【63】 2つ目のお願い
由夏「それって、えー、あー、えっ? 」
大輔「うちの洗濯機、二度洗いの機能が付いているんです」
大輔は二度風呂に入る口実に洗濯機の例を持ち出した。
由夏「いい洗濯機使っているのね。二度洗えば、より綺麗になるわよね」
大輔「背中、流しますよ」
由夏「えーっ! そうね、背中流してもらおうかな? その代わりひとつ条件が、」
大輔「はい、なんでも聞きます」
由夏「電気消して入りません?」
大輔「私もそう思っていました」
由夏「本当に、いつも、そうなんだから」
大輔が湯を張り、先に風呂に浸かった。後から由夏が暗い浴室に現れた。
由夏「電気消しても、浴槽が光っているのね」
大輔「私が、光るスイッチをオンにしました。あんまり暗いと危ないと思って。由夏さんが入ったら消します」
由夏が、湯船に入り、大輔はスイッチをオフにした。大輔の左腕と由夏の右腕がくっついていた。
◇
子どもの日。
美浦市には、子供が元気に遊べる施設『こどもの森』という施設がある。
この施設は、屋内には雨天用の遊び場や軽運動が出来るレクリエーション室、屋外にはアスレチック遊具、恐竜の像などがあった。
海斗「『こどもの森』へ行きたい」
奈美「そうか、今日は子供の日だから、いろいろなイベントをやっているのね」
海斗「うん、クラスの友達もたくさん来るよ」
奈美「わかったわ。ここのところ宿題もよくやっているし、たまには外へ出て、思いっきり遊びましょう」
海斗「やったぁー」
奈美「ねぇ、クラスに伊織ちゃんって居るよね?」
海斗「居るよ」
奈美「頭が良さそうな子ね」
海斗「うん、先生から信頼されている」
奈美「どうしてそんなことがわかるの?」
海斗「授業で先生が誰かを当てる時、正解して欲しい時は伊織ちゃんを指すもん」
奈美「海斗が指される時はないの?」
海斗「あるよ」
奈美「どんな時?」
海斗「笑いが欲しい時」
奈美「ははははは。本当?」
海斗「ほんとだよ。僕、ウソつくの嫌いだもん」
奈美「そうなんだ。ウソつくの嫌いだったんだ。母さん知らなかった」
海斗「ずっと前ね、1年の時」
奈美「うん」
海斗「生活科でね」
奈美「うん」
海斗「先生が葉っぱが1枚もついてない木の写真をみんなに見せたんだ」
奈美「うん」
海斗「そして先生が『季節はいつでしょう?』って聞いたんだ」
奈美「うん」
海斗「先生が『若草(伊織)さん』って指したんだ」
奈美「うん」
海斗「伊織ちゃんが『冬です』と答えたよ」
奈美「正解でしょ」
海斗「うん。そのあと先生が『伊織ちゃんが、冬だとわかったのはなぜでしょう?』って」
奈美「うん」
海斗「先生が僕を指したんだ」
奈美「うん」
海斗「『伊織ちゃんの顔に目が付いてるから』って」
奈美「ははははは」
海斗「みんなも笑ってた」
奈美「やっぱり、海斗は天才ね。その調子でみんなをもっと笑わすのよ」
海斗「うん。でも僕、笑わすつもりじゃなくて答えたんだけれどなぁ」
奈美「だから海斗は天才なのよ」
海斗「わかった」




