第6話 コンビを組むことになった
くるみんが俺に言いたいことがありそうだ。
とりあえず、からかってやろう。先程撮ったてへぺろ顔をしているくるみんの顔を見せてやった。
「この写真売っちゃおうかな~」
「それやったら確実に訴えるから」
彼女は目をかっぴらいて注意してきた。凄い目力だぜ!
「てか、ブルーはどうすんのこれから? 一人でダンジョンに潜るつもり?」
「まあ無職になってから一人だしなずっと、ただ死にたくはないから仲間が欲しいよな」
「ふーん……」
次いでくるみんはもっちーちゃんとぬいぬいに話しかける。
「いや、いいわレクイエムに所属しないわ」
「え~、くると思ってたのに…………」
もっちーちゃんは項垂れていたがすぐに顔を上げる。
「でも探索者は続けるんだよね!」
「もち!」
くるみんが親指を立てるともっちーちゃんは同じように親指を立てる。
「どうするつもりだ」
ぬいぬいはくるみんの今後の動向を探る。
「そうだなー」
再び、くるみんは俺と顔を見合わせる。
なんだ、何が言いたいんだろうか。
とりあえず俺の思ったことを言うか。
「事務所に所属しないなら、一緒に潜らね、俺と潜ると楽しいと思うぜ、その辺の土とかいきなり食べてやるぜ!」
俺はくるみんにコンビを組むことを提案してみた。駄目で元々だ。そもそも、一緒にパーティ組めそうな探索者はくるみんしか知らないしな。
「土食うな」
「あはは、ブルー君本当に面白い」
「いきなり土を食う探索者……配信映えしそうだな」
くるみんには突っ込まれ、もっちーちゃんは可笑しそうにしていた。なお、ぬいぬいは何故か配信映えを気にしていた。配信者として真面目なのだろう。
ぬいぬいが次の配信で土食うかもしれないな。そうなったら俺のせいだ。
「と、いうわけでこいつがどーしても私と潜りたいらしいから、今回のお誘いは断る」
くるみんは俺を指さす。すると、もっちーちゃんが口を開く。
「ブルーくんとくるみんが配信したら絶対面白いと思う! チャンネル立てたら私が宣伝しよっか?」
もっちーちゃんが魅力的な提案してくるので俺は思わず反応してしまう。
「いいなそれ、もっちーちゃんに紹介されたら日本中に認知される……! それで登録者が増えれば収益化されて食い扶持が稼げるぞ!」
「現金なやつだ」
「こいつあれだから、食い扶持稼げなくて困ってるから、無職乙」
「かわいそうな奴だ」
ぬいぬいとくるみんは勝手なこと言っている。
「大学卒業する前に、たまたま、就職活動上手く行かなかっただけだからな!」
俺は精一杯強がってみせた。
「言い訳にもなってないからそれ」
くるみんに正論を言われてしまった。
「あ、あの~、これからどうすればいいでしょうか」
レクイエムのインターン生の一人と思われる人が恐る恐る近づいてきた。
「ああ、すまない話し込んでいた。行くぞ望岡」
「はいはい~、じゃ、またね、あ! 後でブルーくんの連絡先教えてね、くるみん」
「いいよ」
いいよって知らねーだろ!
ぬいぬいともっちーちゃんはインターン生のところへと戻った。
「つーか、もっちーちゃんと仲良いんだな」
「そうね、歳も近いし、この前一緒にご飯も行ったし、今どんどん仲良くなってる感じかな。それに私の才能を見込んでる事務所の人達とはだいたい会ったし、その辺の女性陣とはグループチャットもあるよ」
「顔広いな、本人の顔は小さいのに!」
「ありがとうありがとう」
くるみんは俺の誉め言葉を軽く受け流していた。
そのとき、ぬいぬいの声が辺りに響く。
「ではダンジョン探索を終了する! 今の探索を通して、レクイエムの事務所に入りたいと思った人は今から事務所で説明会を行うからきてくれ、もちろん無理強いはしない。説明会が終わったあと、まだ他のことをやりたいとか、まだ一人で経験を積みたいとか、他の事務所にも興味ある人は自由に各々の道を進んでくれ」
まともなことを言うぬいぬい。ちょっとぶっきらぼうな方だが配信を見ている限り人のことを思いやれる良い人だった。やはり実際に見てもいい人だなとも思った。
「私達、レクイエムは自由と規律を重んじます!」
もっちーちゃんがキメ顔でそんなことを言う。
自由と規律……なんか相反してる気がするが野暮なことは聞かないでおこう。
レクイエムのインターン生はくるみん以外、説明会に参加するようだ。
みんな、ぞろぞろとダンジョンを出る。俺とくるみんはレクイエムに着いていき、外へと出ることにした。
「うお! 太陽が眩しい! 光合成してる気分だ」
俺達はダンジョンの入り口前に立つ。ここは山中にある林だ。
というか東京にある高尾山という山だ。
「植物なら二酸化炭素吸って、酸素吐いとけ」
くるみんは俺に対して意味の分からんツッコミをしてきた。
ちなみにここにくるまでにくるみん、もっちーちゃん、ぬいぬいと連絡先を交換した。
まさか有名ダンジョンストリーマーかつ日本でトップクラスの実力を持つ探索者と知り合いになれるとは思わなかった。
いや~今日はいい日だ!
それから俺達はぞろぞろと歩いて下山する。前にはレクイエムの人達がいる。
すると、横手には二階建ての古民家が見える。レンガ屋根の古民家は階段を上った先の高台の上にあり、周りを背の低い柵で囲われてる。この世で俺が一番よく知っている家だ。敷地は二〇〇坪で家はそのうち一〇〇坪を占める、あとは庭やら車1台停めれる駐車場がある。
そして俺はその家に向かうために横に方向転換をし、階段を上がることにした。
「え、ちょ、どこ行くの」
急に俺が方向転換したため、くるみんは慌てながら俺に声をかける。
「どこって……帰るんだよ、マイハウスにな!」
俺はくるみんがいる方を振り返りながら、後方にある家を肩越しに親指にさす。
「あれブルーの家かよ」
「ああ、あそこで一人で暮らしてる。俺を育ててくれた恩人が亡くなったあとに家を受け継いだからな、ほな帰るわ!お腹空いたんで!」
「ほな、私もお腹空いたんで家上がるわ」
俺の口調を真似たくるみんが階段を上がってくる。
「なんでやねん、くるみん良いところの家の養女だろ俺の家こなくても、毎晩、七面鳥とか出てくるんだろうな!」
「日本じゃ七面鳥食べることにゴージャス感を感じるらしいけど、海外じゃそうでもないらしいよ」
「マジで!」
「あれ? 二人ともここでお別れ?」
俺達が話していると前にいた集団からもっちーちゃんが飛び出してきた。
「大したものないと思うけどブルーの家で飯食べてくる」
「失礼! 失礼極まりない! くるみんじゃなかったらぶっ飛ばしてたぜ!」
「まあ私この見た目だし、声も悪くないでしょ、多少何言っても許されるの分かって言ってるの知ってる?」
「自分で言うな」
舐めたこと言ってくれるぜ。
「じゃあ、またね! くるみん、ブルー君、ばいばい~」
「「ばいばい~」」
くるみんが手を振るので俺達も手を振った。
「また機会があれば戦おうブルー」
ぬいぬいが物騒なこと言ってきた。
「嫌ですよ、何を言ってんですか」
「謙遜するなお前は強くなる」
「俺の何を知っている!?」
ぬいぬいまさか俺が特異体質なのを見抜いたんじゃないだろうな……
「あはは~、ブルー君ほどじゃないけどこの人言うこと案外適当なところあるからね。じゃっ、まったね~」
「背中を押すな」
もっちーちゃんはぬいぬいの背中を押しながら、改めて俺達に手を振った。




