第18話 IQ3万の朝緋ちゃんによる吸血鬼対策(急募、なんかいいアイデアある?)
翌朝はさっぱりとした寝起き。空は変わらず雨模様。
お姉さんお手製のパンケーキでカロリーを摂って登校ですよ。あ、非常時に学校と思った? いいじゃん、できるだけ普通をエンジョイしたいし。それに、よっぽどアホな吸血鬼でもなければ日中動けるにしても学校には来ないよ。IQ三万の朝緋ちゃんの頭脳プレイを舐めてもらっちゃぁ困ります。
……まぁ、そう簡単な話でもないんだけど。
「ぬぅ〜コンクリートでもぶち抜いてほぼ無限に増殖する植物。巫女刃術で対処するとして追加分は〜」
「……おい」
「でもねぇ、出血の時間考えると面倒なんだよねー」
「おい!」
「うぇぁ? 真澄ちゃん驚かせないでよー!」
「授業中にいいご身分じゃねぇか。おぅ、Ms.Asahi?」
「あ、あいむふぁいん〜?」
無理して登校してると思われたようで、真澄ちゃんからとってもありがた〜い労いをもらいましたとさ。 そうは言っても、こっちは巫女喰らいのおじいちゃんに目をつけられた純真無垢な女子高生でござい!(……なんか字面やばいな)。
お姉さんがいるとしても、この前の二の舞は避けなきゃいけない。だとすると……相手の有利な植物の多そうな場所で戦うのはダメ、人の多いとこもダメ、でも私が動きにくいのもダメ。ダメダメダメダメダメダメダメ──
「ダメなことしかないじゃーん!」
「うるっさいぞ朝緋ィッ!」
真澄ちゃんとまたまた小コントを繰り広げて、午前の英語の授業は進んでいきました。なーんにも考えずに授業受けてられれば、楽だったんだけどね。
お昼は登校前に買ったサラダチキンとサラダチキン、そしてサラダチキン。あとはパン複数に豆乳飲料。タンパク質と炭水化物しかないよ。まぁお姉さんにお弁当まで作ってもらうのもさすがに頼りすぎだし。あとはお弁当箱が家になかったんだよね。対面の綾ちゃんがちょっと引いてるのがおもろい。
「相変わらずよく食べるね朝緋ちゃん」
「仕事で血がいるからねぇ~タンパク質だよタンパク質」
ビタミンもいるんだけど、今はタンパク質なのです。夜に備えて爆食いじゃ! いっぱい食べて巫女刃術の為に血を作れ私!
…………とはいえ、企業努力で美味しいのは分かるけども。お姉さんの作ってくれた料理と、戦うための準備の食事は、とても比較できないね。私の舌はもうお姉さんに躾けられちゃいましたよ。
「はぁ~」
「どうかした朝緋ちゃん?」
「うん? う~ん、手料理と比べると物足らないなぁと思って」
「それってこの前言ってた女の子のこと?」
あー……そういえばそんな話してたなぁ。まさか同棲までしてるなんて言えないよねぇ…………ライブハウスで吸血させてあげて、あとは昨日も自分から…………って、あれ? 私結構大胆なこと…………
「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「あ、朝緋ちゃん⁉」
『──私が飲んで欲しいの。だめ?』
思い出したら余計に恥ずかしくなってきた!
あれは、お姉さんを助けたいって思っただけだから! 善意、そう善意ですよ皆さん! 純粋な……純粋な…………純粋な気持ち。
「……ねぇ綾ちゃん」
「なに?」
「三回もキスしたら、つまりそれってそういうことだよね……」
「ぶふっ⁉」
またまた綾ちゃんがむせちゃった。
「朝緋ちゃんそれって…………!」
「あ、いや。キスじゃないんだけどね、キスみたいなことっていうか……………あはは」
疲れてるのかなぁ、私。考えることがいっぱい過ぎてパンクしそう。あーやめやめ! お姉さんからの告白はまだ保留中だし! 今はそれより巫女喰らい!
「植物対策植物対策……」
「草か何かで悩んでるの?」
「植物が生えなさそうなとこってないかなーって。詳しいことは言えないんだけどね」
危険なことには巻き込めないからね。にしてもどこで戦えばいいんだろう? 公園とか学校は絶対避けたいし、普通の道路じゃ封鎖は難しい……というか、別の吸血鬼が出てくる可能性だってあるし。唯一の救いは私狙いにしてくれるのかなってこと。
「土がないってところなら、そうだなぁ…………空、とか?」
「お空飛べたら楽なんだけどね~」
「だ、だよね。ごめんね、完全に土がないところだと海じゃなくて上かなって」
「ううん、綾ちゃんの考えは間違ってないよ。空……地面から離れる…………海の上…………」
地面はなくて人工物で空中にあって戦える場所…………人の往来も制限できて、私が誘い出しやすいとこ。
「あるじゃん! 地面じゃなくて空中! 綾ちゃんありがと!」
「え? ど、どういたしまして……」
「こうしちゃいらんない、真澄ちゃんに報告だ。じゃ、またね綾ちゃん!」
閃いたら止まんない、もう脳筋パワーゴリラなんて言わせないぞぅ!
戦う場所は決めた。あとはお姉さんと真澄ちゃんに頼んであれこれして……あのおじいちゃん吸血鬼を倒す!
ちゃんと来てよね、巫女喰らい!




