↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
61/87

【61】 キスでクレーム?

由夏「坂口さんのシャンプーが良い香り」

大輔「小竹さんも」

由夏「『由夏さん』と、呼んでもらってもいいかしら」

大輔「それなら、私も『大輔さん』でお願いします」

由夏「わかりました」


大輔「なにか、仕事みたいですね」

由夏「ふふふふふ」

大輔「へへへへへ」

由夏「念願が叶ったわ」

大輔「それなら、良かった」


由夏「キスが下手でごめんね」

大輔「それは、私もだと思います。不慣れなもので」

由夏「いいえ。ねぇ、もう一度」

 由夏は恥ずかしかったが、言ってみた。


大輔「はい」

 大輔が唇を寄せて行った。由夏はうっすらと唇を開いた。

『カチッ』今度は、歯が当たった。

由夏「ごめん。私の不手際で申し訳ありません」

大輔「こちらこそ、ご無礼しました」


由夏「クレーム対応みたいね」

大輔「癖ですね」

由夏「ふふふふふ」

大輔「ははははは」


由夏「なんでも練習ですよね」

大輔「そうです、練習ですよ」

由夏「たくさん練習しましょう!」

大輔「はい」

 小竹由夏、34歳。坂口大輔、28歳だった。


     ◇


 2週間後。

 小竹由夏と坂口大輔の2回目のデート。前回とまったく同じコースでデートした。今度は、大輔も家を出る時からマスクをした。

 由夏のマンションから。30分ほどのドライブ。


由夏「坂口さんもマスクしてきたのね」

大輔「うん。絶対にばれない方が良いと思って」

由夏「そうよね。絶対に、誰にも知られたくないな」

大輔「いつどこで、誰に見られるかわかりませんからね」

由夏「そうよね」


大輔「しかし、やはり4月は忙しいですね」

由夏「そうね。『離職』に『引っ越し』人の動きが激しいからね。でもここさえ乗り越えれば、あとはなんとかなるわ」


 国民健康保険課、保険証発行担当にとって、『離職』と『引っ越し』は、保険証を発行または回収する大きな要因であった。


大輔「『離職』に『引っ越し』も、忙しい原因のひとつですが、その忙しいときに、新規配属職員が二人というのも、毎年のことながらきついですね」

由夏「そうよ、戦力にならないですもの」

大輔「でも由夏さんが頑張っているから、なんとか持ちこたえてますね」

由夏「いいえ、坂口さんこそ、二人分の仕事をしてもらって、ほんと助かってるわ」


 やがて車は、この前と同じ、荒川べりのちょっとした駐車場に着いた。二人は、すぐに抱き合った。もはや、そこまでの過程に気を遣うことも気をもむこともなかった。


由夏「こうしているときが、一番いいな~。職場での今日の疲れが消えていく感じ」

大輔「ええ、何もかも忘れて、ほっとしますね」

由夏「ずうっと、こうしていられたらいいのに」

大輔「うん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。