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転生聖女ー運命に抗う姫と三人の皇子ー  作者: 日昇
最終章 運命に抗う姫と三人の皇子

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二十四、交わらない想い

羅洋(ルオヤン)が人の気配を感じ、振り向くと、そこには玲莉(リンリー)の後ろ姿をじっと見つめる孟景天(マンジンティエン)がいた。

孟景天と目があった羅洋は空気を読み、一礼をし、二人から離れていった。

玲莉は羅洋がいなくなったことに気づかずそのまま話続けていた。

「ねぇ、聞いています?羅洋さん・・・えっ?」

羅洋がいると思って振り向いた先には、孟景天が立っていた。

「景天さん?」

(どこから話を聞かれていたのだろう。変なことは言っていないよね)

玲莉は羅洋に何を話したか思い返しつつ、孟景天へ愛想笑いをしていた。

「・・・隣に座ってもいいですか?」

「えっ?あ、はい・・・」

二人の間には気まずい雰囲気が流れていた。

「私は・・・」「私は・・・」

同時に言葉を発した二人は、顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。

「すいません。景天さんの方からどうぞ」

「そうですか・・・」

孟景天は何かを話そうとしていたが、玲莉と目が合うと、見つめながらうれしそうに微笑んでいた。

「景天さん?」

「申し訳ありません」

孟景天はそのまま玲莉を抱きしめた。

玲莉はどう反応したらいいのか分からずに、あたふたしていた。

「申し訳ありません。わかってはいるのです。玲莉にとって、今の私はただの顔見知りの男であるということを。本当は気が狂いそうなほど衝撃を受けているのです。玲莉・・・私が玲莉の運命の相手なのです」

「えっ?景天さんが・・・?」

孟景天との記憶だけを失くしている玲莉は、ここで初めて孟景天が聖女として結ばれるべき相手であることを知った。

皆、孟景天に気を遣い、そのことには触れず、記憶が戻るまでは伝えないのが賢明だろうと、誰一人玲莉に話すことはなかった。


「ごめんなさい・・・」

孟景天は玲莉の発した言葉の意味を理解していた。

今の玲莉にとって最愛の人は劉翔宇(リウシャンユー)だった。

聖女である以上、最終的には孟景天と結ばれるということは頭では理解していたが、心が追いついていなかった。

孟景天は抱きしめていた玲莉を離した。

「・・・景天さん」

孟景天はしばらく下を向いたまま、時が止まったように固まっていた。

玲莉はどうすればよいのか分からず、戸惑っていた。

孟景天は意を決したように、急に顔を上げ、玲莉を真剣な目で真っすぐ見つめてきた。

「玲莉、私はあなたを愛しています。たとえ、玲莉の記憶から私がいなくなったとしても、私の記憶の中には私だけを見てくれていた玲莉の記憶があります。初めて会ったあの時から、私はずっと玲莉しか見ていません。だから・・・だから・・・私だけを・・・」

孟景天は玲莉への想いが溢れ出し、感情を制御することができなかった。

玲莉の肩をつかんでいる孟景天の両手が震え、止まらなかった。

孟景天の頬に玲莉の指が触れた。

孟景天は驚いた表情で、玲莉を見た。

「泣かないでください、景天さん。景天さんが泣くと、なぜか心が痛むのです。だから・・・」

玲莉の頬にも一筋の雫が光っていた。

(あれ?なぜ、私はこの人が泣いていると悲しいのだろう)

玲莉は自分の抱く感情が何なのかは理解できなかったが、目の前にいる孟景天が、自分にとって忘れてはいけなかった人ではないかったのかという想いが芽生えてきた。

「ごめんなさい、景天さん・・・私・・・私・・・」

「玲莉、無理に私を思い出そうとしないでください。安心してください・・・そうですね・・・もう一度玲莉を私に惚れさせればいいのですから」

孟景天はいつもの孟景天に戻っていた。

玲莉は孟景天に頬を赤く染めながらも、小さく頷いた。

孟景天は悪戯っぽい顔をしながら、玲莉の耳元で囁いた。

「私からは離れられませんからね」

玲莉は心臓が波打つのを感じた。

(この言葉どこかで・・・)

過去に孟景天が同じ言葉を同じように話している姿が、玲莉の脳裏に浮かんでいた。




建明(ジェンミン)のところにある人物が訪ねて来ていた。

部屋の中は不気味なくらい真っ暗で、建明の目の前に蝋燭が一つ灯してあるだけだった。

蘭玲(ランリン)・・・」

建明は見るからにやつれており、今すぐにでも死にそうなほど青ざめた顔をしていた。

建明は蘭玲の前で跪き、頭を床につけたまま、何度も何度も謝罪の言葉を述べていた。

「もういいから。とりあえず、私は建明と話したいと思ってきたの。座って」

建明は蘭玲の言われた通りに、再び椅子に座った。

「一つだけ確認しに来たの・・・正直に答えて。閻充(イェンチョン)に乗っ取られている時、一度でも私に情が湧いたことがあった?」

建明は眉間にしわを寄せたまま、下を向き、苦悶の表情をしていた。

その様子を見た蘭玲は建明の心がずっとどこに向いていたのか理解でき、自分自身の愚かさを嘆いていた。

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