは無かったでしょう?」


「えっ……えぇ、まあ、否定はしませんけど」


 特にアモンとの二人でイチャイチャした時間を思い出し、ほんのり頬を赤く染めるミレーユ。


「大体、貴女一体何者なんですの!? 一商人の分際で皇女であるミレーユ様と対等みたいな立場で話をしていますし、ここにあった初代皇帝陛下の置き手紙の存在も知っているみたいですし、何よりこの海洋国マルタラッタで分かれた筈なのに、なんでここにいるんですの!?」


「……アネモネ様はビオラ商会合同会社の商会長であると同時にビオラ=マラキア商主国の大統領、つまり国のトップです。それに、多種族同盟という国家間の互助組織の議長を務めています。本来であれば、ダイアモンド帝国の皇帝とも対等な立場です。……後に女帝になるとはいえ、今はまだ皇女に過ぎないミレーユ様よりも本来は立場が上なのですよ」


「はぇ? ……って!? ソフィス様、わたくしが女帝ってどういうことですの!?」


「……」


「ソフィスさんや、その誤魔化し方は頂けないねぇ。さて、エメラルダさんにも教えてあげようか? 少し長い話になるけどねぇ……それと、この話は他言無用。許可なく言いふらしたら命を奪いに行くので、そのつもりでよろしくねぇ」


 エメラルダもよく知る人物――エイリーン=グラリオーサの姿に変身してエメラルダを混乱させつつ、圓は世界の秘密や前世のことなどをエメラルダに話して聞かせた。



「ちょ、ちょっと待ってくださいまし……はぁ、はぁ。頭がクラクラしていますわ。あまりにも一気に衝撃的な話をされても対応できませんわ! ……つまり、圓様はある意味でこの世界の創造主の如き存在であり、『管理者権限』と呼ばれるものを集めていると。私達は三十のゲームとやらの登場人物で、それが異世界化して……圓様はブライトネス王国のラピスラズリ公爵令嬢ローザとして生を受け、王女宮の筆頭侍女をしていて、伯爵令嬢のソフィスさんは幼少の頃に容姿に悩んでいた時に救いの言葉をかけてもらって以来、圓様のことが好きで……圓様はリーリエ様として宗教組織の頂点にも君臨している一方、ベーシックヘイム大陸で最も大きなビオラ商会合同会社という商会のトップであるアネモネ様以外にも複数の顔を持っていて……ローザ様とソフィス様はエイリーン様とエルシー様、グラリオーサ辺境伯兼宮中伯令嬢として学園に潜入していて、実際に爵位も賜っていて、サファルスさんを含めて一部の人間が事情を知っていたと……一先ずこんなところですわね」


「話がぐちゃぐちゃしているのが伝わってくる解説どうもありがとう」


「ミレーユ様、なんで私に真っ先にお話してくださらなかったんですの!? エイリーン様に対して数々の暴言を口にしていますし、それが戦争の火種になる可能性もありましたわよね!?」


「ご安心を、戦争の火種になる間も無く私がエメラルダ様を抹殺していましたわ」


「全然フォローになってませんわよ!? というか、圓様のこと好き過ぎでなんか怖い感じになっていますわよ!!」


「圓様のためなら世界くらい敵に回す、そのくらいの覚悟はしていますわ!!」


「あはは、ヤンデレだねぇ。まあ、ボクもそれくらいソフィスさんのことが好きだけど」


「……わたくし達は一体何を見せられているんですの? で、これからはどうするんですの?」


「とりあえずエメラルダさんをはじめとする怪我人の治癒、それと臨時班の面々との合流だねぇ。リオンナハト殿下、カラックさん、フィレンさんとも合流済み。予定外のお客様も来ていたみたいだよ。みんな疲れているだろうからねぇ、夕食をとってきっちり寝て、明日から本格的に先に進むことになる。臨時班の面々が交代で警備しているから、安心して寝れるよ。明日は臨時班の面々と真の邪教徒の神殿へと進む。とりあえず、エメラルダさんに治癒魔法をかけてから先に進もうか? 他に怪我をしている人がいれば遠慮なく申し出てねぇ」


 圓……ではなく、圓の手を煩わせる訳にはいかないと張り切ったソフィスの聖属性魔法でエメラルダの足の痛みはすっかり消えた。

 他には怪我人もなく、先に進めると判断した圓は神殿の外へと進み、立方体状の岩の床に偽装されたものを外して更に地下へと続く階段を露わにする。


 地下には大きな空洞があり、無数の道が伸びているようだった。

 神殿のような一切の光源がない空間には魔法で生み出された光が多数浮かべられ、その光が空間を照らしているようである。


 空洞には臨時班の面々と諜報員達の他にリオンナハト、カラック、フィレンの姿もあった。


「あら? 皆様も来ていたんですわね」


 まだ地上にいると思っていたリオンナハト、カラック、フィレンの三人が合流していたことに驚くミレーユ。


「ああ、泉周辺を探索していた時に諜報員から声を掛けられて先ほど合流したところだ。……ちなみにカラックは潜水艇とやらで海の中からここに侵入したらしい」


「よし! 全員揃ったな! ってことで圓! 夕食の準備をしてくれ!! 明日はいよいよ迷宮の最奥部に踏み込むんだろ? だったら今日のうちにたっぷり食べてたっぷり寝て体調万全にしておかないとな!!」


 エメラルダとフィレンが再会し、エメラルダがフィレンに抱きつこうとして……躊躇い、素直になれない態度を取る中、ラインヴェルドが空気を読まずに圓に食事を催促し、隣にいるソフィスから殺気の籠った視線を向けられていた。


「……いや、まだメンバーの選定が終わっていないからねぇ。ラインヴェルド陛下が最奥部に行くとは確定していないんだよ」


 地下都市ケイオスメガロポリスに元々派遣されていたミーフィリア、レミュア、桃花、篝火、美結、小筆、レナード、アルベルト。

 そこに増援組であるアクア、ディラン、エイミーン、マグノーリエ、プリムヴェール、スティーリア、ミリアム、雪菜、黒華と、ミレーユ達に同行していたカレン、海洋国マルタラッタに派遣されていたラインヴェルド、オルパタータダ、レジーナ、ユリア、アルティナ、グラリオーセ、更にここに『水神教団』を追いかけてきたヴァルナーとネーラが加わる。

 広大な地下都市ケイオスメガロポリスの探索には確かに人手が必要だった……が真の邪教徒の神殿――『ダイアモンドプリンセス〜這い寄る蛇の邪教〜』においては首魁アポピス=ケイオスカーンとの戦いの舞台となり、設定資料集においては蛇神Aponyathorlapetepが身を隠していた場所となっていた空間はお世辞にも広いとは言えない。


 これが屋外であるならば大人数で挑んで人数の暴力に頼るという戦法も取ることができるが、戦場は決して広くはない空間だ。

 あまり大人数で挑めば、身動きが取り辛くなることが容易に想像できる。それどころか、同士討ち(フレンドリーファイア)を発生させ、無駄な被害を出す可能性まで生じてしまう。


 そのため、圓は臨時班の面々から選抜したメンバーとミレーユ達で即席のパーティを作り、真の邪教徒の神殿に挑むことを計画していた。

 危険なことは全力で避けたいミレーユにとっては有難迷惑である。


 圓と圓を手伝うソフィスの手によって手際よく食事が用意される。

 【万物創造】を作って作られた即席の長机と精緻な装飾の施された椅子によって地下空間は王宮の晩餐室に引けを取らない場所となっていた。


 それと並行してカレンと諜報員達の手によって手際よくコテージが建てられていく。どうやら、今晩は無人島生活で最も快適な夜になりそうだ。


 夕餉の席に並べられた食事はどれも豪華絢爛だ。肉も魚も野菜も全てが一級品で、それを高い調理能力を持つ圓が調理をしたことで素材のポテンシャルが存分に引き出されて素晴らしい料理に仕上がっている。

 美食に五月蠅いエメラルダが一言も講釈を垂れずに黙々と料理を口に運んでいることからもその美味しさが垣間見えるだろう。


 まあ、ラインヴェルドやオルパタータダといった多種族同盟の国王に振る舞われる料理である。美味しいのは当然と言えば当然なのだが……。


 なお、そのラインヴェルドやオルパタータダはというと料理よりも別のことに頭がいっぱいのようだ。


「ミレーユさんとエメラルダさん、護衛としてリオンナハトさん、カラックさん、アモンさんの同行は決定。ということで、残るメンバーを決めていくよー!」


 料理の配膳を終えた青薔薇のローザ姿の圓は金属製の筒を持ってテーブルを回っていた。

 筒の中には細切りになった白い紙が無数に入っている。どうやら、これが今回の真の邪教徒の神殿に向かうメンバーを選定するための命運を分ける籤ということになるらしい。


「よし! メンバーに決定だ!」


「おっ! ラインヴェルドもか! 俺も権利を掴み取ったぜ!!」


「良かった、明日は莫迦達のお守りをしないで済みそうだね! ということで、あたしゃここで休みつつ逃げる敵がいないか警戒しておくことにするよ!」


「では、レジーナさん。明日は一緒にお茶会を楽しみましょうか?」


「あら? ユリアも? それは良かったわ。二人で一緒に楽しみましょう」


 ラインヴェルド、オルパタータダはメンバーに選ばれ、レジーナとユリアはメンバーに選ばれなかったようだ。とはいえ、二人は逃げる敵を監視しつつお茶会を楽しむと決めたようなので、これはこれで良い結果だったと言えるのかもしれない。


「おっ、当たりだな!」


「あれま、外れちまったか。たく、相棒と一緒に挑みたかったが残念だ」


「あーぁ、外れてしまったのですよぉ〜」


「うむ、当たりを引いたようだ」


「やったぁ! プリムヴェールさんと一緒に挑めるみたいですよ!」


「マグノーリエ、プリムヴェール、どっちかわたくしに譲って欲しいのですよぉ〜」


 続いてアクア、プリムヴェール、マグノーリエが当たりを引い、ディラン、エイミーンの二人がハズレを引いたようだ。

 親友と一緒に戦いたかったディランと、純粋に戦闘に参加したかったエイミーンは落胆し、更にエイミーンは娘かその婚約者から挑戦権を譲り受けようとした。勿論、ルール違反なので二人に断られる前に圓に睨まれて終了となった。


「……うむハズレか」


「師匠もなのね。私もハズレだったわ」


「よし、ウチもハズレっス! 明日はここでバカンスの続きっス!!」


「……アルティナ殿、我々は明日ここに待機(・・)するのであって別に遊んでいて良い訳ではないのだが」


 ミーフィリア、レミュア、アルティナも揃ってハズレを引いたようだ。ハズレが出て喜びを隠せずすっかり気分はバカンスのアルティナにミーフィリアが苦言を呈するが、その言葉はアルティナの耳には届いていないらしい。


「圓さん、赤い印がついているのが当たりですよね?」


「雪菜さんの言う通りだよ。印がなければハズレだねぇ」


「……ハズレですね」


「雪菜さんもなのね。私もハズレだったわ」


「私もハズレでした」


「……私もハズレでしたわ」


「残念ながら私もハズレです」


「嘘でしょ!! 魔法少女組全滅じゃない!!」


「……まあ、そもそも当たり籤自体少ないからねぇ。人数削るためのものだし……とはいえ、確率の偏りみたいなものをひしひしと感じるけど」


「俺とディラン以外は基本的にペアで当落が決まっている気がするな。ラインヴェルドとオルパタータダ、マグノーリエとプリムヴェール……まあ、そもそもハズレの方が圧倒的に多いんだが」


「俺も相棒(親友)と一緒に戦いたいんだよッ!!!!!」


 ディランが癇癪を起こした子供のように叫ぶが、圓達は全く動じた様子もなくディランの抗議をスルーした。

 他にも参加を強く希望しながら落選した者が大勢いる。そのため、ディランだけを特別扱いはできない。


「おい、誰か確認してくれないか!? 俺の目がおかしくなっちまったかもしれない!! 俺にはハズレにしか見えないんだが、そんな筈ないよな!!」


「……いや、どう見ても真っ白だぞ」


「嘘だろ!! おい、嘘だって言ってくれ! ディラン!!」


 ディランにハズレであったことを突きつけられたレナードは事実を認められずに発狂した。

 どうやら、暴れたいスピードジャンキーの夢は叶わないことが決定してしまったらしい。


「……師匠、どうでしたか?」


「儂か? 儂は運良く当たりを引けたようじゃ」


「私も運よく当たりを引けました。圓さんに、師匠に、心強いメンバーですね」


「……アルベルト様、当たりを引いてしまわれたのですか。残念ですわ、どうかハズレを引いてくださいという私の天への願いは通じなかったのですわね」


「酷いことを仰るのですね、ソフィス伯爵令嬢。……そのように他人の不幸を祈る貴女はハズレを引いたのですか?」


「まさか? 勿論当たりを引き当てましたわ!」


 アルベルトとソフィスがバチバチと火花を散らす。

 そんなソフィスの隣では『当たりが出て、本当に良かったですわ』と誰かと競うことなく純粋に当たりが出た結果を喜ぶスティーリアの姿があった。


「おっ、当たりだな! どうやら、『水神教団』の件を任せずに済みそうだ!」


「ヴァルナー……私も当たりだった」


「……ハズレだったわね。折角暴れるつもりだったのに……残念だわ」


 ヴァルナーとネーラを当たりを引いた一方、最後の一人、カレンはハズレクジを引いてしまったようだ。

 戦うつもりでブーツでコンコンと地面を叩いて感触を確かめていたカレンはつまらなさそうに地面をポンと蹴る。


「ということで、最終メンバーはソフィス、スティーリアさん、ラインヴェルド陛下、オルパタータダ陛下、アクア、マグノーリエさん、プリムヴェールさん、ミリアムさん、アルベルトさん、ヴァルナーさん、ネーラさんということになりました。他のメンバーと諜報員、グラリオーセさんは待機で。敵が逃げてきた場合には退路を塞いで討伐をお願いねぇ」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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