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退魔の巫女は吸血乙女と血で結ばれる  作者: ムタムッタ
2章 仕事と恋人二足の草鞋!

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12/24

第12話 通い妻は吸血鬼(ご飯とお風呂ならお風呂からだね)

 

 一章までのあらすじ。

 限界退魔の巫女である白神朝緋ちゃんは、超美人な吸血鬼のお姉さん、波旬アンナとの危ない関係にワクワクするのでした。はい、2章スタート!



 ◇ ◇ ◇



 同日午後九時。

 警察署内にある『異形対策課』で、真澄ちゃんはタバコを蒸かす。灰皿はすでに山盛り、マシマシどころじゃない。多分血液の半分はニコチンでできてる。


「今回の事件は死傷者十五名、内生存者三名……後手に回ったツケだな」

「意外と少なかったね」

「……………………あとは、巫女の犠牲が2人だ」

「千尋って子と組んでた巫女だけじゃないの?」

「お前たちがライブハウスに突入した同時刻、別地区で襲撃。巫女三年目のコンビの片割れがやられた。相手は白髪で背筋の伸びた爺さんみたいな吸血鬼だと。そいつも『巫女喰らい』を名乗りやがった上に逃走した」


 そこそこベテランの子たちだ、私と歳は変わらないかな。嘘じゃないのは分かってたけど、お姉さんの言ってた『巫女喰らいヴァルク』の分身のことは本当らしいね。


「で、お前が倒した奴は『ヴァルク』って言ってたのか?」

「うん。本名かどうかは知らないけど」


 こういうことにしておけば、退魔の巫女の間で共有できる。別に悪いことしてるわけじゃないし。


「まぁいい……巫女喰らいは複数存在するとみていいだろう。どっかに操ってる奴か、黒幕が潜んでるからお前も気をつけるんだよ……っつったのに朝緋お前、仙果たちに民間人任せて突っ込んだらしいな」

「天才軍師、朝緋ちゃんによる超絶ファインプレーです」

「ったく、危なっかしいたらありゃしない。ほどほどにしとけ」

「う〜い」

「返事はハイだ」

「はいは――――はいッ、了解です銀嶺司令殿!」


 銃でもぶっ放しそうだったから急遽しっかりお返事しましたとさ。さすがに署内でショットガン撃つことはないみたいだけど、神妙な顔で私を見る。


「……また、噛まれたんだってな」

「あー……仙ちゃん?」

「あんまり心配させんな、今日はもういい……しばらく休め」


 …………休めと言われて一日休めた試しがないんですけど?


「心の声漏れてんぞ」

「うっそ、美声のモノローグが貫通しちゃった?」

「なにアホなこと言ってんだ……ともかく、血が戻るまでは出撃不可、自宅待機だ」

「いぇ〜い、溜まってたドラマ見ようっと」

「この状況でンなこと言えるのは巫女でもお前くらいだ」

「巫女はマイペースじゃないと病んじゃうよ。真澄ちゃんも、たまには酔わないとニコチン女になっちゃうかもねぇ~」

「アホなこと言ってないではよ帰れ。車は手配しとくから」

「りょーかい。じゃ、またね真澄ちゃん」

「……おう」


 短い報告だけで今日は終わり! やった、早上がりだ。


「朝緋さんっ!」

「うぇ? あ、千尋ちゃーん」


 ちょうど課を出たところで、入れ替わるように千尋ちゃんと仙ちゃんがやって来た。2人には助け出した女の子たちを念のため病院へ連れて行ってもらってたんだけど、わざわざ戻ってきたのかな。


「大丈夫なの?」

「うん、だいじょうブイ! あの金髪は倒したぜぃ」

「よかった……良かったです」

「ちゃんと、相棒ちゃんの仇は取ったよ。千尋ちゃんも、避難ありがと」


 最初はまともに動けないだろうなって思ったけど、仙ちゃんと一緒に動いてたし……やっぱりこの子も退魔の巫女だなぁ。巫女の未来も明るいね。

 千尋ちゃんが涙を浮かべながら嗚咽を漏らした。今回はすぐ終わったけど、ようやく……ようやくこれで仲間のことを思えるんだ。


「いっぱい泣いて、後のことはそれから考えればいいよ。しばらくは……うん、強くなるなら仙ちゃんに付いていきな。がんば」

「さりげなく押し付けんじゃないの」

「いいじゃん、頼んだよ。あと今回の報告書もなにとぞ~」

「……今回だけよ」


 多分これで二十回目くらい。仙ちゃん大好き。

 面倒な報告書類は免除になりました。めでたしめでたし。あとは任せておこうーっと……じゃないとぶっ倒れそうだし。


 巫女喰らい・ヴァルクの分身である金髪吸血鬼を倒した後、私はお姉さん──波旬アンナ──に血を飲ませた。初対面の時よりも、ずっと長く、多く。そりゃもうたっぷりと。酔わないように吸ってって言ったのに、ものすごぉーく悪酔いしちゃったんだよね。だから現在進行形でグロッキーなのですよ朝緋ちゃんは。バレないように必死に演技してました。


 肝心のお姉さんは私の血を飲んだ直後、さっさと逃げてもらいました。あの囲われた状況でも無事脱出できたんだから不思議だ。


 要するに、一日で色々ありすぎた…………

 車で自宅まで送ってもらい、ようやく今日は終わり。吐き気はないけど、世界が回り始めてる。


「はぁ〜クラクラどころがぐにゃぐにゃだよ。ただいまー……」


 勢いでやっちゃったけど、これはキツいなぁ。適当にバー齧って寝よ……って思ったら、なんと室内の照明は点いていて、お腹を刺激するいい匂い。


「――――お帰りなさい朝緋。ご飯にします? お風呂にします? それともわたし?」


 開けたドアを即閉める。変だな、私の家の鍵を使って開けたんだから私の家のはず。悪酔いが過ぎて部屋間違えちゃった? 幻覚ですか?


 気を取り直してもう一回。


「ふふ……夕食、出来ていますよ朝緋」

「通い妻吸血鬼……っ!」


 なんと、エプロン姿のお姉さんが笑顔で出迎えてくれたのでした。不法侵入、パート2。

 …………ただいまって言ってホントに出迎えられたのは久しぶりだなぁ。



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