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婚約破棄された私の追放先は、断罪学園と呼ばれる楽園でした  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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第12話 断罪された女子学生と、隣人の挨拶

 カチコチカチコチ……。


しんと静まり返った室内。


廊下をそっと覗いてみても、

人の気配は全くない。


ジルさんが去ってから、

すでに一時間が経過していた。


「私、いつまでこうしていれば

いいのかしら……?」


まさか到着してすぐに

放置されることになるとは思わなかった。


「他の学生たちは今もまだ講堂にいるのかしら? 

それとも授業かしら……?」


チラリと壁の鳩時計を見れば、

そろそろ十二時になろうとしている。


「どうしよう、もうすぐお昼だわ……」


緊張で食欲など全く無かった。


けれど……。


「はっ! まさか、これが最初の罰なのかしら!?

断罪学園に送られた転入生の

最初の試練が食事抜き……?

そ、そんな……!」


私は、お腹は全く空いていない。

けれどもお昼を抜かれてしまうという

事実は恐怖だった。


あぁ、こんなときエドワードが

傍にいてくれれば……。


思わず彼の顔を思い浮かべ時。


――コンコン


部屋に突然ノックの音が響く。


「は、はひっ!」


お待たせして怒らせたら、

どんな恐ろしい目にあうか分からない!


一目散で扉に駆け寄ると、

勢いよく思い切り大きく開け放した。


ガチャッ!


「きゃぁっ!」


すると、扉の前に立っていた

制服姿の女性が短い悲鳴を上げた。


「あ、す、す、すみません! 

驚かせてしまって!」


慌てて深く頭を下げる。


大変だ!  驚かせてしまった!


相手は断罪学園の生徒。

つ、つまり……

私と違って本物の悪女なのに!


私は頭を限界まで下げて、

ひたすら謝り倒すことにした。


「本当に申し訳ありません!

お待たせしてはいけないと思い、

扉を突然開けてしまいました!

悪気は全くありませんでした!

どうか、お許しください!」


すると……。


「や、やだ!

そんなに謝らないで。

逆に驚かせてしまってごめんなさい」


相手の慌てた声が聞こえる。


……え?


もしかして意外と優しい……?


「それに私たち同級生なのだから、

そんな言葉づかいはしなくていいわ。

とりあえず、

顔を上げてくれるかしら?」


「は、はい……」


恐る恐る顔を上げ……

私は思わず目を見開いた。


え? う、嘘……よね?


「あら? どうかしたの?」


相手は私を見て、

きょとんと首を傾げる。


「い、いいえ……

な、何でもない……わ。です」


引きつった笑みを浮かべるけれど、

私の頭の中は完全にパニックを起こしていた。


なぜなら、今目の前にいる女子学生は……

あのとき講堂で派手に『断罪』されていた

女子学生だったから――!!


「大丈夫?  顔色が悪いわ。

……どうかしたの?」


確か、アリスという名だったろうか?

心配そうに私の顔を覗き込んでくる。


「あ、あの……ど、どうしてこ、ここに……?」


先程、あなたは全校生徒の前で

婚約者から盛大に断罪されていましたよね!?


「え?  どうしてここにって……」


彼女の顔に戸惑いが浮かぶ。


いけない!

パニックのあまり、

考えていたことをそのまま口にしてしまった……!


完全に終わった、殺される――!


恐怖で小刻みに震える私に対し、

赤毛の女子学生はニコリと笑う。


「今日から転校生が来るって聞いていたから、

迎えに来たの」


「え? む、迎え……?」


「そうよ。

それじゃあ、行きましょう。

皆が待っているわ」


彼女の顔は……どこか楽しそうだった――

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