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婚約破棄された私の追放先は、断罪学園と呼ばれる楽園でした  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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第9話 理事長との対面と、不穏な名前

「こちらが理事長室になります。

一階にあるので、覚えやすいでしょう」


副理事長に連れてこられたのは、

南側にある塔の一階。

大きなアーチ形の真っ白な扉の前だった。


しかもご丁寧に青い木製プレートが

ぶら下げられており、

「フレデリック・グランヴィル理事長室」と

刻まれている。


うん、プレートが下げられているなら

分かりやすいわ。


尤も、もう二度と訪れることは

ないだろうけど。


チラリと隣にいるエドワードを見ると、

彼は緊張しているのか口を閉じ、

扉をじっと見つめ……。


「……グランヴィル……?」


ポツリとエドワードが言葉を漏らした。


「ん? 何かおっしゃいましたか?」


するとすかさず副理事長が振り向く。


「い、いえ。何でもありません」


慌てたようにエドワードは首を振る。


……どうかしたのだろうか?

もしかして緊張のあまり胃痛が……?


実は先程から私も少しだけ胃痛を

感じている。

体調まで同調するなんて、

やっぱり私たちは気が合うかも。


「二人とも、準備はよろしいですか?」


「「はい」」


何の準備か分からないけれど、

副理事長の言葉に私たちは短く返事をする。


――コンコン


「理事長、転入生をお連れいたしました」


副理事長は扉をノックした。


『入りたまえ』


すぐに扉の奥から、

くぐもった声が聞こえる。


「失礼いたします」


ジョージ副理事長はノブを掴むと、

ゆっくり回して扉を開けた。


すると大きな窓を背に、

書斎机に向き合っている人物が姿を現れた。


室内は壁一面を埋め尽くす

本棚と重厚な調度品で溢れている。


ジョージ副理事長が入室していくので、

私たちも恐る恐る中に入った。


白髪に口ひげを蓄えた理事長は

私たちをじっと見つめている。


あの……怖いんですけど。


「では、自己紹介をお願いしましょう。

アメリアさんからどうぞ」


すると突然副理事長に名指しされた。


え? 私から? 


けれど先程からエドワードの顔色が良くない。

ここは私から自己紹介して、

彼の緊張を和らげてあげよう。


私は一歩前に進み出た。


「初めまして。

私はアメリア・ローズウェルと申します。

どうぞよろしくお願いいたします」


丁寧に会釈した。


よし、無事にご挨拶できたわ。


顔を上げると、

何故か理事長の目がキラリと光った……

気がする。


続けてエドワードが挨拶した。


「初めまして。

僕はエドワード・ランカスターと申します。

本日より、どうぞよろしくお願いいたします」


エドワードも丁寧に会釈すると、

さらに理事長の目が怪しく光る。


い、一体何なの……?


すると突然理事長に話しかけられた。


「……まずは、アメリア・ローズウェル」


「は、はい!」


返事をすると、理事長は一瞬

書斎机に視線を落とす。


そこには何か資料のようなものが置かれていた。


「君をこちらへ紹介した人物は、

ゲオルグ・マッキンリーでよろしいかな?」


「は、はい……そうです」


ゲオルグは私の元・婚約者だ。

まさかここで彼の名前が出てくるなんて。

心臓の動悸が一段と激しくなる。


「では次にエドワード・ランカスター」


「はい」


エドワードはコクリと頷く。


「君をこちらに紹介したのは

スチュワート・ランカスターで

間違いないかな?」


「……はい、間違いありません」


「ふむ……」


エドワードの返事に、理事長は顎を撫でながら

再び資料に目を通している。


あの……先ほどから一体何を

ご覧になっているのでしょう?

非常に怖いのですけど……。


プルプル身体を震わせながら

様子をうかがっていると、

理事長は顔を上げて両手を広げた。


「よろしい、二人とも完璧だ。

歓迎しよう! 我が学園へようこそ!」


理事長の満面の笑みを見た瞬間。


私の胸騒ぎは、さらに大きくなった――

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