第11話 豪奢な女子寮と、意味深な言葉
私はジルさんの案内で女子寮へ向かった。
「女子寮は、こちらの校舎とは
別の塔になっております。
女子寮は南東、
男子寮は南西の塔になっているのですよ」
隣を歩くジルさんからの説明を受ける。
「そうなのですか」
つまり男子寮とは正反対……
授業以外ではエドワードと会うのも
難しくなるのかも……。
先程別れたばかりなのに、
もうエドワードが恋しくなっていた。
「こちらの渡り廊下が
女子寮のある塔に続いております」
ジルさんに話しかけられ、
我に返ると目の前に大きなガラスが
はめられた扉があった。
キィ……
軽い音を立ててジルさんが扉を押し開き、
私は思わず感嘆の声をあげてしまった。
「すごい……なんて奇麗なの……」
美しい中庭を縦断するように、
大理石の渡り廊下が白亜の塔に向かって
まっすぐ伸びている。
「フフッ。美しい光景ですよね?
フレデリック学園自慢の光景です。
でも美しいのは景色だけではないのですよ?
きっと中に入れば度肝を抜かれることでしょう」
ジルさんが意味深なセリフを口にする。
「度肝ですか……?
それは楽しみですね」
ジルさんの話にワクワクしてきた。
先程までエドワードと別れて寂しかった気持ちが
浮上する。
「はい。もっとも度肝を……
他にも……るのですけどね」
「え? 今何か言いましたか?」
ジルさんの声が小さくて、
ところどころ聞き取れない。
「いいえ、何でもありません。
こちらのことですので、
どうかお気になさらずに。ほほほ」
何だろう?
何となく背中がゾワゾワするけど……。
「そうなのですね? フフフ」
今は、深く考えるのはやめることにした――
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「すごい……!」
女子寮の内装は素晴らしいの一言だった。
ジルさんが重厚な扉を開けると、
そこは今の私にとってはあまりにも
場違いな空間が広がっていた。
白大理石の彫刻と金の装飾に彩られた、
王宮さながらの豪奢なロビー。
しかし周囲は異様な程に静まり返っている。
人の気配は全く感じられない。
「し、静かすぎますね……」
「ええそうですね。
恐らく今は講堂で、全校生徒が集まった
定例会が行われてるせいでしょう」
歩きながらジルさんは説明を続ける。
「定例会……」
やはり、あの断罪劇が定例会なのだろうか?
そして全校生徒の前で見せしめとして
行われているのだろうか?
どうしよう? 思い切って聞いてみようかな?
「あ、あの。定例会って……」
勇気を振り絞って言葉を紡ぐと
ジルさんがぴたりと足を止めて振り向き、
にこりと笑った。
な、何……!?
思わずごくりと息を飲む。
「アメリアさんのお部屋に到着いたしました。
こちらになります」
ジルさんが扉を開けた。
「……まぁ!」
案内された部屋を前に、
見間違いではないかと思って目を
ゴシゴシとこする。
室内に淡いブルーのカーテンが風で揺れていた。
立派な天蓋付きベッドに可愛らしいドレッサー。
超高級ホテルのような贅沢空間に、
私は完全にフリーズしてしまう。
ここは自分の家の部屋よりもずっと豪華だった。
「あ、あの……ここが本当に私の部屋ですか?
何かの間違いではありませんか……?」
学生たちの共有空間だけが豪華で、
個人の部屋は断罪者らしく、
絶望を味合わせるために究極に狭くて
家具も何もない。
そんな牢屋のような部屋を想像していたのに?
「いいえ、間違いではありません。
それではお疲れでしょうから、
しばらくはごゆっくりお休みください。
お楽しみはこれからですから」
「え? お、お楽しみ……?」
お楽しみって、何!?
ジルさんの言葉に、背筋が凍り付く。
「はい、お楽しみです。それでは失礼いたします」
ジルさんは深く一礼すると、
意味深な言葉を残して部屋から出て行った――




