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【64】 ジョーブ君の足

 海斗と奈美は『こどもの森』にやって来た。


奈美「うわーっ、すごい人ね」

海斗「うん、小学生がいっぱい来ている」

奈美「出店(でみせ)もこんなに出ているんだ」


 やきそば、唐揚げ、フランクフルト、カレーライス、ドリンク類、出店が並んでいた。

 少し奥では、古着市も開催されていた。


奈美「古着も売っているのね」

海斗「あっ、英二くんに伊織ちゃんも居る」

奈美「お友達もたくさん来ているわね」

海斗「うん」


 海斗と奈美少し歩くと、メインステージが見えてきた。

『こどもの日』までの連休中、メインステージが設置され、そこでは『スーパーヒーロー、セブンレンジャー』が、ステージの上でストーリーを繰り広げていた。


海斗「あれ見たい!」

奈美「いいわね。行こう!」

 二人はステージを見に行った。


 やがて、派手なアクションの「スーパーヒーロー、セブンレンジャー」が終わり、MC(司会者)が登壇した。


 「では、これから、セブンレンジャーがみなさんに会いに行きます。そしてゲストは『健康』をテーマとしたゆるキャラ『ジョーブ君』と『アルクサ姫』。それと美浦市のゆるキャラ『ミズスマッシー』、『ミウラン』の4人も加わり会場内を周ります。お近くに行きましたら握手してくださいね」


 『ミズスマッシー』は、ミズスマシがモデルの男の子。『ミウラン』は美浦市をもじった可愛い女の子だった。

 ステージの裏から、ゆるキャラの4人が登壇し、セブンレンジャーに加わった。ヒーローとゆるキャラ、合計11人がステージを降り会場を周り始めた。


 海斗が本能で、ジョーブ君を追いかけた。奈美は黙って海斗のしたいようにさせた。ジョーブ君は、ステージを降り、小学生の女の子と握手をしていた。その握手が終わると、海斗は、ジョーブ君の足に抱きついた。


 それを見た奈美が、

奈美「あっ! そういうことだったんだ」


 奈美は、少し離れた所からその様子を見て、なぜ海斗が後頭部を打ったのか、ひと目で納得した。

海斗はジョーブ君の前方から足にしがみつきしばらく動かなかったが、しばらくして母の奈美の所に戻って来た。


 ジョーブ君の中に入っている坂口大輔は自分の足に誰か抱きついているのが、海斗君だとは気付かなかった。

 ジョーブ君がいろいろな子と握手をしながら、ゆっくりと奈美の方へ近づいて来た。

ジョーブ君の中に入っている坂口大輔は、松島奈美がそこに居ることにまったく気づいていなかった。


 奈美は、そこから無理して逃げようと思えば逃げることもできたが、海斗がジョーブ君を見つめて動かなかった。

 やがてジョーブ君は、松島奈美がそこに立っていることに気づいた。


ジョーブ君(あっ! 会ってはいけない人に会ってしまった)


 ジョーブ君がとっさに踵を返し、くるっと回ってステージ方へ方向転換した。奈美から逃げようとした。


奈美「海斗! 足に抱きついて!!!」

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